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いながキネマ

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2023年12月の記事一覧

SHE SAIDその名を暴け

SHE SAIDその名を暴け

ニューヨークタイムズ紙の報道調査記者ふたりが映画界の超大物ハーヴェイワインスタインの女優やスタッフに対するセクハラ、レイプなどの性加害を追う。
1980年台から2017年に至る長い期間、映画界に君臨したミラマックスの創設者は数知れないほどの性加害を起こしながら示談や圧力によって揉み消し続けてきた。
被害を受けながら話せない女性被害者たちを巡り二人はオンレコ、名前を出していいという証言者を探し続ける

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ジミー・サビル

ジミー・サビル

『ジミー・サビル 人気司会者の別の顔』
イギリスで1970年台から大人気のDJ、司会者のサビル。
TVのでの活躍だけでなく福祉施設や病院への支援のため寄付を呼びかけるマラソンをしたり、社会貢献を続けて信頼を重ねてきた。

しかし彼にはいつもある噂がついて回っていた。
「サビルは小さい子が好き」
彼の別の顔、醜悪な性加害の顔が暴かれる。

これは実在の人物て国営放送のBBCにも番組を持っていた。

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自転車泥棒

自転車泥棒

デ・シーカ監督
映画を変えた名作『自転車泥棒』
40年ぶりくらいに観ました。
あの頃観た主人公はすごく歳をとっていて疲れていると思ったけど、今の私の半分くらいの年齢、若い。
こちらは事実上、歳をとって疲れています。

仕事をするためになくてはならない自転車を初日に盗まれた主人公が、1日かけて子どもと自転車を探し回る話ですが、つらい。本当に。
昔は「そんな父を観るのはつらい」だったのが、
今は、「そ

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パラダイスの夕暮れ

パラダイスの夕暮れ

アキ・カウリスマキ監督

清掃車で働く男が、スーパーのレジで働く女に気持ちを寄せる。
女がリストラにあう。
男の家に転がり込む。
共同生活が始まる。
女がブティックに勤める。
店主に惚れられる。
女は男から遠ざかる。

これがほぼあらすじというすごいシンプルな映画で、これで泣かされてしまうので驚く。
淡々と観ているうちに「こいつは自分だ」となってしまう。

アキ監督のプロレタリア三部作のスタートを

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コントラクト・キラー

コントラクト・キラー

監督アキカウリスマキ

勤めていた役所が民営化で人員整理。
整理された男は世を儚んで自殺しようとするがうまくいかない。新聞を見てナイスアイデアが浮かんだ。
「殺し屋に殺してもらおう、自分を」
依頼した。依頼先の殺し屋にバーで一杯酒を奢ってもらった。
酒を飲むのは初めてだ。殺し屋をアパートで待つ間に向かいのバーで酒とタバコ。タバコも初めてだ。酔って、女性に初めて声をかけた。
死にたくなくなった。依頼

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真夜中の虹

真夜中の虹

監督アキカウリスマキ

Amazonプライムで配信中ということもあり、ここのところアキ作品を続けてみています。

これは敗者三部作の一つと呼ばれているようで、廃坑になった炭坑の坑夫が食い詰めて南を目指してヴィンテージぽい車で旅立つ。でもオープンカーの屋根が壊れていて閉まらない。マフラーを頭にかぶって雪の中を旅立ってゆく。車を車庫から出した途端に車庫は疲れ果てたように崩れ落ちる、バーガー屋の駐車場に

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マッチ工場の少女

マッチ工場の少女

監督アキカウリスマキ
主演カティオゥティネン

マッチ工場で働く若い女性。
毎日工場のラインで材木を削りマッチ芯を削り、箱詰めラインに立ち、稼いだお金は母とその男に取り上げられている。楽しみのクラブに行っても壁の花。誰も誘ってくる男はいない。
給料日に、新しい赤い花のプリントの既製服を買ってみたが、給料明細に足りない封筒を覗き込んだ男に「売春婦か」とビンタを受け、家を飛び出して新調の服でクラブへ。

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『夜会の軌跡』

『夜会の軌跡』

夜会に行ったことはないし、コンサートも一度しか行ったことはないけど、中島みゆきさんのファンです。映画館に行ってきました。

みゆきさんの20年の夜会の代表曲を堪能してきました。
いきなり『ふたり』や『わかれうた』『ひとり上手』『きつね狩り』

歌旅のDVDは購入して観ているけど、コンサートとは違う歌い方、衣装も、みゆきさんがその歌に新たな意味や位置付けをしているのが面白い。
『六花の雪』や『しらぎ

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医師チャ・ジョンスク

医師チャ・ジョンスク

ジョンスクは医師でありながら、20年家庭に入り姑や、医師教授の夫と医師インターンの息子と高校生の娘のお世話に明け暮れていた。
そんなある日、肝臓に異変が、肝移植を渋る夫の姿に絶望!自分の人生なんだったのか?
再度医師としてインターンに挑戦する。夫の病院に勤めて、気づいた。同期の女性医師が勤めていて、な、なんと、夫と彼女の間には自分の長女と同い年の娘がいた・・

スタートからぶっちぎりの設定ですよね

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『時の面影』

『時の面影』

イギリスのサフォーク。
第二次大戦が始まる前。
荒地の塚を調査してくれと頼まれる掘削士のブラウン。地主の女性プリティからの依頼だった。
「ここには何か埋まっている」
ふたりの発掘が始まる。
船の痕跡が掘り出された時から情勢ら変わった。大英博物館が興味を持ったのだ。
七世紀メロヴィング朝の遺物であれば世界的な発見となる。

長い時間眠る遺跡と、短い生を生きる人々、病や悩みや戦争の影、儚い時間の中で人

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グラン・トリノ

グラン・トリノ

ベトナム戦争で南ベトナムに協力したたために受けた弾圧を逃れてきたモン族の家族の隣に一人暮らす長年連れ添った妻を亡くしたばかりの頑固ジジイ、ウォルト。
息子家族とも疎遠な彼と、モン族の姉弟のスーとタオとの間に交流が生まれ、親密になってゆく。
ウォルトは朝鮮戦争で敵兵を惨殺した記憶に苛まれて、自分を許すことができなかった。

クリントイーストウッド主演、監督の名作映画。
何度観てもしみる。

日本映画最怖ホラー『震える舌』

日本映画最怖ホラー『震える舌』

穏やかにマンションで暮らしていた三人家族。
近くの河原で遊んでいる小学生の娘。河原に落ちていた金釘で傷をつけた。
娘が突然舌を噛み、硬直する。娘は破傷風に罹患していた。

1980年に公開された野村芳太郎監督の『震える舌』は最も怖いホラー映画と話題になった。
学生だった私もその噂の恐ろしさに観ることができずにいたが、数年前にようやく観た。
本当に怖かった。幽霊やモンスターでない破傷風菌というどこに

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獅子の時代

獅子の時代

1980年のNHKの大河ドラマだった。
これは大河ドラマでも異色作で、幕末を題材に取りながら、菅原文太演じる会津藩士平沼と加藤剛演じる薩摩藩士苅谷という架空の人物を主人公に、激動に時代に巻き込まれてゆくふたりの人生を追う映画。

苅谷は維新後政府の要職を歴任してゆくのだが、平沼は会津戦争に敗れ、その後維新政府の圧政に弾圧され秩父事件にかかわる反抗の人生を送る。

私はこのドラマが好きだった。英雄で

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