マガジンのカバー画像

いながキネマ

77
好きな映画とドラマ
運営しているクリエイター

記事一覧

麦の穂を揺らす風

麦の穂を揺らす風

【あらすじ】
1920年、アイルランドの田舎で「ハーリング」を楽しんでいる若者たち。その中にデミアンと兄のテディたちがいた。試合を終えて想い人のシネードの家に立ち寄るデミアン。その時、事件が起こった。イギリス兵によりシネードの年若い弟のミホールが殺されたのだ。理由はイギリス名の「マイケル」と名乗らず、反抗だったから。彼らの村では多くの幼なじみの友人がイギリス軍により、些細な理由で殺害されていた。ミ

もっとみる
セーヌ川の水面の下に

セーヌ川の水面の下に

気候変動?海の環境汚染?
海にいたはずの巨大サメが淡水のセーヌ川に姿を見て現した。しかも、地下水路を巣にして、稚魚を育てていた。
環境保護団体がサメを海に導こうとし、またそのサメの危険性を知っている研究者は水上警察とともに捕獲しようとする。

そして、パリを競技場にしたトライアスロンの当日がやってくる。

フランス製ジョーズ系モンスターパニック映画。

Netflixで配信中

タクシー運転手

タクシー運転手

何度観てもいい映画。
主演のソンガンホに訪れる「尊い瞬間」は涙なしには見ることはできない。

1980年5月中頃から始まった韓国の光州の民衆放棄。
戒厳令が布告され、封鎖された光州で何が起こっているのか?
ドイツの記者を送ってソウルから光州に入った個人タクシーの運転手。彼は一人で小学生の娘を育てていた。お金も必要。光州まで往復すれば大金の入るおいしい仕事。
娘の世話のために夜までにソウルに帰らなく

もっとみる
『THE Lady』

『THE Lady』

『THE Lady 引き裂かれた愛』
 〜アウンサンスーチー〜
監督 リュックベッソン
主演 ミッシェルヨー
2011

ビルマ(ミャンマー)の国軍創設の英雄アウンサンが暗殺された。
41年後、1988年、娘のスーチーはイギリスオックスフォードで家庭を持ち父の足跡を研究していた。
母親の危篤の報を受けて帰国。その頃祖国では広がる民主化運動に軍部が武力弾圧を加えていた。
スーチーは民主化の旗頭

もっとみる
クイーンメーカー

クイーンメーカー

日本でも首都・東京で都知事選がありますよね。
こちらは韓国の首都ソウル特別市の市長選を描いたドラマ。

財閥家系の婿殿と、女性人権派弁護士の一騎打ちになってゆくお話。
一騎打ちになってゆくと言うのは、多数候補のなかで予備選をしたり、候補の一本化で駆け引きがあったりで次第に一騎打ちに持ち込んでゆく。
その過程もけっこうエグい描き方をしています。

その一騎打ちになった時、最後のイベントが「公開討論」

もっとみる
『関心領域』

『関心領域』

私たちは見たいものしか見ない。
もしくは、見てよいものしか見えない。
という生き物かもしれないですね。

映画は上の私の感想のような割り切った物言いのできる単純なテーマを扱っているのではないと思います。
しかし、私たちの「視野」の狭さや、スコトーマのような心理的圧迫から避けるために「盲点」に押し込め見えなくなってしまう現実があった、そして「今もある」と言うことだけは伝わって来ました。

「過去のこ

もっとみる
砂の上にも花は咲く

砂の上にも花は咲く

チャンユンドン、イジュミョン

知らなかった。
不明を恥じています。
韓国の競技「シルム」。

ではクイズ。
砂の上。
丸形のリング。
腰に回した縄状のものを掴んで押したり投げたり。
倒したら勝ち。
・・の格闘技はなんでしょうか?

シルムにかけた青春。
壮士を目指して汗と砂にまみれる若者も、夢半ばで諦めかけていた。
そこに子ども時代に「急にいなくなった」幼馴染みが現れる。
彼女はソウルで刑事にな

もっとみる
『上意討ち -拝領妻始末-』

『上意討ち -拝領妻始末-』

『上意討ち』
監督小林正樹
脚本橋本忍
主演三船敏郎、仲代達也

「最高!」
の一言しか出ない。

側室が家臣に下げ渡される。
意に反した嫁を拒むが、「家」はそれを受け入れろと説得。
豈図らんや、とても夫婦仲はよく、仲睦まじく、子まで成した。
しかし、藩の「お家の事情」で側室を返せと「お家」と「家」は迫る。

受け入れるのか?
拒むのか?

時代劇の最高中の最高。
最高です!
#いながキネマ
#

もっとみる
『異人たち』

『異人たち』

『異人たち』
主演アンドリュー・スコット, ポール・メスカル
監督アンドリュー・ヘイ

亡くなった両親が、昔住んでいた家で暮らしていた。大人になった自分と同じ年頃の、記憶の姿のまま。
子どもの時つらかったこと、いえなかった思い、伝えなくても言葉にできなかったこと、を伝えることができた。
そして、自分を理解してもらえた。

そんな日本映画がかつてあった。山田太一原作、大林宣彦監督、風間杜夫、片岡鶴太

もっとみる
『グエムル』

『グエムル』

『グエムル 漢江の怪物』
監督ポンジュノ
主演ソンガンホ、パクヘイル、ペドゥナ、コアソン

ご存知韓国モンスター映画の屈指の名作。
当代一級の俳優陣がアホアホ一家を演じます。
貧しく、社会でもスポーツでも詰め切れないそんな家族が、漢江から突然現れた怪物に呑まれた長男の娘を救うためにまさに這いずるような戦いを挑みます。

その戦いはまず、韓国社会、米軍、など今まで圧迫してきたシステムとの戦いがあり、

もっとみる
『ノマドランド』

『ノマドランド』

主演フランシス・マクドーマンド

経済不況で工場は倒産。それに合わせて街自体がなくなった。社宅を追われ、長年夫と暮らした砂漠の中の街を離れバンでひとりの生活。砂漠に旅立つファーン。

Amazonの出荷場で期間労働をした時に、車中泊生活をする人たちのコミュニティに誘われて、初めは拒みながらも参加。そこで色々な事情や思いを抱いて「ノマド」となった人たちとの交流が始まる。

アカデミー賞などを席巻した

もっとみる
『ジュリアン』

『ジュリアン』

『ジュリアン』2017 仏

DV(家庭内暴力)を理由に離婚調停をしている夫婦。11歳の子どもジュリアンは「あの男に母を殴らせないで」と意見書を書いていた。
ジュリアンの願いは叶わず、離婚後隔週面会の裁定が裁判所から下される。
ジュリアンに危険が迫る。

フランスは共同親権を認めている国。しかしながら、そのために問題が複雑化していて、それに疑問を提示する映画も作られ、ベネチア映画祭で監督賞も受賞し

もっとみる
『グエムル』

『グエムル』

これは最高です。
ヒョンソを怪物に連れ去られた、嘆き悲しむ家族たち。
そしてその夜ヒョンソから電話がはいる。
救出に立ち上がる四人の家族たち。
ドタバタで出鱈目で愚かしくて、悲しい、いろいろな感情が吹き上がる。
そんなはちゃめちゃ劇のラストはビシッと決めます。
それぞれの尊い瞬間がやってきます。

監督は韓国最高の映画『殺人の追憶』や『パラサイト』をとったポンジュノ。
主演はソンガンホ、パクヘイル

もっとみる
『三体』

『三体』

NetflixのSFドラマ。こりゃすごいわ。
話は難しいけど、映画の質をもこえとるね。

話は、1960年代の中国文化大革命から始まり、田舎に追放された若い物理学者の話から、世界各地のトップ科学者が謎の死をとげている。オックスフォードでも、葉教授の突然の死の話に時代が飛び越えて、葉教授が死を選んだ直前にゲームをしていたと聞く教え子たち。
なんのこっちゃ?でしょ。そのあと話が展開してゆくのですが、面

もっとみる