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『否定と肯定』

ホロコーストはなかった。
アウシュビッツで大量殺人など行われていない。ヒトラーはユダヤ人虐殺をむしろ禁じていた。
そう主張する歴史家アーヴィングを批判したリップシュタットが名誉毀損で訴えられた。

ホロコーストはあったのか?
なかったのか?
「あったに決まってる世紀の裁判」が始まる。 

弁護団は裁判の当事者リップシュタットにも、歴史の証人であるホロコーストサバイバーにも法廷での証言はさせない方針をとった。
差別主義者にエサを与えてはいけない。
苦しんできたホロコーストサバイバーを侮辱する場にしてはならない。

弁護団はアーヴィングの著作にある事実の改竄や証拠の都合の良い解釈を丹念に検証し、さらに彼の差別発言を過去の映像から証拠として提出し、彼の「学績」が差別思想による偏ったものであることを顕わにしてゆく。

アーヴィングが、自分のしたこと、日記に書いている内容が「差別的」であることを指摘されてもまったく理解できないシーン、彼の表情は滑稽にも見えるが、とても恐ろしくもあり圧巻。

それは私自身の姿であるかもしれないから。

歴史改竄や歴史修正主義者が日本にも存在するが、その人たちの選民的な発想や、属性の違うものへの差別観は、多分ご本人にもわからないことなのだろう。

そして私も自分にある差別の気持ちに気づかないことが多々ある。
それを指摘されたら、素直に受け入れたいと思う。差別は知らず気付かぬうちにこびりつく垢のようなものだ。指摘を受けて気付いたら、すぐにこそぎ落とさなくては。
そう思いながら観ました。

Amazonにありますよ。

#いながキネマ

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