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やばい、まじやばい! 映画やドラマの世界に参加できるようになっちゃって意外と楽しい ♫

やばい、まじやばい♪
何がやばいって、私が自由に映画やドラマの世界に参加できるようになったこと。
これが意外に楽しい♪ めちゃくちゃ面白い♪

私が自分の能力を知ったのは、映画の「ファイナル・デッド・コースター」を続けて2度見た時。
1度目に怖くてまともに見れなかったシーンを今度はちゃんと見ようと思ったの。
そしたら最初の予知夢の場面で、また”ひえーーーーっ”てなって、お尻の穴がキュってなった瞬間、コースターに乗っていた。
何?何?って思ったけど、考えてる暇なんてないから、”降ろしてー!!”って叫んで、とっととコースターから降りたよ。
だって、本当に脱線するもの。

で、友達が死ぬ原因となるものを片っ端からぶっ壊して回った。
だって、ストーリー知ってるもの。友達を見殺しにはできないでしょ。
日焼けサロンとトレーニングジムはユンボで破壊。ホームセンターはダイナマイトで爆破した。
ホラー映画が一気にランボーみたなアクション映画になった。 
(結局、私はホームセンターで爆死して元に戻った。その点だけが残念だったけど・・・)

それから映画やドラマを見ていて同じようなことが何度かあって、どうやら画面に集中しながらお尻の穴を思い切りキュッとさせると、映画やドラマに入り込むことができて、私が気を失うか、死ぬか、映画/ドラマが終わるかで、元にもどることがわかった。
あと、私が映画やドラマに参加しても、私自身の能力には何にも変化がないこともわかった。

で、私が夢中になったのがミュージカル映画への出演♪

私は自他共認める超音痴。音程もリズムもまったく取れない。
小さい頃から音楽の時間は地獄だった。
私が歌い出すと、教室中が大爆笑。先生まで爆笑。
だから、学生時代も社会人になっても、どんなに誘われてもカラオケだけは絶対に行かなかった。

音楽は聞くのも見るのも大嫌い。
なので、ミュージカルなんてホント嫌いだった。映画も舞台も。
何が面白いのかさっぱりわからない。
話の途中で登場人物達が唐突に歌って踊り出すとか、もう気がふれたとしか思えない。
登場人物達が能天気に楽しそうに歌って踊り出すのを見ると、すごくモヤっとする。
そんなことより、話をとっとと前に進めてーーって言いたくなる。

だから、やるしかない!って思ったの、私がミュージカルを。 ふふふ。

予想通り、超音痴の私がミュージカルスターになると映画の世界が激変した。

「サウンド・オブ・ミュージック」では、マリアの私が歌うドレミの歌は音階も音程も破滅的。もはやメロディラインすらよくわからない謎の呪文。
トラップ大佐一家の子どもたちは超歌嫌い、超音楽嫌いになったうえ、険悪だった一家の雰囲気はますます険悪になった。
私は家庭教師を解雇されて、そのまま修道院に逆戻り。
オーストリアが大混乱の中、トラップ一家は離散。みんながどうなったかすらわからない不条理な世界を描いて映画が終わった。

「メリー・ポピンズ」では、空からパラソルで上手に舞い降りることができない私はいきなりの垂直落下で大怪我。
なんとかバンクス家のベビーシッターにはなったけど、私の歌がひどくて魔法で部屋の片付けはできないわ、バンクス家の子供達の具合が悪くなるわ、煙突掃除夫は屋根から転がり落ちるわで大混乱。
バンクスさんは銀行をクビになったまま悲劇的なジ・エンド。

でも、私的にはもうめちゃくちゃ面白い。私の歌の破壊力がハンパない。私の歌がミュージカルの世界を変えてしまう!
「オズの魔法使い」ではエメラルド・シティ自体を破壊、「マイ・フェア・レディ」ではヒギンズ教授の期待を木っ端微塵に打ち砕き、「ウエストサイドストーリー」ではトニーとの恋は始まらず、私が先頭に立って敵対するジェッツを壊滅させた。

そして、私は「ボヘミラン・ラプソディ」への出演を決意した。

性差を乗り越えて、フレディ・マーキュリーになってみた。男性になるのは初めてだった。
でも、私のドヘタな歌だとブライアン・メイは見向きもしない。鼻にもかけてくれない。
いつまでたっても私は空港の荷物運びのバイトのまま。
これじゃ話が進まないから、ラストシーンのライブ・エイドのウェンブリースタジアムからフレディになることにした。

史上最大のライブ・コンサート。そこに私が立つ。

私の登場に熱狂する満員の聴衆8万人。
アメリカのJFKスタジアムでは10万人の聴衆が私に注目している。
そして世界84か国に衛星同時生中継で20億人以上が見ている。

私は観客に手をふり、腕を突き上げ、歓声に応える。
クイーンのメンバーがそれぞれの配置につく。
1曲目はボヘミアン・ラプソディだ。

ブライアンが目配せで、やろうぜって言ってる。メンバー全員が頷く。
私はピアノの前に座り、マイクの位置を直す。

観客の期待もマックスだ。8万人の熱狂、歓声が私を包み込む。
ここから歴史が作られる。
私は深呼吸をする。両手を鍵盤の上に乗せる。

私はクイーンの歌を何一つ知らない。英語すらできない。もちろんピアノなんか弾いたこともない。 

けけけ。

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