マガジンのカバー画像

歌詞

13
音を付けてくれる方、あわよくば僕と二人三脚でやっていける相方さんが欲しいという下心です。
運営しているクリエイター

記事一覧

夏を名付ける

「心の傷ってやつを見せてよ」「終わりゆくものと知っている事」 「愛の居場所を教えてよ」「多分、あの青空のどこか遠く」 空が終わるものと知っていたから 愛とは傷なのだと知った 愛は藍で 君の髪が靡いて 僕は目を逸らせなくて 青空を飲み干して 全てを手渡せたなら まだあの藍の下 二人は向こうを指差せていたかな 波打ち際を歩いた 潮騒に紛れる君を思い出した 空が沈む頃 指を下ろす頃 君は目を細めていたのかなって 「心の輪郭をなぞってよ」「雲をなぞるようなもの」 「恋の終着を見せ

君の終わり方

終わり方は夏でいいよ 防波堤に立ち尽くしてる 水平線の向こうに目を凝らす 曖昧な境界線に夏鳥二匹 君の息遣いが聞こえる 夏風が僕らを誘う 「世界に二人きりみたい」 瞳に青が溢れてた つまらない映画の感想 見てたんだ彼らの逃避行 主題歌だけは良かっただろ なら今ここで聞き流そう 汗ばむ手を取り合って あいつらみたいに踊ろうぜ 雲みたいに 波打ち際みたいに 忘れる事も忘れてさ 何も無い世界に 君の口ずさむ歌一つ あの夏語った終わりの歌を いまここで思い出してさ それだけでいい

Wへの追慕

君になりたい。 君の全てになりたい。 君の全てを知りたい。 君の人生になりたい。 君の生き方を真似したい。 君の生き様を知りたい。 君の死に様を知りたい。 君が考えている事を知りたい。 君の感情になりたい。 君が見ているものを見たい。 君が聴いているものを聴きたい。 君が嗅いでいるものを嗅ぎたい。 君が食べているものを食べたい。 君が触れているものに触れたい。 君が感じているものを感じたい。 君の世界を知りたい。 君を視界に映していたい。 君の音を聴きたい。 君の香りを嗅ぎた

また春、僕ら嫌って

開花予想が外れた 嬉しそうに君は笑ってた 蕾をすり潰せば春が香る ここで閉じ込めて置きたい 隙間風が吹き込んだ 君は目を細めた ありがちな別れが僕らを襲う 僕は忘れ物をする 歪んだ顔を二回見た 僕も真似して嫌った 催花雨に煙る嫌いな町が 少し欲しくなった 枝垂の君は頁を捲る 初春はまだ寒い 好きなものを手放していく 桜になり損ねた 君の嫌った春 花言葉を一枚、はらり降らせて 散れと願う間も 君は哀しく笑う 桃色を映し出す 君の眼に残花 今、ここに春を置き去りにして 紙の

終わらない音楽だけが欲しかった

珍しく夜が怖かった 電気は付けなかった 冷ややかな瞼裏が少し心地良い 目を開けてしまえば 夜が僕を襲うから 「朝が来なければいい」なんて 夜を嫌う僕は言う 生温かいフローリングの上で 世界の終わりを願ってる 強く吹いた風が窓を叩く 死神が多分そこにいる 瞼を閉じているのかすら分からないまま 朝が来たら散歩に行こう バラードでも聴きながら 海沿いを歩こう 優しい潮風に目を細めて 僕はイヤホンを付けた まどろみに身を委ねた 音が鳴り止む度 薄っぺらな膜は剝がされていった イ

君を殺す歌がうたいたい

言葉を育てる 君だけを傷付ける葉を その腐った傷口に一つ 僕の呪いを寄生させて 瘡蓋なんて付けさせるかよ 死ぬまで抱えていればいい いつか育った呪いが 全てを蝕むその日まで 君に穴を開けたい 直径十五センチの左穴 多分永遠に埋められないだろう 歪な代用品を探す この痛みが分かってたまるか この痛みは僕だけのものだ 吐き出した言の葉は この日を思い出させるから 君に一つでいい 傷を付けたかった ふと触れたとき疼いてしまうような そんな優しい傷を 僕にはあるんだ 君に殺された

君の瘡蓋でいさせてください

いつだって君が選ぶのは まるで違う方法だった 遠回りの末に薄膜を貼る 白い包帯を剥がしていく 泣き止む頃には忘れるけど 雨が降ればふと思い出す 無邪気な顔で君は殺す 笑ってごまかすのだろう 言葉なんかで救われてたまるか 痛々しく傷を残したい 君の痣にすらなれない 守っていた証明もいらない どちらも忘れられない君は きっと優しい人だから 君にすら覚えられない僕でいい そっと赤を閉じ込める 気付かないでいいよ 傷かない君でいいんだ 邪魔になったなら いつか剥がしていいからさ

指標が朽ちる音を聞きたくない

僕のせいにして欲しい 綺麗な言葉なんて要らなかった 空の音が聞こえた気がした 君にふ塞がれて聞こえなかった音だった 僕にとっては救いだった ただの我儘だけど 左隣がやけに涼しくなった 窓を閉めるのはいつも君で 悲しみも 頁をめくる手付きも 言葉も イヤホンの色も 笑える理由も 全部は君の真似事だったんだよ 君を殺したのが僕だったらいいのになんて 僕はまた君の笑顔を作りたくなる 涙の流れる速さで また歌が歌いたい ピアノの音のような君にしか歌えない歌 真似事の歩き方で進んだ

蒼の君へ

どこにも居ないような 誰かも知らぬような そんな影を求めて「あの日」を彷徨い続ける 「君も探し物かい?」 「忘れ物すら分からなくなってしまった」 「それもいいさ 君は君だ」 きっと僕らはどこかのはぐれ者だった 廃れた公園 寂れた遊具 蝉の聲と鉄の音 蒼色した空 似合わぬ錆の色 溶けかけの氷菓に あの空を重ねて見る 夏に描いたあの理想を 透明な君がかき鳴らしている どこにいるはずもないのに 確かに君はいないのに 「あの日」歩いた夏の道を 透明な君は覚えていない ひたすらに追

二文字

最後の日 書き殴った感情が今も黒板に残ってる気がする そうか僕は あの場所に何もかもを置いてきたんだね 壊れた古時計 針を追い求めるゾンビ 彼には何が見えてるんだろう 針を動かしたところで時は進まない 机に彫られたあの告白一線も どうせ誰かの残した寂しさなんでしょ その痛みは慰めに足りえましたか 気付けなかった僕が悪いの? 最初から分かっていたはずなのに 終わると知っていたとして 失うと分かっていたとして 僕は変わろうとしましたか 始まった事にすら気付けないままで 僕ら

赤色の後退曲

ふとあの日の夕焼けを思い出した イヤホンから流れた歌声が彼女だったから 頭にチラついた夕焼けが離れないんだ 忘れかけていた時間を鮮明に思い出させるんだ 言う程今が嫌いなわけでもないけど いやでも溜め息を吐くくらいには嫌いだけど 手に入らないものが美しいなんて言うなら やっぱり今を捨ててみてもいいかなと思う 死にたくなる青空があって あの日に還りたくなる夕焼けがあって 大きな忘れ物があるような気がして 揺蕩う僕の影をどうも好きになれない あの海沿いを歩いていた僕 何かに護られ

献上歌

小さな嘘をついた時 どこかに鈍い痛みが走るのは たかがそんな事で どこかがうずいてしまうのは 僕の全てが君に不釣り合いだと知っているから どんな言葉を並べてみたって 結局そんなもんかとうなだれてしまうのは どんなに叫んでみたって 君が耳傾けてくれないのは 僕の全ては君にとって些細なものでしかないから 分かってるよ 分かってるけど ねぇ 分かりたくないんだよ 愛してるなんて 好きだなんて 本当はそんな事は言いたくないんだよ 「僕の全てを捧げよう」とか 陳腐な言葉ほざいてみ

存在色

逆光でもない 黒でもない だから 意味をなさない光がこんなにも憎い 光を乱反射させる雪の上 醜い僕だけが輝けずにいた あんなにも憧れていた青はあっさりと壊れていく まるで教室の窓を割るようだと 誰に告げるべきか分からない四文字を いつまでも手の中で腐らせていた きっと赤色した嘘で取り繕う 黒い夜 一つ浮かぶ街灯が鬱陶しいな あの輝きみたいになれるはずだったのに 闇から無数に零れた冷たさは 輝きじゃない でも確かに救いだった 今日、僕は何色になれた? 恐ろしく無数の色を