献上歌

小さな嘘をついた時 どこかに鈍い痛みが走るのは
たかがそんな事で どこかがうずいてしまうのは
僕の全てが君に不釣り合いだと知っているから

どんな言葉を並べてみたって 結局そんなもんかとうなだれてしまうのは
どんなに叫んでみたって 君が耳傾けてくれないのは
僕の全ては君にとって些細なものでしかないから

分かってるよ 分かってるけど ねぇ 分かりたくないんだよ
愛してるなんて 好きだなんて 本当はそんな事は言いたくないんだよ

「僕の全てを捧げよう」とか 陳腐な言葉ほざいてみよう 僕の全てなんて たかがそんなもんだけど
僕が君にあげられるものなんて 君にしてやれる事なんて 大した事じゃないんだろうけど

僕は君にとってのなんなの なんて事を考えてしまうのは野暮なのかな
どうしてだろう 泣けてくるんだ


そんな風に届いて欲しいものに限ってさ 嘘っぽくてなんだか笑えてくるな
こんな簡単な事実を告げる事さえ 取り繕った仮面が外れないんだ

不甲斐ない僕はどうすればいい 何も分からないよ 何も望めないよ
気付いて欲しい 目を合わせて欲しい それすら僕には大き過ぎたんだ

「君に捧げる歌」とか言って 下手くそな音を鳴らしてみたいだけなんだ そんなもの君は忘れてしまうかもしれないけどさ ねぇ
確かな事なんて一つもなくて 隣にいたのは君じゃなくて なのに君を忘れる事さえできなくて

君になら僕の全部をあげられるのに 隠し事なんて一つもないんだよ わけも分からないのに涙が止めどないんだ


足りないから 足りないのなら 涙隠すこの雨も 君の横顔照らす夕焼けも 「綺麗だね」って声漏らす星々も
全部全部並べて君に届けたい 両手いっぱいに零れそうな願いと祈りを背負って 君の元へと走りたい
まだ間に合うかな まだ届くかな 君は振り向いてくれるかな


「君だけが僕の全て」なんて ただそれだけなのに でも本当なんだ 嘘じゃないんだ
僕はこれ以上何をあげればいいんだ 何もできない僕ができる事はなんだ
もう一度 もう一度だけ 僕の言葉を君に届かせてくれよ あの嘘も真実にしてしまうから ねぇ

僕の全てを 例えそれ以上でも たった一つの君に捧げたいんだ

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