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行きは良い良い、帰りは…

16歳で独りカナダに渡り、初めてバスに乗った時の事。

用事が済み帰りのバスに乗った頃、外は真っ暗だった。

生憎、当時のステイ先は鬱蒼とした森の中。
景色を頼りに降車するしか無いのに、街灯も無く景色は見えない。

そろそろだろうと思った場所で「ええい」と降りてみた。

(間違えた!)

すると一台の車がやって来た。

咄嗟に道を訊こうと思いつき、必死で飛び跳ねながら両手を振った。

車が停まり、窓が開く。中には強面のおじさま…
怯えながら拙い英語でステイ先の住所を言い、道を訊ねた。

「乗りな」と強面おじさん。

(ひえ〜、誘拐されるかも!)

そんな筈は無い。停めたのは私の方だ。

覚悟を決めて車に乗りドキドキしていると、数分後には見覚えのある家の前に到着。

安堵しておじさんに何度もThank youと告げながら、心の中で誘拐疑惑を詫びた。

無防にもカナダ到着4日目に、ヒッチハイクをしてしまった…

波乱万丈なカナダでの日々の幕開けだった。

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