見出し画像

平和な抗議運動に学ぶこと

今、ハワイ島のマウナケアと言う神聖な山で「抗議運動」が行われている。
古代からハワイの人々にとって大切な信仰の場である山頂に超大型天文台を建てる事を阻止するべく、先住民グループを筆頭に抗議運動の支持者が山頂へと続く道を封鎖しているのだ。この天文台の建設には、日本やカナダを含む5カ国が出資している。

この問題の概要はこちらを参照して頂きたいのだが、この一般的に言うところの「抗議運動」がとても平和的で秩序が保たれていると言う。

もしここで暴力事件が起きたり無秩序な状況がニュースになると、世間の目が本題から逸れてしまう。それを防ぐべく、みんなが細心の注意を払い協力し合っているのだ。

実際にライブ配信や動画を観てみると、何もない場所にテントと椅子が並び、毎日そこに人々が集まっているのだが、座り込みをしている人々の和やかな様子と整然とした状況がよくわかる。

同時に、役割分担がきちんとされており、設備的にもボランティアによって運ばれた簡易トイレは毎日汲み取りに来ると言うし、医療従事者が万が一に備えて待機するテントがあったり、大きな道路を横断する際に交通整理をする者が居たりと、とにかく整備されている。食料や日用品の寄付も続々と集まり、それもきちんと整頓された状態で保管されている。

秩序を保つべく、武器を持つ事や汚い言葉を使う事、喫煙、飲酒、ドラッグも当然禁止で、清掃をきちんと行う。他人をジャッジする事もしないし、ヒエラルキーも無し。ただただ自制心と「アロハ」の精神を保ち、愛の状態で在る事を促している。(「アロハ」とは真の愛を意味する。)

また、声を荒げている者は居らず、楽器を持ち込み音楽を奏でる人達、歌う人達、フラを踊る人達の姿はちょっとしたパーティーのようだし、ハワイ語や歴史の講義、フラのレッスンなどが開かれたりしている模様。なんとも楽しそうで、参加者がとても有意義な時間を過ごしている様に見える。

私が観た映像の中で、緊迫した様子が見受けられたのはたったの1度だけ。警察が長老たちを逮捕した際に泣き喚く傍観者が居たものの、連行される長老たちは声を振り絞ってチャント(祈り)を唱えながら、また、「ここを離れてはだめよ。山を守ってちょうだいね」と言いながら抵抗せずにその場から連れ去られた。

これまで世界のあちこちで起きた抗議活動、反対運動の記憶を辿ると、どれも怒号が飛び交い人々の表情は険しかった。もしくは、悲壮感が漂い観ている方も悲痛な思いになる様な映像だった。

マウナケアでの穏やかで和やかな抗議運動を観ていて、マザー・テレサの有名な言葉を思い出す。

反戦運動などには参加しません。ですが、平和活動には喜んで参加します。

マウナケアで座り込みを続ける人々は、自分たちを「Protesters(プロテスター、抗議する人)」ではなく、「Protectors(プロテクター、守る人)」だと言う。

本来なら怒りを爆発させてもおかしくない状況の中、彼らにとって不利な偽りの発言をした州知事さえも敬意を持って迎え入れ、神聖な山を守ることにフォーカスし続けている。

正直、この一件に関する知識が乏しくて、何が正解なのかはわからない。でも、自然環境をこれ以上破壊して欲しくはないし、マウナケア山頂にある信仰の場として大切な箇所に建造物を建てようとするなんて考えられない。例えば、明治神宮や出雲大社のど真ん中に天文台を建てるだろうか?

ハワイ在住の日本人の方も足繁く山に通い、動いておられる。天文台の出資国である日本の文部科学省に宛てた署名運動も始まった。

愛するマウナケアを守る為、自らが愛の状態で在ろうとするハワイの人々の精神に、世界は学ぶべき事があるのではないだろうか。

aloha & mahalo.

本の購入や寄付に使わせて頂きます!ありがとうございます♫