科学する

『科学する麻雀』ボツ原稿~長村大プロをディスりまくった

ふぃ、麻雀数理研究会の研究員、とつげき東北です。
2004年『科学する麻雀』(講談社現代新書)を、当時史上最年少の現代新書著者として出しました。
この本によって、麻雀は初めて「学問の対象」と位置付けられ、それまで「オカルト」と呼ばれていた麻雀プロの戦術や本が徐々に衰退していく流れができます。そうそう、これのおかげで、2018年Mリーガーの小林剛プロとすっげー友達になったんだ。
その本の原稿のうち、ボツ原稿となってしまったものを公開していこうと思っています。

今回は、当時「(数学などに基づいた)デジタル麻雀」という言葉でもてはやされた「長村大プロ」について、「テメーの計算全部ミスってるよバーカw」と書いた部分を紹介します!(本人同意済み)

パワーワードをいくつか。
長村氏の、論理(デジタル)を無視した思い込み(オカルト)である】165、152ページの記述は誤りである】
【デジタルという名前を冠して空想に浸っているだけでは、デジタルな麻雀の追求に程遠い】
長村氏自身の怠慢なのか、あるいは麻雀界の平均的水準に合わせているのか。】

少し背景のマジメな話(飛ばしたい人は先へ)

実は『科学する麻雀』の研究内容を修士論文として出そうとしていたのですが、当時の頭の固い指導教官から「そんな遊びの研究はダメだ!」と言われて、「こいつガチのアホか」と思い、大学院を中退したのでした(ついでに、27歳頃まで東京の女の子の家でヒモ生活を送りました。いやぁ楽しかった)。
現代では「ゲーム情報学(囲碁や将棋に始まり、麻雀やその他不完全情報ゲームまで)」として、「統計学」と同じランクにあるほどの「立派な学問」となっていますが、当時、麻雀の学術的研究など過去に例がなく、私の仕事を評価してくれたのは、電気通信大学の伊藤毅志先生と、公立はこだて未来大学の松原仁先生等(いずれもその界隈では超有名です)が中心となる「情報処理学会ゲーム情報学研究会」等でした。
その後、徐々にその研究の新規性や学術性、ガチ性(掲載絵が一例。これが麻雀本らしいぞ)が認められるようになり、東京大学において非常勤講師を行ったり、学士会の会報誌にインタビューが掲載されるなど、「ちゃんとした研究なんだ!」ということが広まっていったのでした。


ではさっそく、いきましょう。

いきます。
以下、草稿であり、文章などは汚いままですが、かなりディスってます。
そりゃ講談社現代新書も止めるわ。


「デジタル」はオカルトである

 麻雀界に「デジタル」なる言葉が登場して騒がれたのも、既に一昔前のことと言えるかもしれない。「デジタルの申し子」と呼ばれる日本プロ麻雀協会の長村大プロの著書を検証してみる。
以下、氏の著書より引用。

(★A図)2223456m2345678s ドラ南
まず、マンズ待ちから計算してみましょう。
258s待ちですが、どの待ちでアガっても点数は一緒。なので、ロンアガリが3000点×3枚×3種類の27000点。
ツモアガリが4000点×3枚×3種類の36000点。両方足した63000点がマンズを切ったときの期待値です。
(毎日コミュニケーションズ『真・デジタル』長村大著、P126より引用)

 この本全体を通して、「期待値」という言葉を使っておきながら実は期待値ではない謎の指標を計算していることが多い点については、この際置いておく。理論の単純化と、わかりやすさを考えてのことだろうと解釈したい。しかし問題は、この計算が明らかに理論として違うということだ。この方法を用いるならば加重平均を取る必要がある長村氏自身が124ページで「ロンアガリの可能性のほうが、ツモより3倍高い」と記述しているのに、この計算ではツモの確率とロンの確率が等しいということになってしまう(この理論に従うと、ツモれば8000点、ロンならば2000点という手と、ツモでもロンでも5000点という手の価値が同じになる。実際はツモよりロンの方が多いため、後者の方が期待値的にかなり有利である)。例えば、P128では、
111223m567p666s北北
という形からどれを切るべきかがこの理論で論じてられているが、氏が言うように仮にロンの確率がツモの確率の3倍だとすると、長村氏の結論と理論的結論とが逆転する。これでは何のための計算かわからない。
 筆者は何も、あげ足取りのために、理論の構築ミスを批判するつもりなのではない。著書のメインであるはずの「期待値計算」部分において、数十ページに渡って誤った理論で議論を展開しているのは苦しいものがあるとは言え、ミスは誰にでもある。ところが、以下のような記述はさらに疑問である。

「1枚目を鳴かない」ってことは、「この形からは鳴かない方がいい」っていう判断を下したわけですよね。そのあと同じ形のまま、2枚目が出たからって鳴くの、なんか変じゃない?
(同P165より引用)

もちろん、1枚目が出た時点では「鳴かないほうがいい」という結論でも、そのあと状況が変わって2枚目を鳴くことはいっぱいあります。でも、同巡だとそれはないですよね。
(同152ページ、153ページより引用)

点数が1/4なのだから、せめてアガリやすさが4倍くらいはないと五分五分の勝負になりません
(同P171より引用)

 これらの記述は「デジタル」と銘打って述べるには余りにも粗末ではないか。
 165、152ページの記述は誤りである。ある牌がまだ残っている状態ではポンを見送るべきで、そうでなくなったら同順(同巡)内であっても見送らない方が良い、という状況は実際にあるからである。
(★図を載せる)2m2m2m 3s3s3s 8p 北北 西西 南南 ドラ5m 
トップ45000 2位44000 3位6000(親) 4位(自分)5000
もっとも極端な例を上図に挙げよう。
北も西も南も1枚切れの状態で、順位戦だとする。オーラス4位で、トイトイ等では3位にしかなれない。スーアンコツモならトップである。この段階で北(1枚目)が出てもポンせずにスーアンコを狙うことは有利であり得るし、そしてなおかつ、同順のうちに西(2枚目)まで出たらやむなくポンして和了できる形にして3位を狙う方が得策であることは充分にあり得る。「同順内での1枚目と2枚目のメリットの差」が存在することが理解できるだろう。別々のページで2度も述べているのだから単なる書き間違いである可能性は低く、これは長村氏の、論理(デジタル)を無視した思い込み(オカルト)であると言えよう。

以下、有料とさせていただきます。
お読みいただき、ありがとうございました(=´∀`)人(´∀`=)

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