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安くて遠い仕掛け(役牌2鳴き)の是非

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん


1.はじめに

今回は、こんな感じのドラなし3シャンテンで、2枚目の中が出た場合を考えます。

選択肢としては、以下の3択になると思います。
中ポンして安手2シャンテンで手を進める
・2枚目の中をスルーして門前で手を組みなおす
・2枚目の中をスルーしてアガリを諦めて放銃を避ける(配牌降り的にする)

下記リンク記事の手法を使いつつ、搭子の種類や巡目によって、中ポンすべきかの選択が変わるかどうかをシミュレーションなどで調べてみました。

2.中スルー・アガリ諦め時の局収支(牌譜解析結果)

まずは、中スルーして降りる場合から考えていきます。

先のリンクで、配牌降り時の局収支は調べましたが、今回は、配牌時点でなく、少し巡目が経過して、情報が増えている(現在巡目時点で、アガリやリーチや副露が発生してないという情報)ため、それに対応した降り局収支のデータを新たに牌譜解析で取ります。

・4者のプレイヤー(以下、自分とする)の切り順と、局終了時点を調査対象とする。
・自分の切り順時点で、全員非リーチ門前
局終了時点で、自分は非リーチ門前
・以上条件に当てはまった総回数と、局収支をカウントする。
・自分切り順での巡目別、自分視点の局結果別、自分親子別に分類する。

この牌譜解析の結果を、自分が中スルー降りを選んだ(アガリ・聴牌流局・放銃の可能性が0)場合で、以下のようになりました。

配牌時点(1巡目)で被ツモ率40%、横移動率42%、不聴流局率18%で、巡目が深くなるにつれて、不聴流局率が増加し、被ツモ率横移動率は減少になります。

被ツモ時失点-2000~-2300点あたり、横移動時失点はほぼ0(微マイナスになってるのはパオによる影響と思われる)、不聴流局時失点は1巡目が-1067点から巡目が深くなるにしたがって失点が少なくなっていきます。

全体の局収支は8巡目くらいまでは-1000~-1100点あたりでほぼ一定になります。この値を中スルー降り時の局収支として採用します。

3.中スルー降り以外の局収支(シミュレーション結果)

次に、中スルー降り以外の、以下2つの戦略の局収支を考えていきます。
中ポンして安手2シャンテンで手を進める
・2枚目の中をスルーして門前で手を組みなおす

〇想定捨て牌

上家から2枚目の中が出た場面

まず、中ポンした場合は、2シャンテンなので、通常通りのシミュレーション(聴牌:全ツ、一向聴:危険度5%以上の牌を切ることになったら降りに回る、二向聴:危険度3%以上の牌を切ることになったら降りに回る)にかけて局収支を算出します。

次に、中スルーした場合は3シャンテンなので、そのままではシミュレーションにかけづらいです。

よって、下記リンクで使った方法で、中スルー時の局収支を計算します。

自分ツモ牌と他家から切られる牌について、乱数とツモ率出る率パラメータから決定する。
・他家切り順について、乱数とリーチ発生率パラメータからリーチの発生を決定する
・自分の切り順の打牌選択は(天鳳の牌理ツール使いながら)人力で決める(基本的に自己都合で枯れた中対子を積極的に切っていく方針)。
・自分の手牌が2シャンテン(ただし、枯れている中待ちシャンポンに依存しそうな手牌なら対子落としで手を戻す、メンツ手が見える七対子二向聴はメンツ手でも二向聴になるか七対子一向聴になるまで続ける)になる、もしくは他家からリーチがかかった直後の自分のツモ番時点で上記作業を中断する。
・ここまでで得られた自分手牌・他家捨て牌(+リーチ状況)を入力値として、シミュレーションにかけて局収支を算出する。
・上記サイクルを1配牌につき20回行う。

例えば、両面×2とリャンカンと中対子の3シャンテン(4m5m7m1p3p5p8p3s3s7s8s中中)で4巡目の場合、2シャンテンになるor他家リーチかかるまでツモと打牌と他家切る牌を生成した結果が以下の表のようになります。

1列目から順に、中断時点巡目(平均6.55巡目)・他家リーチ者有無(リーチあり率15%)・中断時点の自分手牌・自分のツモ牌・自分捨て牌・他家捨て牌・ドラ表示牌となります。

この20個のシナリオを入力値として、シミュレーションにかけて以下の表にまとめます。

行方向が各シナリオで、列方向が左から巡目・他家リーチ・自分手牌・現巡目での打牌(局収支が最も高い打牌を選択)・局収支・アガリ率・放銃率・聴牌流局率・半荘収支・天鳳ptです。

例えば、1番目の4m5m7m9m1p3p3p5p3s3s6s7s8s中(8巡目・他家リーチなし)となったシナリオで、打7mとした時の局収支-1056点、アガリ率4.6%、放銃率11.1%、聴牌流局率14.9%などです。

20シナリオ分の局収支の平均値を取ったものをスルー通常進行時の局収支として、配牌降り時(-1000~-1100点)と中ポン時(中央下部の太字部分)を比較して、どちらが有利かを判断します。

両面2つの3シャンテン・4巡目の場合、中ポンして2シャンテンが-850点で局収支最も高くて有利で、次いでスルーして降り(-1063点)スルー通常進行(-1182点)の順となります。

ここから、現在巡目を遅らせたり、3シャンテンの形を悪く(両面を愚形にするなど)して、2枚目中ポン判断が変わるかを見ていきます。

以下、注意点をいくつか(配牌降りの時と同じ)。
・2シャンテンになるor他家リーチがかかるまでの巡目について、副露やダマアガリの可能性を無視している
・自分の打牌選択について、現在巡目以降他家捨て牌による見え枚数は考慮しないものとした。
・他家リーチがかかってから次の自分のツモ番までの間、他家切る牌分布やリーチ発生率をリーチなし状態のものを参照している

次に、両面×2+リャンカン3シャンテンのまま、巡目を4巡目→6巡目に変えてみます。

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