まひろ朱夏mahiroshka

文章を書く、絵を描く、音楽をつくる。 Rework with 「ハナミズキ」参戦

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最近の記事

被災地で父を送る

父が亡くなった。 危篤の報を受けて急遽帰省したが、わずかに間に合わなかった。 私の故郷は能登の地震の被災地にある。 故郷に近づくにつれ、車窓から見える家の屋根にはブルーシートが目立ち始め、倒壊した建物も見えた。駅のホームにも裂け目が残されていた。 父は歌が好きだった。 歌の上手さは本物で、若い頃はのど自慢荒らしで大手レコード会社からわざわざスカウトが来たこともあったらしい。 初めて採点カラオケで歌ったとき、いきなり99点を出し、「100点の取り方、分かったわ」と豪語し、2

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    9月のポートレート

    9月のポートレート

    Rework with 「ハナミズキ」に参加して勝手に一青窈さんとデュエットを実現した。③

    なんとか楽曲を完成し、リリースに至った「ハナミズキ」Rework 、どんな曲になったのか。 さて、配信するにはジャケットの画像が必要。曲の制作の合間、雷や雨で音作りがしづらいときは絵を描きました。 ハナミズキの花をバックに、ピアスもハナミズキ。蝶は以前撮った写真から。「ひらり蝶々を」ですね。ベタに歌の世界を絵にしてみました。 いよいよ、曲のポイントをご紹介。 イントロから… 誰もが知るあのピアノのイントロを大胆にも捨てました。多くのカバー曲でもほぼそのまま使われてきた

    Rework with 「ハナミズキ」に参加して勝手に一青窈さんとデュエットを実現した。③

    Rework with 「ハナミズキ」に参加して勝手に一青窈さんとデュエットを実現した。②

    ①話で、Rework with 「ハナミズキ」参加を決意、言葉遊び満載のハナミズキ魔改造を企んだ私に訪れた変化とは? TuneCore様の特設ページから、「ハナミズキ」のパラデータをダウンロードし、まずはパート毎の音を聴きます。 これが本当に興味深いのです。完成した「ハナミズキ」は何百回聴いたかわかりませんが、トラックの一つ一つには、本来聴くチャンスがない生々しい音が記録されていました。 ストリングスのパートには楽器をつがえたり下ろしたりするノイズが。リズム・セクションで

    Rework with 「ハナミズキ」に参加して勝手に一青窈さんとデュエットを実現した。②

    Rework with 「ハナミズキ」に参加して勝手に一青窈さんとデュエットを実現した。①

    いやぁ、自分でもびっくりするくらい長い間noteを放置しました。前の記事が2019年ですって。ドン・ヘンリーのアルバムくらい間が空いてる(伝われ〜)。 有り体に言えば私生活はしんどい日々でした。でした、じゃない。今もまだhard life goes onです。 さて本題。そんな日々の中でも、音楽は作っていました。数曲配信リリースもしました。インストゥルメンタルばかりで、お金にはなりません。ボカロとか使ってポップな歌モノも作りたかったのですが…いやいや言い訳はやめよう。 そ

    Rework with 「ハナミズキ」に参加して勝手に一青窈さんとデュエットを実現した。①

    芸術は表現から自由になれるのか

    これからお話するのは、美術系の学校に入ると美学のガイダンスで聴くような話。美大卒でもない私ですが、他学部の芸術学の講義に潜り込んで(一応先生の許可は得て、です)聴いた内容を元に、備忘録的に残そうと思い、徒然に書き始めた訳です。 これを書いている時点で、「あいちトリエンナーレ2019」「表現の不自由展」を巡る騒動は小康状態です。これを書こうと思ったきっかけの一つには違いありませんが、是非の議論に加わる気はありません。あくまでも芸術/アートの根本的な問題について書こうとしていま

    芸術は表現から自由になれるのか

    昏い彼岸へと手を伸ばす

    夢の背景は昏い。 闇の中、濁った水に朧に像を結んだ幻影は、理性の手綱の弛んだ頭に、それでも現実との水際を見失わせる。 果して夢は、眠りの中にだけあるのではない。覚醒の中にあっても、白昼の星月のように心の遠景を廻っている。 夢には真も偽もなく、善も悪もない。如何に不条理な夢であっても、不道徳であっても、自らを恥じたり、呵責に悩む事はない。むしろ芸術家や文筆家であれば、その危うい晦冥に踏み込み、泥濘の中から貴石なり、劇物なりを手繰り出す肚がなければいけない。 暗鬱たる深淵か

    昏い彼岸へと手を伸ばす

    『ボヘミアン・ラプソディー』のヒットの理由について、あまり言われてないので自分で言いたいこと。

    「ヘッドフォンからの音楽の解放」、それが映画『ボヘミアン・ラプソディー』の大ヒット・ロングランの理由の一つである事は間違いない。大型スクリーンの映像と共に空間に音を響かせる、映画館という「装置」そのものが、動員と満足度に大いに貢献した。そしてその装置に完璧にマッチするコンテンツとしてクイーンがあった。 クイーンの同時代ファンは、良い音を空間に響かせるためのオーディオ機器にこだわった世代だ。クイーンの音楽は、そういう音楽との付き合い方に合っていた。 そんな時にソニーのウォー

    『ボヘミアン・ラプソディー』のヒットの理由について、あまり言われてないので自分で言いたいこと。

    November Rain ~short story

    天気予報は占いの100倍は確かだ、と思う。 そのわりに、外れても恨む気にはなれない。むしろ、当たらないと思ってる占いに勝手に期待して、裏切られたと思うのは、天気は変えられないけど、運命は変わるかもしれないと思いたいんだろう。 仕事帰りの電車で会った高校の同級生の奈々実と、駅のそばのスタバでそんな会話をしていた。11月の半ばの金曜日、駅前の広場では、クリスマスのイルミネーションが始まった。予報は夜から雨だったのに、降り出しが遅くなったのか、お天気お姉さんのアドバイスを素直に聞

    November Rain ~short story

    H氏の特殊すぎるキャリア

     以前の勤務先の上司だったH氏のこと。  彼は誰もが知る大会社の出身で、私の勤務先の総務部長に迎えられた。就任早々、私に、  「実務のことはわからんから、よろしくね。」  と言った。すぐにそれは謙遜でもなんでもない事がわかるような出来事が続いた。  ある時は、新しい社員寮の物件を決めた後、手付けを打つのを忘れ、新卒の受け入れ二週間前に別の物件を探す羽目になった。すでに新卒者には入寮案内を送ってあったので、私は全員とその親御さんにお詫びの電話を入れた。  またある時は

    H氏の特殊すぎるキャリア

    唇に赤い花 ~short story

    「終わったら30分くらい付き合って?」  営業部のチバタこと千葉辰己から、昼休み中にメールが来た。彼から私に直接連絡が来るなんて、多分初めてだ。 「何の疑問型だよ。」  と突っ込みながらも、秒速でOKを返す。明日できる事は今日やらないと決めて、サクッと定時上がり。ロッカールームで化粧を直し、さり気にパフュームをつけて、待ち合わせの駅近のカフェへ。  軽く息を切らして飛び込んだ私を、チバタは引き気味の笑顔で迎えた。 「お疲れー。ありがとうね。」 「お疲れさま。どうした

    唇に赤い花 ~short story