2回目の夢が見つかった日
しばらく2回目の夢探しは続いた。
本当にやりたい事はなにかを一生懸命探した。
むやみやたらと行動しても見つからない事を知った僕は一度落ち着いてみた。
日々の生活の中で、ふと見つかるかもしれない と
心のどこかで期待していた。
何となくではあるが、次にやることは
これまで勉強してきた事を生かせるものでありたいと考えるようになっていた。
そんなある日のことだった。
僕が担当していた女性患者さん(以下Aさん)が、今まで脳の病気で会話出来なくなっていたのが、急に話せるようになったのだ。
脳血管疾患(くも膜下出血、脳梗塞、脳出血)は発症間もない時期に、急に症状が回復することがある。比較的、若く回復力が高い患者さんに期待できる。
Aさんは運が良かった。
多少の構音障害があり、聞き取りづらさはあったがコミュニケーションは取りやすくなった。
日に日に、Aさんは話すことが上手になり
笑顔も増えた。
病室にはいつも沢山の化粧品が置いてあった。
化粧品が好きなんですか?と聞くと、楽しそうに美容の話を始めた。入院する前はエステサロンにも定期的に通っていたとの事だった。
この頃のAさんは片麻痺(半身不随)の後遺症があり車椅子の生活であった。一人で起き上がることも出来なければ、化粧することも難しかった。(片手でできる範囲ではしていた)
「もうエステサロンには行けないねー」と軽い口調でAさんは言った。表情は悲しげだった。
僕はすぐに返す言葉が見つからず、少し間が空いて「また行けるようにリハビリを頑張りましょう」と励ました。
この出来事がきっかけとなり、今のサロンコンセプトの一つである
【病気や怪我がある人でも安心して通えるサロン】に行きついた。
僕はAさんとの会話から2回目の夢の答えをもらい、エステティシャンを目指すことを決意した。
決意から次までの行動は早かった。
続く。