akitaka_nakura

映画・映像が好きです。最近意識高めです。

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最近の記事

映画『オーバーフェンス』のはなし

撮影の近藤龍人の映像が観たくて鑑賞 監督の山下敦弘の作品も好きなもの多く 『天然コケッコー』のタッグとあれば期待しかない まず撮影において 引きの画の構図がすごく良い カメラ位置が若干低く手前、中間、奥の層があることが多く 引きの絵での1カットも多かった 構図が良いが故に1カットなのか 芝居が良いからなのか何故なのか 移動ショットも多かった印象 地味だけど印象に残ったのは、 オダギリジョーと松田翔太のバーでの会話 イマジナリーラインを超える時があった 抜けに蒼井優がいてそ

    • 映画『シンプルメン』のはなし

      この映画は内容や物語を見ていこうというよりも カットや照明などに比重を置いて見ていこうと思い鑑賞。 まず思うのは、基本的にずっと画が狭い。 多少引いていても望遠気味でFFちょい広めとかだから ロングがほぼなかった それでも人物がどういう場所にいて 何をしているのかというのが分かるようになっていて驚く。 予算は知らないが、 画が広くなるにつれコントロールしにくいことが増えるのは事実で 照明も録音もそうだし 外ロケであれば背景の整理も考えると 色々コストがかかる。 そういう面

      • 映画『トラスト・ミー』のはなし

        登場人物それぞれが明確な悩みと問題を抱えている 家庭、特に両親なんて自分の意思では選べず 最近では親ガチャとかいったりもするように 自分ではどうしようもない問題というのがある マシューもマリアも片親で物語が展開される 親はそれぞれ潔癖症や人形や道具のように子を扱う ややこしく曲がった思考の人間で 家庭環境は悪く育ってきた2人だ ファーストカット、一目でわかる育ちに難ありの少女マリアは 家庭環境のみならず妊娠し相手には捨てられ課題を抱えている マシューも工場で働きつつも態

        • 映画『台風クラブ』のはなし

          台風が近づくにつれ不穏な空気に包まれる どのように撮影をしたのか分からないが 背景の木々が風でわさわさ揺れるのが印象的で、 心理描写としても効果的に使われていると感じた 序盤、パンフォーカスの望遠で走る少女を捉えた画の 風はとても力強かった 人物の動きに合わせてワンカットでの移動ショットが多く 気がつくとあれ?まだカットしていないと驚く場面が多々あった 常に人物を捉えている必要はなく ワンカットの中で大きく映ったり小さく映ったり、 映っておらず手や足場合によっては風景だけ

        映画『オーバーフェンス』のはなし

          映画『ミッドサマー』のはなし

          ミッドサマー 夏至や夏至祭といった意味らしい それなのに冒頭冬の雪の降る森の映像から始まる。 家族の悲惨な事故を知り泣き崩れる主人公ダニー、その背景にも雪が降りつづけ カメラは窓とその奥にドリーインしてオープニングシーケンス終了 ダニーは彼氏とその友人とスウェーデンで行われる夏至祭に参加することが決まる。 その場面からスウェーデンへの空間の遷移の見せ方がかなり印象的で、 ダニーが室内からトイレに移動すると機内のトイレにシームレスに切り替わり 客室に戻るとカメラは飛行機の廊下

          映画『ミッドサマー』のはなし

          映画『スローターハウス5』のはなし

          正直この映画は難しくてしっかりと理解できたとは言い難い。 今見ているのが何か、それはまぁ分かっていても、 そもそもどの時代から話がスタートしたのかというのが見終わるまではっきりしなかった。 この映画を知ったのは、そもそもは今敏のレビュー動画をyoutubeで見たのがきっかけで、見ている最中に『千年女優』シーンのつなぎを思い出した。 間違っているかもしれないが、 この物語の空想が始まるのは主人公が家でタイプライタで物書きをしているとことだ。つまりはそこは現実で、そこから過去

          映画『スローターハウス5』のはなし

          映画『万引き家族』のはなし

          是枝監督の映画は、観るのにあたり多少覚悟を持ってみなければいけない気がしていて、公開から4年も経ってしまった。 見ていてまず思ったことが、すっきりとした構図が少ないなということだ。特に血の繋がりの無い家族が同居する家の中は生活感が必要以上に出ていて、むしろ確実に限界を迎えているのに無理をしてそこにいる人たち自立できない人の集合体の住む家として、乱雑な背景にしてあったのではと思う。 汗ばんだ体や、ノーメイクに見える表情や、顔に影の落ちるライティングが自然体というな本物っぽさ、

          映画『万引き家族』のはなし

          映画『悪い奴ほどよく眠る』のはなし

          黒澤明の映画で、現代劇のものは『生きる』『天国と地獄』に続いて3本目になる。 見始めてまず思ったのは結婚式から始まる映画は珍しいなと思う。そしてその結婚式が面白い。沢山の記者が押しかけ、警察も現れ披露宴の最中列席者の一人が逮捕される。不穏な空気が流れる。巨大な組織で行われた不正に関与していそうな人物が次々に映し出される。その人物と過去の不祥事を披露宴を外から見ている記者が説明をする、斬新なアイディアと思った。 全編通して思うのは、気づけばワンカットと思うワークが多々あっ

          映画『悪い奴ほどよく眠る』のはなし

          映画『父親たちの星条旗』のはなし

          硫黄島での日本とアメリカとの戦争の映画かと思いきやそこはあくまで下地の話であり、実際に描かれるのは戦地から英雄として帰還した3人の苦悩と葛藤だ。 序盤、観ている中で思ったのは主人公が誰なのかが分からないという事だ。 こんなことよくある映画ではまずあり得ない。ある程度きっと彼だろうというのはあるものの明確に提示されることのないまま進む。 これには確実に意図があるのだろうと思い映画は進む。 主人公、登場人物の分かりずらさと共にもう一つ、 映画の展開が若干複雑だ。 戦場のシーン

          映画『父親たちの星条旗』のはなし

          映画『天国と地獄』のはなし

          これは面白い!最後まで見終わるとこのシンプルなタイトルの持つ意味をよく考えさせられる。 前半の根幹となる他人の誘拐事件に巻き込まれる形がまず良い。我が子では無く他人の子のため身代金を払う払えないの葛藤が始まる。巨額の身代金を払うことができる金を今まさに持っている、しかし支払ったら家族が露頭に迷うことに、、、それぞれに思惑があり正義がありドラマが始まる。 そのドラマを映像でしっかり見せてくれ映画だ。カメラ位置は動きフレームの中に複数の人物が映り、前後で配置され手前奥で芝居が

          映画『天国と地獄』のはなし

          映画『この世界の片隅に』のはなし

          誰か見ず知らずの特別な人の物語ではない。戦時中という現代の私達からするとあまりにもかけ離れていて想像しにくい現実ではあるが、そこで描かれている人たちはまさにその当時の悲惨な現実を必死に生きた普通の人々だ。 普通というと語弊があるかもしれないが、戦争に巻き込まれ、人生、家族、土地、自由を失いそれでも明日を思い描き懸命に生きていた人たち。当時の日本ではおそらくそれが普通の光景だったのだろうと思った。 すずの健気な生き様と、のんの優しげで頼りない芝居で鑑賞中2度ほど目頭が熱くな

          映画『この世界の片隅に』のはなし

          映画『千年女優』のはなし

          面白すぎてメモを取るのも忘れ気がついたらエンドロールになっていた。 パーフェクトブルーを以前観て度肝を抜かれ、分かってはいたがやはり映像の展開が面白すぎる。シーンそれぞれに連続性はなく、突然背景がガラッと変わるわけだが、セリフや芝居やカメラの動きなど豊富なアイディアで違和感なくシーンを繋いで見せるのはその発想が素晴らしい。 途中からさぁ次はどのように切り替わるんだろうか、そう来たかぁ!とワクワクしながら鑑賞できた。こんなに楽しい映画を観せてくれて本当にありがとうございます

          映画『千年女優』のはなし

          映画『オズの魔法使い』のはなし

          1938年公開の映画ということは80年以上も前の映画ということになる。まずそこが驚きだ。当然技術的な面でこの映画を評価するなんてことはないし逆に特殊効果やセットを使ったトリックなど、面白いものを見せよう観客を楽しませようといった趣向が多く見られそれだけでも満足だ。 弱いものに対し優しさを見せるドロシーは、完璧な主人公といえる。自分の持つ意見を大切に行動しそれでもまだ幼いため壁にぶつかりそれでも逃げずに乗り越え、他人と協力し希望を叶える。 見ていて早々に思ってのは、展開の速

          映画『オズの魔法使い』のはなし

          映画『叫』のはなし

          以前、黒沢清の映画『 CURE』   を観た時にこんなに怖い映画があるんだと驚愕したのを覚えている。個人的にホラーを観るのはやはり苦手で、なるべくなら観ないでおきたいのだが、勉強と黒沢清の映画ということもあり観た。 観ていて印象に残るのは、風や光や水や傷や影や煙などが不気味に主張をしていることだ。主張というかもっとさりげなくだが確実にその映像に命を与えていると思う。透けていてなんとなく向こうが見えるけど実態は不明であったりピンボケしていて表情はわからないがそこにいてこっちを

          映画『叫』のはなし

          映画『母なる証明』のはなし

          ポンジュノの映画は『殺人の追憶』が大好きで、なんと説明したらよいかは分からないが、見えそうで見えない怖さやじとっとした気落ち悪い映像がどこか心地よい。 本作でいうと、 オープニングから何処か乗り切れなかった。なぜか、、、彩度の低い草原でそこそこの広さはあるものの若干俯瞰気味で撮影され奥行きはあるものの森で閉ざされ奥行き感はあるのものの抜けきれておらず閉塞感を感じるファーストカットだ。そこで踊り始める。疲れた表情はわかる、終盤そこに戻ってなるほどとも思う。しかしなぜ踊るのか、

          映画『母なる証明』のはなし

          映画『タクシー運転手』のはなし

           隣国韓国でおよそ30年前にこんな事件があったなんて知らなかった。最初ジャケットを見た限りだとほのぼのしたヒューマンドラマかと思っていたがそれは大間違いで悍ましく酷い実際に起こった出来事だった。 まず何よりもソンガンホの表情が素晴らしい。『殺人の追憶』でも思ったことだったが男性俳優でここまでの顔のアップの連続で語っていける人物はあまり思い浮かばない。それほどまでに彼の目の前で起きている悲惨な現実をよりリアルなものとして我々は受け止めるのだ。 映画を見ている中で、弱者と強者

          映画『タクシー運転手』のはなし