不動産売却の時、勘違いしていませんか?

都心中心部の新築マンションの
平均価格が億を超えた。


そんなニュースを、
今年に入ってからも
耳にすることがあります。


パワーカップルと言われる
世帯年収が高いご夫婦が、
マイホームとして買うケースも
ありますが、高値を牽引しているのは、
投資目的で買う、
いわゆる国内外の富裕層と言われる
方々ではないか、と私は感じています。


人件費や材料費が
上がっていることも
もちろんありますが、
それを補って余りある資金を、
マンションに投じられる方が
いなければ、売買そのものが
成り立たないからです。


いやはや、すごいなぁ、
という言葉しか出てこないです。


実需ではなく、投資目的で
買うような方は、
実需のマイホームとして買う方以上に、
気にしているポイントがあると思います。


それは、手放すタイミング、です。


最近の日本の総合商社ではありませんが、
事業投資は、お金を投じ、収益が見込めて
軌道に乗った後に売却する、という流れを
繰り返すことが多いと思います。


不動産投資も、投資とは言いながらも、
賃貸事業という事業投資。


その点で、いつ、どんなタイミングで
手放すか、という判断も、
ひとつの大切な経営判断に
なってきます。


もちろん、手放さずに
賃料収入を得続ける
という判断も賢明な判断。


物件ごとに、
手放す、保有を続けるなど、
どんな未来を思い描いていくかなどを、
考えておくことは
大切だと私は考えています。


そんな賃貸事業で「手放す(売却)」
という判断をされる方、
または検討されている方が、
私の周りにもいらっしゃいます。


理由や事情は様々ですが、
話をしていて、売却時の誤解として
良くあること。


それは、
売却した時の利益の考え方、です。


例えばですが、
2,000万円で買った物件を、
5年後に2,000万円で売った場合。


譲渡に伴う税金は、いくらくらいに
なるでしょうか?


この質問を投げかけた時に、


「買った値段と売った値段が
 同じだから、
 譲渡税はかからないでしょ!」


と、おっしゃる方が、
比較的多いように私は感じています。


あなたは、どうですか?
同じ誤解、されていませんか?


これが、金融資産の投資である、
株式や投資信託の売買であれば、
買値と売値が同じなので、
譲渡の税金は発生してきません。


ただ、不動産投資、大家業の場合は、
そうはいかない、ということを、
頭に入れておいて下さい。


そのポイントは、「減価償却費」です。


よく節税になるポイントとして、
お金を支出しなくても
経費が作れるのが減価償却費。


減価償却費が多ければ、
不動産所得がマイナスになって、
所得税や住民税の節税につながる、
という話を聞かれたことが
あなたもあるかもしれません。


もちろん、これは該当すれば
間違いではないし、
実際、所得税、住民税の節税に
つながることもあります。


ただ、今回ポイントにしている、
売却時の譲渡税という点では、
保有している間に、減価償却費を
多く入れていれば入れているほど、
譲渡時の利益が大きくなり、その結果、
譲渡税の支払いが多くなる
可能性があるのです。


具体的な数字を使ってお伝えします。
イメージを分かりやすく伝えるために、
諸費用などは勘案せずに伝えます。


2,000万円で買った物件。
建物価格が1,200万円、
土地価格が800万円で、
耐用年数は30年と仮定します。


減価償却は、建物のみが
対象になるので、
1年あたりの減価償却費は、
1,200万円を30年で割った
40万円になります。


先程伝えた例のように、この物件が、
5年後に買値と同じ2,000万円で
売れたとした場合。


土地の800万円は買った時から
変わらずですが、
建物に関しては、
減価償却費として経費に入れた、
40万円の5年分にあたる200万円、
帳簿上の価格は
下がることになります。


すると、建物価格は、
当初1,200万円だったのが、
▲200万円で1,000万円。


土地の800万円と合わせて、
売却時の帳簿価格は
1,800万円となります。


売値が2,000万円の場合、
この2,000万円と
帳簿上の価格1,800万円の
差額200万円が税金上の
利益とみなされて、
譲渡税の対象になってくる、
というのが仕組みです。


お正月を6回迎えていない
短期譲渡であれば、
この200万円の約4割。


6回迎えた後の
長期譲渡であれば約2割が、
譲渡税として、
確定申告時に支払うことに
なってくるのです。


このような仕組みがあるので、
不動産投資の場合、手放す時には、
買値と売値が同額だから、とか
買値より売れた値段が下回っているから、
というだけでは、譲渡税が発生しない、
とは言い切れないのです。


ここの誤解は、比較的多く見受けられ、
実際に納税が発生した時に、その分の
金額を残しておかなかったという
ケースも往々にして起こりえます。


あなたも、
もし不動産を手放すことを考えている
のであれば、買値と売値だけでなく、
減価償却費を加味した
帳簿上の価格も意識して、
譲渡税の支払い時に
頭を抱えることがないように、
気を付けて頂ければと思います。

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