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ロンドンでの子女教育その①:学校選択

海外赴任で気になるトピックスの一つに、子どもの学校問題があるかと思います。我が家の場合、全く情報がない状態からのスタートだったので、学校選びは試行錯誤の連続でした。学校に馴染むのに苦労したり、先生の対応に心を痛めたりしましたが、変化を恐れず行動をして、3校目にしてようやく理想の学校に出会えました。

どの種類の学校に通わせるか

赴任時の子どもの学齢や現地語の習得度合いによって選択できる学校が絞られますが、ロンドンでは現地校(公立/私立)、インターナショナルスクール(私立)、日本人学校(私立)といった選択肢があります。

公立校の場合は、基本的に学費は無料。ランチも所得によって無料(学校で配布されるランチが、唯一の食事の子どももいるため)で提供されます。学校の制服も日本と比べて安価で1000円ちょっとでスーパーで買えますし、買えない場合は学校の先生がこっそりくれたりします。公立校にもそれぞれ特色があり、教会の推薦がないと入るのが難しいといわれているイギリス国教会やカトリック系の学校であったり、生徒の90%がイスラム教徒(アフリカや戦地からの移民)の学校であったり、アフリカ系イギリス人の生徒がほとんどの学校、いろいろな国籍の子どもたちがいるMixの学校など、ほんの100メートル離れただけの隣の学校でも個性豊かで面白いです。ロンドン中心部だけにフォーカスすると移民も多いカルチャーミックスの国際都市なので、公立校ではホワイトブリティッシュが多数派になることは稀ですが、郊外やロンドン以外の都市、私立校は一転してホワイトブリティッシュが大多数を占めるそうです。

私立の現地校の場合、学費が高額で500万円/年ほどになります。学校の送り迎えに黒塗りのベンツやレクサスが列をなしているそうなので、学費のほかにも同じ水準を保つとなるとかなりの所得がないと子どもや親が劣等感を抱いてしまうかもしれません。また私立の現地校はホワイトブリティッシュやヨーロッパ系の白人かつ上流階級のご子息ご令嬢が多いため、昔からアジア人はいじめの対象(特にコロナが流行ってきた初期は顕著だったそう)になりやすいそうです。そんな理由もあり、会社からの補助があるケースでも公立校に通わせているご家庭は多くいらっしゃいました。

一般的に、子どもが既に小学校に通い始めている年次で赴任を迎えた方の多くは、日本人学校や、週末の日本語補習校に通える地区に居住される方が多いようです。子どもが2-4歳くらいで赴任となった場合は現地のナーサリーや現地校のレセプションクラスに入れ、そのまま現地校で小学校生活をスタートされる方が多いように感じます。駐在期間は長くても5年、だいたい3年くらいで終わるので、小学校低学年や就学前に帰国するなら現地校でも問題ないと考えていらっしゃる方が多いように思います。

外部機関(OFSTED)による学校評価

OFSTED(オフステッド)は1992年に設立されたイギリスの第三者による学校評価機関のことで、英語でOffice For Standards in Educationの頭文字をとった名称です。弁護士、会計士、教職経験者、学識経験者などで構成する視学官(Inspector)が通常四人でチームを組んで学校を訪問し学校評価を行います。イギリスに住む親御さんがお子さんの学校選びの際に必ず参照するのがこのOFSTEDの評価となります。評価は上から順に5段階※に分かれており、大体の学校がAdequate(適切)以上でその下の二つの評価がついている学校には子どもたちを通わせることはさせないようです。

※OFSTEDの5段階評価:Outstanding(傑出)/Good(優秀)/Adequate(適切)/Requires improvement(改善を要する)/Inadequate(不適切)

どの学校がどの評価を受けているかと実際のレポートはOFSTEDのサイトから検索をして閲覧することが可能です。

https://reports.ofsted.gov.uk/

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OFSTED(オフステッド)の評価はどれくらい当てになるのか?


日本人的思考だと最上位のOutstandingの学校じゃなきゃダメだとか、Outstandingの学校が最高!とか思いがちですが、実はそうではありません。Outstandingは傑出した素晴らしい学校という意味で、Goodの学校も素晴らしく優れた学校という意味です。どちらも素晴らしく良い学校なのです。

加えて、Outstandingを取るためには全生徒の出席率が98%以上であったり、遅刻が許されなかったり、学力評価を高めるために宿題が多かったりするので、例えば「お正月にちょっと長く帰国したい」とか、「家族で週末に海外旅行をしたい」といった際に個人の都合で学校を休むような融通は全く効かないと思った方がいいです。実は2校目の学校が、GoodからOutstandingを狙っている学校だったのですが、入学時に個人的な理由での休暇は許されないといった旨の校長からのレターを渡され、担任とのオリエンテーションでちょっとした風邪(たとえば咳しているくらい)なら学校に来させて、極力休まないようにしてくれというお願いをされたりしました。

また、既にOutstandingになっている学校は遅刻者を出さないために、始業の10分前が校門を締めるタイムリミットで、先生が呼び鈴を鳴らし門を閉めていたり、生徒の規律を正すために軍隊っぽい指導があったり、学力を向上させるために校長先生がビジネスマンとか政治家のような雰囲気で担任の先生にプレッシャーをかけていたり、入学時に出席率や成績でセレクションをされる場合があるので私個人のおススメとしてはGoodくらいの評価の学校でのびのびと過ごしてもらうのがいいと思います。

Open School(学校訪問)は絶対行った方がいい

ロンドンの学校では各学期に一度もしくは月に一度のペースで学校訪問ができる日があります。具体的には気になる学校のホームページをみてオンライン上で予約をしたり、スクールオフィスにメールをして訪問日をアレンジしてもらったりします。Open School当日は校長先生に校内を案内してもらいながら、どんな子供たちが通っているのか雰囲気を見たり、実際の授業を見させてもらったり、ランチルームやホール、図書館といった施設を見せてもらったり、廊下にある掲示物などを見て良し悪しを見極めることができます。

日本の学校と違い、こちらでは校長先生が変わるとその下の先生がほとんど全員離職して新しい先生に入れ替わることも良くあるので、校長先生の雰囲気と教育方針をしっかり確認することをおススメします。英語がわからなくても、優しい人なのか、厳しい人なのかといった雰囲気はビシビシ伝わってきますので、ご安心ください。


転校は怖くない!実際に通って、合わなければ転校してもいい

我が家は子どもが4歳の誕生日を迎える月に渡英をし、新一年生の一学期終了時点での帰国予定だったので、迷わず現地校に入れることにしました。日本では幼稚園の年少の年でしたが、イギリスでは満4歳の9月からPrimary school(小学校)のReception(Year 0)の年次となり、実質2学年繰り上がる形で小学校生活をスタートしました。学校の選び方としては、OFSTEDは参考情報としつつも、実際に学校を訪問して実態を見極め、口コミは補足情報(話す人の主観が入るし、すぐ状況が変わるのでそこそこ参考にする程度)にするのがよいのかなぁと思います。

実は最初の1年でモノタイプの学校への恐怖感、子どもの語学の習得度やママ友づきあいの煩わしさ(笑)、学校への不信感などもあり、2回の転校を経験しました。Primary Academy→Infant School→Primary Academyと複数の学校に通いました。(次回以降、我が家が経験した3校の実態についてそれぞれ書いてみたいと思います。)ロンドンの良さとしては、自宅から通える範囲で複数学校があり、選択肢が多いこと。1週間お試しで通ってみてすぐ転校する子どもも結構いるので、学校側も生徒の入れ替わりは良くあることとして慣れており、転校生に対する偏見などがないことかと思います。

私が捨てた100の事

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