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98回箱根駅伝感想「Back In The Days -12-」

ということで、今回の箱根駅伝について語って行こうと思う。
青学すごかったね。

小さなミスが生み出した「10分差」

レースとしては青山学院の圧勝で終わった今回の箱根駅伝。
だが、10分以上という差に見えて実は、相当「僅差」だったように思えてならない。

原監督の場合は「箱根にピークを合わせる」指導を他大学以上にやっていて、2015年大会から8年間で既に6度も優勝を達成している。チーム内の調整に苦しんだり序盤の遅れや小さくないブレーキが発生した他大学との差は、小さくとも明確なものだった。

小さなミスが大きな傷口につながる、現在の駅伝の難しさが如実に出てしまった大会となった。だからこそ、ほんの小さな差が結果として10分という大差になったのだろう。

かつて神奈川大学が選手全体の実力が拮抗していることが特徴的と言われていたが、青山学院はそれをハイレベルで成し遂げ続けている。結果として、ミスが無い上にどの選手もハイレベルだった青山学院が優勝したのは必然だった。

では、他の大学のレベルは低かったのか?

だが、他の大学もレベルが低いわけが無い。今回11位に終わってしまった東海大学の10時間59分38秒というタイムは、10年前に早稲田大学が樹立した大会記録よりも13秒早い。

しかも繰り上げスタートとなったのは日本体育大学と山梨学院大学の2校だけだった。つまり「格差」が広がっているのではなく、レベルが高くなっている。

近年の高速レース化で、各大学にとってはそのかじ取りが難しいケースも多々出て来ている。実際に10000メートル走27分台ランナーを3名もそろえた早稲田大学はシード落ちをしているし、明治大学に東海大学もシード落ちとなった。

他大学も取りこぼしできないかじ取りの難しさがあったはずで、結果としてそれがいわば「選手層」という大きな差で生まれていたのだろう。

けがや小さなアクシデントが多い展開

今回のレースで印象に残ったのは、選手のアクシデントに事前の怪我が多かったことだ。

優勝した青山学院でも岸本くんと佐藤一世くんの故障、東京国際大学でもヴィンセントくんが左足を怪我していた。國學院大學では木付琳くんに島﨑慎愛くんの怪我とレース中のアクシデント、駒澤大学のチーム内での怪我……。

タイムこそ向上し、ハイレベルになりつつある。だがそれと比例するかのように選手の怪我が増えているように感じる。

一方で、それに伴った体づくりという点はまだ途上にあるということ。
強度の高い練習を積むことは、当然選手強化につながる。だが、それに耐え得るだけの体づくりを行わないと当然、選手は故障してしまう。

だからこそ、体づくりとケアは今後も指導者の方々は検証をし続ける必要がある。ここは、引き続き注目をしていかなければならないだろう。

あなたたちの憂さ晴らしの道具ではない

また、アクシデントが発生したことによって監督の采配や選手たちに心無い言葉を浴びせたり、批判をしたりするのは品が無い。

反射的に批判をしてしまうのは避けなければならない。
もしそれがリスペクトを込め、「選手の将来のため」という正論を盾にしても、結局我々には分からない事が多くありすぎる。勘違いも甚だしい。

「素人は黙ってろ!」とは言わない。好きだからこそ、そうした感情になる気持ちも分かる。人間誰しも好きなことには情熱的になる生き物だから。だからこそ、どうか選手や監督たちのことを少しだけでも慮ってほしい。

それでも批判したいのならば結構だが、いつか大きなブーメランが返ってくる。
そのことも忘れないように。

「箱根から世界へ」。レベルアップは著しい

残念なことは多々あるが、それを差し引いても極めてレベルの高い大会だった。

1区を走った中央大学の吉居大和くんと9区を走った青山学院の中村唯翔くんは、それぞれ前回は区間順位も振るわなかったにも関わらず、それぞれが2000年代の記録を大きく打ち破り、選手個人のレベルが高まっていることを改めて知らしめてくれた。

2区を走った駒澤大学の田澤廉くんは、留学生に臆することなく戦い抜き区間賞を獲得した。高速駅伝になり、かつ強さまで求められる今この時代において、外国人留学生を起用すれば優位に立てるとは限らないこともまた、印象深い。また、その留学生たちに引かない選手たちも頼もしかった。

東洋大学に創価大学、法政大学は「強い」駅伝を見せてくれたし、帝京大学の往路2位に順天堂大学の総合2位もまた、感慨深い。そして、何よりも中央大学のシード復帰。
序盤からレースの流れに乗ることができたのはもちろんだが、またミスがあっても挽回できる力が徐々に付いてきており、躍進にも期待が持てる。
東京国際大学もチームとして戦い抜けた駅伝は、来年以降自信につながるはずだ。

シード圏外でも魅力あるチームが多かったことも見逃せない。神奈川大学は前回1区で区間4位だった呑村くんの起用ができないながらも12位だったし、国士舘大学もまたシードの見える位置で粘り続けた往路はとても感動させられた。学生連合もまた、極めてハイレベルなレース展開を見せたことも見逃せない。

初出場の駿河台大学も、きっちりタスキを繋げられたことは素晴らしい。往路こそ最下位だったものの、復路成績は15位という成績。そして最後ゴールする際のキャプテン・阪本くんの笑顔が、とても印象に残った。
思うと、33年ぶりに箱根路へと帰ってきた青山学院も総合22位からのスタートだった。
だが、翌年には9位とシード権を獲得し、今や絶対王者的存在になっている。そんなストーリーを徳本さんも見せてくれるのではないか、とワクワクしている。

選手単体、またチームとしてのレベルアップは素晴らしいものがある。恐らくはさらに上昇していくだろう。そんなことを考えながら、やっと年を越した気分です。

だが、私に正月休みなどないのだ。どういうこっちゃ。

BGM:Back In The Days -12-/RAWAXXX & 呼煙魔


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