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デザイナーじゃない人にデザイナーが読んでもらいたいと思ってる本

デザイナーのいない環境の現職でデザイン勉強会を始めたことがきっかけで、少しですがありがたいことに社内でもデザインに関心や問題意識を持ってくれる人が出てきたように感じています。

そんな会社を6月末(ただ6月は有給消化するので実質は5月末)で退職しようと思っているのですが、最後に社内に向けての遺言として個人的にオススメしたい本のリストを残しておこうと思い立ちました。

当初は普通にWindowsのメモパッドにラフにまとめて、社内の人が自由にアクセスできる場所に置いて退職しようと考えていたのですが、せっかくならnoteでも公開してみよう、と思い立ち、休日にせっせとキーボードを叩いています。

ここで取り上げる本はあえて自分のKindleや本棚を見返さすことはせず、本当に頭の中の引き出しの中で燦然と輝きを放っている、自分の脳みそのシワに刻み込まれている本たちを選出しました。

そんなコンセプトを基に本を選んでみたら、ほとんど過去に自分がnoteで紹介していた本だったりしたので、そちらのリンクも合わせて貼っておきます。買って読もうか悩んだ際の参考程度によければ斜め読みしてください。
いくつかのKindle本は今50%ポイントバックもされてるみたいで実質半額で購入できるようです。

自分の他のnoteも読んでくださってるような、どこの誰かもわからないイノシシのクソなが長文に辛抱強く付き合ってくださる壮大な忍耐力と学習意欲をお持ちの方がこのnoteも読んでくださっていたら、どれも絶対オススメできる本なので気になるものがあればぜひ手にとってみてください。


ブランディングデザインの教科書

エイトブランディングデザインの西澤明洋さんの著作。
個人的な話になるのですが自分はデザイナー1年目のときに西澤さんのデザインセミナーを受講してデザインの面白さを理解して今に至っています。
ここで紹介している本も、というかそもそも他人に本を勧めるという行為自体にも西澤さんの影響があるような気がしてなりません。

川越のCOEDOビールにはじまり、様々なデザインを表層的な見た目の変更にとどまらず、ビジネスの根幹にまでメスを入れながらデザインという軸で組織文化を変革し、お客様との関係性を構築していく仕事の数々は本当に勉強になります。

また西澤さんの本の特徴として、それらの事例をただの事例紹介に止めず、独自のメソッドで持って体系化し、広く一般化させようとしている姿勢があります。

デザインを単なる美的表現に止めず、強固な論理性に裏打ちされたビジネス戦略として理解できる、経営本として完成された1冊です。


デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す

自動車メーカーマツダを内部からデザインの力で劇的に変貌させた、前田育男さんの著書です。

ものづくりをしているあらゆる会社、特に大企業の組織内圧力によって潰されがちな弱い組織で疲弊している人には絶対刺さる内容です。自分はファミレスで読みながらちょっと涙が出てきました。

デザインの力を信じ、圧倒的な仕事量と情熱に裏打ちされた息を呑む「美」への追求が組織を動かしていく様は会社員として働くデザイナーはもちろん、組織の中でやり場のない鬱屈した感情の中で仕事をしている人に勇気を与えてくれる本です。

自分用の他に実家にも買って家族に読ませました。
タイトルがもうちょっとイケてれば、、今の倍は評価されていたんじゃないかと思わされる本です。

昔noteも投稿していたので貼っておきます。


コーポレートアイデンティティ戦略(というか、中西元男さんの本)

生きるレジェンド、日本のCI(コーポレートアイデンティティ)の父である中西元男さんの本です。

もし自分が今持っている本棚から1冊だけ残せる、と言われたならおそらくこの本を選ぶかもしれません。

前述の前田さんがアート脳であるなら、中西さんの根底には非常に奥深い理論構造が根付いています。企業や組織にとってなぜデザインが必要なのか、デザインとは社会にどのような影響力を持つのか、を中西さんが日本の名だたる大企業のトップと熱い議論を交わしながら会社を蘇らせ、ひいては日本のデザイン力の底上げに尽力しました。

この本を読むことで企業とデザインとの根深いつながりと、デザインを評価するための視点、デザインに根付かせるべき深い思考を学ぶことができます。

ただ、オススメしておいて何ですがこの本めちゃくちゃ手に入れづらく、電子版がない上に中古でもかなり高額です。

ほんの一部ですが、本の内容をこちらもnoteにまとめてましたので良ければ参照ください。

本書はちょっと入手難易度高いのですが、同じ著者の本で少し古い「価値創造する美的経営」はまだ入手しやすい(2024/05/26時点で中古で990円)上に、コーポレートアイデンティティ戦略で語られている内容と重複している部分も多いため、もしかしたらこちらの本のほうがオススメかもしれません。
コーポレートアイデンティティ戦略はあくまで中西元男さんの事例紹介がメインの本ですが、価値創造する美的経営は中西元男さんのPAOSが創業に至るまでの過程から細かく描かれており、こちらもめちゃくちゃ面白いです。


アフターデジタル2 UXと自由

この本は今やIT系ビジネスをやっていくビジネスマンのドレスコードと言っても良いくらいに広く読まれたベストセラー書。
非常に本質的で重要な内容が語られています。自分の周りでもこの本を読んだという人は多かったです。

デジタルプロダクトをユーザーの生活の中から切り出して単体で考えるのではなく、生活や人生そのものを捉えたうえでその中でデジタルをいかに組み込んでいくか、という非常に高い視座からUXを設計していく考え方に大きな感銘を受け、「こんなことを自分でもやってみたい!」と思ったのが前職を転職したきっかけでもありました。

とにかく現代においては、自分たちの机上の空論で正解を見つけ出すことは不可能に近く、スモールスタートでユーザーの行動や振る舞いをデータを取りながら観察し、どのようにユーザーの最大幸福を実現させるのかを検討することが求められます。

多様なユーザーのニーズに対してどのような答えを出していくのか、正解は一つではないのですが、その中のどれをチョイスしていくのかという部分に企業のアイデンティティやブランドが形成されていく、という議論も非常に面白い。ITにとどまらずサービス提供に関わる人であればぜひ一読しておくべき本のように感じています。

こちらの内容も昔noteにまとめてましたので貼っておきます。


世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

ビジネス界隈で近年引っ張りだこな山口周さんのおそらく出世作となった本書。未だに本屋などでも平積みされているのを見かけます。

これは「ビジネスマンには芸術的な感覚が必要だ!」というような短絡的な話ではなく、現代のような複雑怪奇で流れが早く、かつ解くべき課題も正解もない時代における物事への捉え方や考え方を根本から見直そうとする本です。

論じている内容はなかなか深いのですが、山口さんの軽快な語り口でスルスル読めてしまいます。

こちらも過去にnoteにまとめていました。


知識創造企業

組織の内部構造を「知識」という観点から分解、構造を読み解き、真に創造的な企業となるにはどうすれば良いのか、といったことを述べられた全世界で読まれている名著です。

知識が組織の中で循環していくことで新たな知識が創造される、ということを謳う本書は、おカタイ本の印象にそぐわない、瑞々しい感動を与えてくれます。

日本人の方が書いた本なのですが、確か原書はアメリカ向けに書かれた洋書で、それが非常に注目を集めて日本でも広く読まれるようになりました。

戦後の高度経済成長の中で日本がどうしてここまで世界を席巻するものづくりができたのか、ということを様々な企業の事例をもとに解説されています。

ちなみに自分がデザイン勉強会を行おうと思ったきっかけも、この本で得た知識創造のプロセスを実践・体験できないか、と思ったからでした。
なかなかこの本のように組織全体の意識を書き換え、人を動かすまでには至りませんでしたが、何より自分自身が大きく成長できたと感じています。、


ストーリーとしての競争戦略

こちらはゴリゴリの経営本なのですが、その実かなりブランディングなどの考え方にも近いところがあり、めちゃくちゃ勉強になりました。発刊当初多くの注目を集め、経営本としては異例のセールスを挙げたこれまた名著です。
他にもいろんな本を読んでみたのですが、ほとんどの経営本の結論がこの本の論に帰結しているような気さえします。

世の中に存在する強い企業はなぜその地位にいるのか、という大きな命題に対して、筆者の楠木さんの結論は「非合理を内包した合理的なストーリーの存在」を挙げています。

企業戦略の中の打ち手として、あらゆる打ち手が合理的で最善なものを選択し続ければビジネスが成功するように考えがちですが、それでは他社との差別化ができず結局業界内での共倒れが起きてしまいます。

そこで様々な企業を研究した筆者がたどり着いた結論が、他の企業が真似できない非合理性をはらんだ打ち手を戦略の中に織り交ぜる、というもので、その事例をスターバックスなどの身近な事例を用いて語られています。

おカタイタイトルにイカツいボリュームで手に取ることすらためらわれるくらいの本ですが、楠木さんの軽快な語り口が非常に読みやすく、それこそストーリーとして面白く読める本でした。

こちらもnoteにもまとめてましたので、ゴツい本書を読む前のウォーミングアップ的によければ。

引き続き色々本を読んで勉強したいと思います。またよければお付き合いください。


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