【海外記事】Apple vs EUのこれから
今日はこちらの記事を読んでみます。
本日もよろしくお願いいたします。
（海外記事の翻訳修行200本目になりました。）
AppleはEUを排除するようだ
EUの新しい規制によってAppleはそのビジネスモデルの変化を求められていますが、その結果は誰も安心できるものとはならないでしょう。
AppleのApp Storeは常に閉鎖的であり、広範に渡るアプリへの厳しいコントロールと中間マージンを得ています。Appleは独自の決済システムを持ち、30％の手数料が彼らのビジネスモデルの基盤となっています。
しかしEUのDegital Markets Act（DMA）は新しいデジタル市場における規約を発表しました。それはおそらく長い年月の中で確立された慣習へ挑戦することで、デジタルセクターにおける公平な競争とイノベーションを保証しようとされたものであり、それには独自のエコシステムを別の決済システムやアプリストアへ代替するAppleのようなプラットフォームが求められています。
2022年に可決され、DMAは未だにゲートキーパーと呼ばれるビッグテックが生み出した不平等な慣習に対しての防波堤としての役割を担う、最も野心的な取り組みです。2023年の9月にEUはゲートキーパーとしてAppleを指定し、App StoreやSafariブラウザ、iOSシステムをDMAのルールに従わなければならない対象としました。
Appleの返答は以下のようなものでした。
要件は満たしているはずですが、事実上誰も変化の恩恵を享受できない条件を課せられました。もし多くの人が他のアプリストアを使いたい場合は理論上可能ですが、Appleがプラットフォーム上のすべてを管轄しているため実現不可能な要件が設定されています。DMAが目指そうとしているものはあまりに無謀なものです。
「恥知らずな侮辱」から「悪意のあるコンプライアンス」、「ジャンク料金」やら「恐喝制度」などすぐに様々な反応が生まれました。
AppleはEUの要求に対して、新しいアプリストアへの登録のために新たな費用を導入しました。App Store外でのアプリのインストール（年間100万インストールごとに0.50ユーロ）というものから他のプラットフォーム経由での支払い提案（Appleが関与していない支払いの場合は30％から17％にすること）など多岐にわたります。
同社は安全保証の維持のために自社管理維持の方針を主張し、EUに対してその要件を満たすための概略を提供していますが、実質的に実現不可能であったり大きなペナルティを課せられるモデルが生まれます。
これは政治家がそれなりにうまくできているものに対して干渉することを主張し、解決しようとしていた問題を実際に解決しようとはせずに全員を不幸にするような状況を作り出したときに何が起こるのかを示す教科書的な事例です。EUにおけるスマホ市場のAppleのシェアは15％と31％の間（それぞれ2019年のQ2と2020年のQ4）で様々異なり、最も多いのがスウェーデンの56.22％です。ここでのポイントは単純に利益を求める数社を除いて誰もAppleのエコシステムに対して実際に批判している人がいないということです。
ここでの教訓は規制は非常にデリケートなツールであって慎重に扱う必要があり、特に潤沢な資金と賢い弁護士を雇っている企業に対しては十分に対策を講じる必要があるということです。
EUがどのような返答をするのかが楽しみです。
感想：支配→規制は分散型社会の中でどうなるのか
特定の市場で支配的なポジションとなった企業は何かしらで規制をされてしまうというのはこの事例だけではなく様々な事例が存在しています。
日本でも３社で寡占されていた携帯市場の規制緩和を政府が行い、多くの人がその恩恵を享受できました。
一民間企業が市場を独占し、社会をコントロールする立場となってしまうことを防ぐためにもこういった措置が取られてしまうのでしょうしある面では自分もその動きを支持できるのですが、一方近年の社会の動きを見ていると、こういったGAFAMのような巨大プラットフォーマーに頼らずに少数のグループで共創、共助していくような動きがあります。
そのような「巨大な中心がなく、無数に点在した共同体」が存在する社会においては、現在のようなシンプルな規制行動では社会をコントロールすることにも限界が出てくるようにも感じます。
もちろん市場はある程度自由な経済活動を認めるべきとも思うのですが、一方で行き過ぎたものに対して国家単位の大きな権力による規制のコントロールは今後も必要なものと考えており、GAFAM以降の世界においてはどのような動きが出てくるのかは今後も注視していかなければならないなぁと感じました。
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