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#006 読書感想文 『博論日記』


読んだ本の紹介


フランスの博士課程に進む学生の様子をマンガの形で描いた本。文系院生が感じるであろうその悩み、考え、そして葛藤が描かれている。

この本を読んだ理由


どこかの本で紹介されていました。すみません。

あらすじ


フランスで過ごしていた主人公に博士課程に進めるというメッセージを受け取る。ただ、奨学金はないため働かなければならない。働きながら、卒業論文も考えないといけない。「書かないと」と思うと、書けなくなってくる。

そして、周りからの理解も少なくなり、彼との関係も破滅に向かい、自分は何のために研究をしているのか、と自問する。

破滅と再生、そして堕落していく生活の中で狭窄な視野に入りこんでいく中で重要なことは何だろうかと疑問を投げかけてくる。


良かったところ


博士課程に進むから「偉い」とか「すごい」とか名声をあこがれるかもしれないが、実際は全くそんなことがないと思わせてくれる。

何も変わらないし、なんなら精神がすり減っていくことが確実である。文系が全て同じとは限らないが、果てしない自分との対話と解決をしなければならない。

特にスーパーに行っていろんなものを買いこむシーンがあるのだが、中国だとその行為もなく、部屋の中にこもって研究することも可能である。


気になる箇所


①先生と学生の差というのも非常にわかりやすい。学生の熱量が先生に全て伝わるわけではないというのが大事である。

②研究において自分が最も詳しくなってくるので、誰かのご意見と思ってもなかなか自分の役に立つことを見つけるのは難しい。

③論文の構成を考えて、調整していくうちに構成図はどんどん変化していく。この本でも書かれているが、調整しすぎた結果、見た目が醜悪になることが多々ある。だからこそ、時間が経って自分の作品を見直してみると、反省点が多く見つかるのだろう。

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