M&A起業ノート

元新聞記者、元IT企業経営者、現M&Aアドバイザー/経営支援。これまで、国内外で3社創…

M&A起業ノート

元新聞記者、元IT企業経営者、現M&Aアドバイザー/経営支援。これまで、国内外で3社創業、1社継承。数々の失敗から学んだ実践的経営論をもとに「理想の起業と幸せな出口」を追求しています。著書 https://amzn.to/3Lf6CWJ

最近の記事

M&Aアドバイザリーのビジネスモデルをゼロベースで考えてみる(その2)

(以下の記事の続きです) ビジネスモデルの再検討(その1)で、成功報酬という既存モデルを掘り下げて考えましたが、特に小規模以下の案件に関しては、もっとゼロベースで再検討してもいいんじゃないかと思っています。 最低報酬300万円の当社は、前述のようにそれくらい(売買価格6,000万円前後~数億円)がメインターゲットです。中には100万円というケースもあります。そのような場合、100万円の対価を得る売り手経営者(株主)に対しても、300万円をいただくのか?という不自然さは、誰

    • M&Aアドバイザリーのビジネスモデルをゼロベースで考えてみる(その1)

      昨今、M&A(特に仲介)業者が絡んだトラブルが連日のように報道され、一種の社会問題のようになっています。内容をよく見ると、一部メディアは特にM&A業界を敵対視しているような印象を受けるときもあります。ちょうど、テレビ業界がことさらインターネット業界を「トラブルの温床」と喧伝していた時代のように。 しかし、「これは業者のモラルに問題があるな」と思わざるを得ないケースもあります。そして、報道で知る以上に、業界の中ではそのような事例をよく耳にします。 私はM&Aアドバイザーを主

      • 人材不足はM&Aで解決できるか

        最近、あるIT企業の人事部長から、このような相談を受けました。 「エンジニアを3年で20人増やしたい。M&Aしかないのではないか」 私は20年以上IT企業を経営してきましたので、その業界には知人がたくさんいます。その人事部長の話を聞いて、他の会社はどうしてるのかと何人かに聞いてみました。ご多分に漏れず、どの会社も人材採用、特にエンジニアの採用にはとても苦労していて、採用コストも年々上がっています。 そして、どの会社も人材不足を解消するためのM&Aは視野に入れていました。

        • 経営者保証を外すための実践マニュアルpart2

          第二章:経営者保証の外し方「経営者保証のガイドライン」を理解する(第一章:「なぜ経営者保証が問題なのか」の続き) 今現在、経営者保証をしている人は、どのようにそれを外すことができるのか。以下丁寧に解説していきます。 国はこの経営者保証の問題点を理解しています。できれば外すように、金融機関に対して要請もしています。その際のガイドラインとして、中小企業庁が定めているのが【経営者保証に関するガイドライン】です。 既にある経営者保証を外す際には、このガイドラインを軸に自社の財務

        M&Aアドバイザリーのビジネスモデルをゼロベースで考えてみる(その2)

          経営者保証を外すための実践マニュアルpart1

          2022年11月に上梓した拙書「日本一わかりやすいM&A起業の教科書」では、経営者にとって非常に重要な経営者保証(社長の個人保証)について、テクニカルなM&A論が多いM&A書籍の中では異例ともいえる頁数を割きました。 経営者保証は、当事者である経営者にとっても、事業がうまく行っている時は関心が薄くなりがちです。「それくらいのリスクは背負って当然」という覚悟も、ほとんどの経営者は持っています。しかし、事業経営は変数だらけです。いつまでも右肩上がりが続くわけではなく、時代の流れ

          経営者保証を外すための実践マニュアルpart1

          業種は絞るべきか?

          これまで、Web制作、EC/BtoBマーケティング支援、そしてM&Aと、多業種に対する業種を経営してきて、常に頭から離れなかったことがあります。それは、 対象業種は絞るべきか? ということ。弁護士や病院、不動産などを専門とするWeb制作会社とか、マーケティング支援会社とか結構ありますよね。M&Aでは、業種を絞った会社やサービスは「Web特化」くらいしか私は知りませんが、まだ絞れるくらいまで市場が大きくなっていないということでしょうか。あるいは、M&Aの専門性は共通していて

          業種は絞るべきか?

          中小企業DXの最適解

          今、中小零細企業におけるDXの必要性が叫ばれています。ただこれは別に新しいことではなく、まだDXなんていうワードが存在しなかった2000年のITバブル当時から、頻繁に叫ばれていたことです。日本が30年も停滞している間に、諸外国が一気にIT化で成長し、「もう後がない」という局面でDXという新語が登場し、また脚光を浴びているという感じですね。 しかし、これまで同様、特に地方の中小零細企業にとっては、単なるお題目になってしまっています。ざっと理由を上げるとこんな感じでしょうか。

          中小企業DXの最適解

          土俵の真ん中で勝負する

          会社をつくって20年以上、個人事業時代から入れると25年ほど経営してきて、いろんな方向転換をしてきました。 当初は、会社をどこまで大きくできるかしか考えてなくて、利益はほとんど次への投資に充てるスタイルでした。時流に乗っているときはそれでもいいのですが、その時流を読み違えると、内部留保が薄いだけにとても辛いことになります。 経営の一般論で言えば、それは少々無謀な姿勢です。しかし、致命傷を負わない範囲でそれを繰り返すことは、成長を目指すためには必要な姿勢です。 成功も失敗

          土俵の真ん中で勝負する

          [AI執筆] M&A活用法:起業と事業拡大の新たな戦略

          最近、少し時間があればジムで筋トレするか、ChatGPTで遊ぶオヤジになっています。ふと思い立って、GPT4でブログを書いてみました。タイトルも本文もGPT4が書いたもので、何の修正もしていません。(小見出しと本文の間の改行だけ入れました) ところどころ、違和感のある表現はありますが、言いたいことは大体合っています。プロンプトは という感じです。 ---以下、AI執筆--- 私はこれまで数々の会社を起業してきましたが、今回はゼロから起業するよりもM&A(Mergers

          [AI執筆] M&A活用法:起業と事業拡大の新たな戦略

          経営者保証の解除が、社長の大切な仕事である理由

          私はM&Aアドバイザーの会社を経営しながら、他社の経営にも参画しています。また、これまで3社創業、1社継承し、事業によっては数十人の社員を雇用してきました。業種は様々ですが、それぞれ少しの成功と多くの失敗を重ねながら、その度にたくさんのことを学んできました。 その学びのひとつが、「現場仕事は社長のサボり」と言うことです。 まさに、かつての私がそうでした。少なくとも「現場仕事をやっていてはダメだ」との感覚はあったものの、その体制をつくることに失敗したのです。そして、他の中小

          経営者保証の解除が、社長の大切な仕事である理由

          企業のバリューアップ考①バリューアップは「サボりの知恵」から生まれる

          これまでも書いていますが、M&Aは成約がゴールではありません。まさにスタートです。私はM&Aアドバイザーである前に事業家ですので、特にその思考が強いのですが、成約後を見据えて動かないと、特にM&A経験の少ない中小企業では、結果的にうまく行かないことになりがちです。 M&A後はどのフェースになるかと言うと、バリューアップ(PMI)です。事業承継や資金的に苦しい会社に手を差し伸べる救済型など、M&Aの目的は様々ありますが、買い手にとっては、その後より成長していける、あるいはマイ

          企業のバリューアップ考①バリューアップは「サボりの知恵」から生まれる

          顧客と「ゴール」を近づける

          元旦に、このような記事を書きました。M&Aの8割は、俗にPMIと呼ばれる「買収後の経営統合=バリューアップ」であり、成約時点ではまだ2割です。 M&Aアドバイザーからすると、ゴールは成約です。しかし、M&Aの当事者からすれば、そこはスタートです。売り手のオーナーは、成約がゴールの場合も多々あるでしょうけれど、残る社員はそこから新体制がスタートするわけです。また、買い手からすると、まさにそこはスタートですよね。M&Aが成功するも失敗するも、すべてはそこ(成約時点)からスタート

          顧客と「ゴール」を近づける

          M&Aの8割はPMIだ

          以前、日本電産の永守会長は「M&Aを登山に例えると、成約時点ではまだ二合目。その後はPMIという難しい作業が待っている」と言っていました。 永守氏と言えば、私も尊敬する名経営者ですが、同時に日本一のM&A巧者とも言われます。同社を世界一の小型モーターメーカーに押し上げたのは、卓越したM&A戦略によるものであることは疑いようがありません。 その永守氏が、M&Aの8割がPMIで、それが最も難しいと言います。 PMIとは、Post Merger Integrationの略で、

          M&Aの8割はPMIだ

          紹介記事からちょっとだけ考える、「ライティング」の将来について

          オンラインM&Aプラットフォーム「M&Aナビ」様に、中小企業向け | 大阪府のM&A・事業承継支援専門家10選!として、当社マエトク・フォーベルツ株式会社を紹介していただきました。 これについては、事前に聞いていたわけではなく、この紹介文も先方が当社のことを調べて書いていただいているんですね。そこにとても好感を持てます。 昨今、広告と広報の境目が曖昧になってきて、普通の記事かと思ったらペイドパブリシティだったりすることが頻繁にありますが、それはそれで、正確に情報を伝えてい

          紹介記事からちょっとだけ考える、「ライティング」の将来について

          中小企業にふさわしい、企業価値算出方法とは?

          先日上梓した私の書籍「日本一わかりやすいM&A起業の教科書」の中でも書きましたが、これまで出会った数多くの優秀な経営者は、もれなく自社の現時点(少なくとも前期決算終了時点)での価値を数字で把握しています。本書では、シリコンバレーで出会って、その後Appleに売却した起業家のエピソードを交えて、その重要性を強調しました。 起業したての頃だったので、余計に印象に残ったのですが、私が売り上げを聞いたつもりの質問をすると「今は〇ミリオンだね。来年は〇〇ミリオンになるけど。最終的に〇

          中小企業にふさわしい、企業価値算出方法とは?

          日本一わかりやすいM&A起業の教科書

          という名前の書籍を出版することになりました。まずは電子書籍版を11月30日に、その後、紙版をリリースいたします。 M&A関連書籍はたくさんありますが、公認会計士やコンサルタントしての視点ではなく、実際にいくつかの事業を立ち上げた起業家としての視点で、M&Aの活用方法を書きました。 M&Aは、経営者の「理想の入口」と「幸せな出口」をつくるための手段です。また、効率的な「成長戦略」を描くために欠かすことのできない手法でもあります。 私自身が最も得意とする分野は、Web(特に

          日本一わかりやすいM&A起業の教科書