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中小企業DXの最適解

今、中小零細企業におけるDXの必要性が叫ばれています。ただこれは別に新しいことではなく、まだDXなんていうワードが存在しなかった2000年のITバブル当時から、頻繁に叫ばれていたことです。日本が30年も停滞している間に、諸外国が一気にIT化で成長し、「もう後がない」という局面でDXという新語が登場し、また脚光を浴びているという感じですね。

しかし、これまで同様、特に地方の中小零細企業にとっては、単なるお題目になってしまっています。ざっと理由を上げるとこんな感じでしょうか。

中小企業がDXできない理由

  1. トップマネジメントがITに疎い
    IT化は、現場からのボトムアップではうまく行きません。これまで、数々の企業を見てきましたが、それでIT化がうまく行った事例はゼロです。ITに疎いトップは、とかく従業員のリテラシーに原因を求めますが、明確にトップの責任です。そもそも、トップがITに疎い会社に、ITに強い社員は来ません。

  2. これまでの慣習にとらわれている
    例えばハンコ。酷いところは、目下の人は角度を付けた「おじぎハンコ」がマナーとされている会社(業界?)もあるそうで、それを聞いた時は衝撃を受けました。そもそも、ハンコ自体に本人認証の能力はなく、紙と時間の無駄でしかない中で、そんなことを空気で強要する企業が、電子契約などに移行できるわけがありません。事程左様に、どう考えても無駄なプロセスを重要視し、改善を許さない老害が、特に地方企業には多くいます。

  3. 変化を嫌う
    人間だれしもそうかもしれませんが、これまでやってきたことを変えることには抵抗があります。現在、何らかの問題に直面している会社はまだしも、問題が表面化していない状態だとなおさらです。しかし、問題が表面化して土俵際に追い込まれると、打つべき手が打てないのも事実です。ここも、トップマネジメントの裁量によるところが大きいと言えるでしょう。

体感的には90%くらいの中小零細がこのような状態にある中で、しかし労働力の激減、賃金のアップ、物価上昇とトリプルパンチの時代には、IT化(DX)で生産性を上げないと、どんな企業も未来は見通せません。

私はM&Aコンサルティングを主体に事業をしていますが、これまで20年以上IT会社も経営してきました。大小様々な企業のIT化を支援してきて実感するのは、「自力で、現体制のままIT化するのは、ほぼ無理」ということです。では、どんな方法があるでしょうか?

最適解は、IT部門をM&Aすることです

DXのためのM&A

これは、ちょっとポジショントークではありますが(笑)、でも事実です。むしろそれしかないと思っています。

例えば、私自身の経験で言えば、卸売業者が同業界のECサイトを買うというケース。多くの卸売りは、もはや直販に参入する障壁はなく、今後の生き残りのためにECに参入したい意向を持っています。しかし、そのほとんどが立ち上げに失敗します。これまでのBtoB的感覚とECによるBtoCとは、根本的に違うからです。

そこで、その業界のECをそのまま買い取って、一気にBtoCの顧客リストを手に入れ、立ち上げの時間を短縮させるのです。体感的ですが、90%くらいのBtoB業者が、BtoCの立ち上げに失敗するくらい、ゼロからの立ち上げは難しいものです。買収には当然お金が必要ですが、それは時間と労力だけでなく、トップ10%のノウハウもお金で買うということです

BtoB企業が、同じBtoBのECを買うというケースだと、よりシナジーがイメージしやすいかもしれません。当然、アナログの世界とデジタルの世界は、アプローチの手段が違います。その手段を体系的に学んでいく姿勢は、買収後に必須です。

あと、どちらの場合も、買収後のサイト運営を見据えて、体制の構築が重要です。すでにある程度の知名度があって、顧客リストを持っているサイトであれば、あとはそれをいかに生かすことができるかにかかっています。PMI(買収後の統合作業)が重要なのは、あらゆるM&Aと同様です

また、自社サイトでマーケティングを行うために、小さなサイト制作業者を買って自社にデジタル部門をつくるのも、有効なM&Aです。場所が離れていても、営業とのやり取りがスムーズにできるなら問題ありません。

サイトを外注に出している状態だと、思うようなマーケティングはできません。しかし、サイトをつくれる人材は、小さな会社だとなかなか採用できない。多くの会社が陥っているそんな現状は、M&Aで解決するのが最適解だと思っています。

いずれにしても、DXはトップが本気にならないと絶対に成功しません。社員任せにしている人は、その責は自分にあると思って、会社の将来のために何らかの手を打つ時期に来ていると思います。

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