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土俵の真ん中で勝負する

会社をつくって20年以上、個人事業時代から入れると25年ほど経営してきて、いろんな方向転換をしてきました。

当初は、会社をどこまで大きくできるかしか考えてなくて、利益はほとんど次への投資に充てるスタイルでした。時流に乗っているときはそれでもいいのですが、その時流を読み違えると、内部留保が薄いだけにとても辛いことになります。

経営の一般論で言えば、それは少々無謀な姿勢です。しかし、致命傷を負わない範囲でそれを繰り返すことは、成長を目指すためには必要な姿勢です。

成功も失敗も経て、今はスモールサイズの会社をいくつか持つ方向にシフトチェンジしました。軸になるのはM&Aの会社ですが、それを土台にスモールサイズの会社を引き受ける土壌をつくりました。これには大きな転機があったのですが、何より今後の社会情勢を考えると、スケールよりもスモールで機動性を持たせた方がいいという判断です。

巧遅は拙速に如かず

そのようにシフトチェンジしながら、四半世紀経営してきたので、これまで規模の大きな会社や成長産業だけでなく、小さな町工場や自営業者など、様々な企業の社長と接してきました。その中で共通して感じるのは、「巧遅は拙速に如かず」。つまり、巧くて遅いよりも、少々拙くても早い方が切り替えがしやすいということです。

成長しているところは、見極めが早い。ダメと思ったら、すぐに切り替える傾向が強いです。一方、ダメなところは、いろんなステークホルダーに気を使いすぎて、動く体力がなくなるまで出血を続けてしまうのです。

自分自身の経験からもそれは言えます。「失敗」と書いた経験は、ダメな方法に固執してしまって、切り替えが出来なかったことが大きな要因です。土俵際だと、できることはとても限定的になってしまうのです

見極めを早くするためには、行動を早くすることです。

土俵際に追い込まれないために

切り替え(ピボット)を適切なタイミングで行うためには、常に土俵の真ん中で勝負する必要があります。そのために必要なのは、以下の3つです。

  1. 現状(特にCF)の把握

  2. 撤退ラインの設定

  3. 感情の切り離し

まず、言うまでもないことですが「現状の把握」です。当然のように聞こえますが、中小企業のオーナー社長の場合、びっくりするほど出来てない人が多いんですよ。売上と粗利くらいは把握していても、自社のBSを把握している人はわずかです。さらに、CF(キャッシュフロー計算書)となると、本当に限られてきます。しかし、キャッシュの予測が立たないと、打つべき手が打てません。これまでの実績を元に、キャッシュの流れを感覚ではなく数字で把握しておく必要があります

次に、「撤退ライン」です。資金がこのラインを下回ったら、あるいは6ヶ月後に売上が○○円を超えなかったら、など、ラインの引き方は様々です。このラインを最初に決めておかないと、ズルズルと出血を続けてしまうことになります

最後に、「感情の切り離し」です。ここが意外と厄介なところですが、社員だけでなく銀行や、場合によっては投資家なども巻き込んで、あるいは顧客からの期待もあって、それに応えたいという気持ちは誰でも強く持っています。しかし、その勘定が強すぎると、再起できないレベルまで引っ張ってしまうことになります

見極めを早くするために、行動を早くする。土俵際に追い込まれないために、上記3つを心がける。その上で、新しい事業に挑戦することで、失敗確率を減らすことができると、私は思っています。


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