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小さなころに読んだお話は、やっぱり私の中で小さくきらめいている。

草野絵美さんが書かれたnote の記事「年間・約400冊読み聞かせた結果。子どもの創造性を高めるオススメ絵本7選」すばらしく、とても参考になりました。

わたしには、子どもはいませんが親戚の子どもや、友人の子ども達にプレゼントする際に、ご紹介いただいた本を選んでみようかなと思っています。

子どもの頃に読んだ本って、覚えているものもあれば、忘れてしまうこともありますよね。夢中になって読んだはずなのに。親戚のおばさんから「野口英世」と「キュリー夫人」という、やや理系にかたよりのある世界の偉人シリーズをもらって、何度も読んだなー、というのは覚えています。(その刷り込みのおかげ? かは分かりませんが、私は理系の大学を卒業しました)

忘れっぽい私ですが、頭の中に残っているお話ががひとつ、あります。目を閉じると、そのシーンが思い出されるほど、いまでも強烈に。

そのおはなしは「とうさん おはなしして」という絵本の中に含まれています。

子どものころは全然気にもしていませんでしたけれど、アーノルドノーベルの作品でした。「ふたりはともだち」などの、かえるくんシリーズはいまでも人気があるんじゃないでしょうか。

子ねずみたちはベッドの中にいるけれど、全然眠くありません。「ねぇ、お父さん。おはなししてよ!」おはなしをせがむ子ねずみたちに、お父さんねずみは、ひとつずつ、おはなしをしてあげる、というお話しです。

短いお話がいくつか、お父さんねずみから語られているうちに、子ねずみたちはすっかり眠ってしまうのですが。
この「短いお話」のひとつが、私の頭から離れないんです。

それは、こんなお話でした。

離れて暮らすお母さんに会いにいくため、飛行機を運転します。けれど、飛行機は飛びすぎて壊れてしまったので、自動車を運転していくことにしました。けれど、自動車も走りすぎて壊れてしまったので、自転車に乗ることにしました……。

こんな風に、いろいろな乗り物を乗り継いでいくのですが、最後は靴が壊れて、はだしで走ります。けれど、はだしの足も、壊れてしまって、「足をとりかえて」ようやくお母さんの家にたどり着く、というお話です。

この本を読んだのは小学三年か四年生でした。小学校の「学級図書」と呼ばれる、教室内に置いてある本のなかのひとつでした。

学級図書は休み時間や、給食の配膳を待っている間に、自由に読めるものでした。人気があったのはマンガで描かれた「日本の歴史」とか「世界の七不思議」みたいなものでした。

私は、この「足をとりかえて」というシーンが本当に衝撃的で、何度もそのお話を読みました。はだしでたくさん走ったため、血だらけになった両足くびをパスンと切り落として、「新しい足」に取りかえるシーン。文字で読むと、ちょっとグロテスクですね。

足を取りかえる、という考え方が小学生の私にはかなりびっくりしました。斬新なアイデアだと思って。けれど、この考え方は36歳になったいまでも、頭にしっかりとこびりついています。

本当に必要なら、取りかえればいい。それがたとえ、足だとしても。

クレーマーとかそういうことではありません笑「本当に必要なら」というのが、ポイントです。臓器移植とか、そういう具体的なことというよりは、精神的な考え方として、私のなかで息づいています。

もうだめだ、と思っても「まだ、足を取りかえるまではいってない」というような感じで、自分に言い聞かせたりしています。

誰かと分かち合えなくてもいいんです。心に残る作品に出会えることは、大人になってからのほうがたくさんあるかもしれません。

けれど「あのお話が、私にはあるんだ」と、心の奥底に刻み込まれるほどに、キラリと光る宝石のようなものを、お話の中から見つけ出すのは、やっぱり幼いころに読んだお話の中にあるんじゃないかという気がします。

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