madoka

散文、うた、物語などをつらつらと書いていく予定

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記事一覧

愚かな姫君の恋のうた

溺れるあなたを助けたのは わたしが優しいからじゃない あんまりあなたが素敵だったから わたしの声さえ差し出したのは 別に健気なわけじゃない この声はあなたにさえ届け…

madoka
4年前
5

白昼夢

土砂降りの向こうに 晴天が嘲笑う 境界線に揺らぐは 透明な狐の嫁入り しとしと りんりん 鈴が鳴る 君の手の甲に 噛みついて 君の喉笛を 舐めとって ここにすべてを …

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4年前

夕立に頬を打たれる

生ぬるい夏の雨が 乾いた地面を濡らす 湿度を孕んだ空気が 貪欲に街を飲み込む 蝉時雨に 耳を塞ぐ間もない 信号が青に変われば たち消えてしまうだろう 蜃気楼のような…

madoka
4年前
2

かえすことばもない

ばかじゃないの ばかじゃないの ばかじゃないの さよなら さよなら さよなら すりきれたテープが ぼくをなじりつづける つきのひかりのふりそそぐ つめたいタイルのうえ…

madoka
4年前
1

Passion flower Blue

とんだお笑い草だわ ええ本当に 時計草の中で 受難ごっこでもしていた? 針の先で踊る天使に さよならを告げて 棘の上の カタツムリの殻の中 宇宙が溶けきってしまうの…

madoka
4年前
2

仮想交接

暴かれる快絶に 身を捩って 啼いても 所詮は 0と1で構成された 仮想空間に過ぎず 自らの尾を 飲み込み続ける ウロボロスよろしく 生まれては朽ちて 愚かなダンスを踊る…

madoka
4年前
2

潮騒

それで楽になれるのなら いいよ この崖から飛び降りて バラバラに分解されるまで 見届けてあげるから 大丈夫だよ 波がさらって 心なんて存在しない場所まで 僕を壊し続…

madoka
4年前
1

魔女のスープ

タピオカミルクティーに 彼岸花と蜥蜴の尻尾をぶちこんで 煩悩の数だけ掻き混ぜて JKの嘲笑と Youtubeのノイズを添えて 飲み干しても きっと狂えはしないだろう まだ甘す…

madoka
4年前
1

for good

幻なの なにもかも 手を伸ばしたって 実体はないの 羊の群れに 紛れ込んだ狼が すべてを 食い殺してしまうのを 冷たい目で 見ているの 血が流れるなら 流せばいい も…

madoka
4年前
1

融解の夏

小鍋の中の 豆腐が溶けて 豆乳になって 銀河の果てに流れていった いろんなところを旅してきたの レムリアの海に沈んで アンドロメダの彼方を巡り パリの灯に歌って い…

madoka
4年前
4

いつかのやくそく

ねえ おかあさん にんげんなんかにうまれたら きずついて きずついて きずついて せかいのうつくしさもわすれて ないたりしなきゃいけないのでしょう? そんざいかちが…

madoka
4年前
2

彼方

ああ わたし死ぬんだな と思う 明日かもしれないし 30年後かもしれないし いつかはしらないけど この心と体を ちゃんと還して 戻る日が やってくる なにをしても しなく…

madoka
4年前
1

so my dear,

この声が 君の耳に届くうちに どれだけ 伝えられるだろう 藍色の深い水の底まで 沈んでゆくときには 光も音も届かない でもそこは きっと静謐で美しい 君のためだけの 霊…

madoka
4年前
2

わたしの好きなひと

わたしの好きなひとは 自分がゆこうと決めた道を 自分の足で歩いていこうとする しなやかな芯の強さがあるひと 荒野に踏み出す 力と輝きのあるひと 誇り高く 美しいひと

madoka
4年前
1

ポイント オブ ノーリターン

夏も近づく 明日は新月 頭のなかは そこそこに お花畑で 浮足だって 溺れて 楽しいけれど これでも そこそこに 怯えているの もう元には 戻れない ポイント オブ ノ…

madoka
4年前
3

remembrance

人間とはなんて 愚かで浅ましいのだろうと 絶望する自分がいる 喚き傷付けあっては 争いを手放すことができない でも それでも 人間とはなんて 美しく愛おしい生き物な…

madoka
4年前
愚かな姫君の恋のうた

愚かな姫君の恋のうた

溺れるあなたを助けたのは
わたしが優しいからじゃない
あんまりあなたが素敵だったから

わたしの声さえ差し出したのは
別に健気なわけじゃない
この声はあなたにさえ届けばいいから

この足の痛みに耐えたのは
わたしの献身なんかじゃない
それでもあなたと並んで歩きたかったから

わたしが笑いながら
泡になって消えたのは
自己犠牲なんかじゃない

あなたを最期まで
愛せたことへの
それがさいごの
誇りと

もっとみる

白昼夢

土砂降りの向こうに
晴天が嘲笑う

境界線に揺らぐは
透明な狐の嫁入り

しとしと
りんりん
鈴が鳴る

君の手の甲に
噛みついて

君の喉笛を
舐めとって

ここにすべてを
ぶちまけて

愚かなその祝列に
花を添え

夏の残り火に
焼き尽くされてしまうまで

夕立に頬を打たれる

生ぬるい夏の雨が
乾いた地面を濡らす

湿度を孕んだ空気が
貪欲に街を飲み込む

蝉時雨に
耳を塞ぐ間もない

信号が青に変われば
たち消えてしまうだろう

蜃気楼のような
君の面影など

傷に触れる前に殺した
僕のことばなど

かえすことばもない

ばかじゃないの
ばかじゃないの
ばかじゃないの

さよなら
さよなら
さよなら

すりきれたテープが
ぼくをなじりつづける

つきのひかりのふりそそぐ
つめたいタイルのうえで

Passion flower Blue

とんだお笑い草だわ
ええ本当に

時計草の中で
受難ごっこでもしていた?

針の先で踊る天使に
さよならを告げて

棘の上の
カタツムリの殻の中

宇宙が溶けきってしまうのを
待っているのに

あなたの女神は
血塗れじゃない

星の破片で
手首でも切ったの?

ねえ
馬鹿じゃないの?

仮想交接

暴かれる快絶に
身を捩って
啼いても

所詮は
0と1で構成された
仮想空間に過ぎず

自らの尾を
飲み込み続ける
ウロボロスよろしく

生まれては朽ちて
愚かなダンスを踊るだけ

赤い靴が脱げないなら
脚ごと切り落とせばいい

汚れたこの手に
亡骸を抱いたまま

潮騒

それで楽になれるのなら
いいよ

この崖から飛び降りて
バラバラに分解されるまで

見届けてあげるから
大丈夫だよ

波がさらって
心なんて存在しない場所まで

僕を壊し続けるだろう

白い子ウサギが
いつまでもふわふわと

笑っているとでも
思ったのかい?

魔女のスープ

タピオカミルクティーに
彼岸花と蜥蜴の尻尾をぶちこんで
煩悩の数だけ掻き混ぜて

JKの嘲笑と
Youtubeのノイズを添えて
飲み干しても
きっと狂えはしないだろう

まだ甘すぎる
君の骨を埋める褥には

for good

幻なの
なにもかも

手を伸ばしたって
実体はないの

羊の群れに
紛れ込んだ狼が

すべてを
食い殺してしまうのを

冷たい目で
見ているの

血が流れるなら
流せばいい

もう知らないからって
笑えばいい

もういらない
もうなにも

さよならしましょう
えいえんに

融解の夏

小鍋の中の
豆腐が溶けて
豆乳になって

銀河の果てに流れていった

いろんなところを旅してきたの

レムリアの海に沈んで
アンドロメダの彼方を巡り
パリの灯に歌って
いつかのヴィクトリア王朝まで

溶けて混ざって
ひっくりかえって
なにがなにやら
わからなくまるまで

いつかのやくそく

ねえ
おかあさん

にんげんなんかにうまれたら

きずついて
きずついて
きずついて

せかいのうつくしさもわすれて
ないたりしなきゃいけないのでしょう?

そんざいかちが
ないだなんていって

じぶんをのろったり
しなきゃいけないのでしょう?

どうしてそんなものに
みんななりたがるの

そうね
いいこ

ひとのこころの
いちばんおくにはね

きれいなふらくたるけっしょうの
ふしぎなすずがついて

もっとみる

彼方

ああ
わたし死ぬんだな
と思う

明日かもしれないし
30年後かもしれないし
いつかはしらないけど

この心と体を
ちゃんと還して
戻る日が
やってくる

なにをしても
しなくても

愛しても
愛さなくても

狂っても
狂わなくても

死ぬのだから
いいんだ



永久の刹那に彷徨いでても

so my dear,

so my dear,

この声が
君の耳に届くうちに
どれだけ
伝えられるだろう

藍色の深い水の底まで
沈んでゆくときには
光も音も届かない

でもそこは
きっと静謐で美しい
君のためだけの
霊廟なんだろう

だから待たないし
探さないよ

ただ
君の真摯な潔さに

言葉ではなく熱を
薬ではなく花を
慰みではなく愛を

わたしの好きなひと

わたしの好きなひとは
自分がゆこうと決めた道を
自分の足で歩いていこうとする
しなやかな芯の強さがあるひと

荒野に踏み出す
力と輝きのあるひと

誇り高く
美しいひと

ポイント オブ ノーリターン

夏も近づく
明日は新月

頭のなかは
そこそこに
お花畑で

浮足だって
溺れて
楽しいけれど

これでも
そこそこに
怯えているの

もう元には
戻れない

ポイント オブ ノーリターン

remembrance

人間とはなんて
愚かで浅ましいのだろうと
絶望する自分がいる

喚き傷付けあっては
争いを手放すことができない

でも
それでも

人間とはなんて
美しく愛おしい生き物なのだと

そう感じる心を
きっとわたしは
手放さずにいられるだろう

だから願わくば

いきて

生きていて