madoka

散文、うた、物語などをつらつらと書いていく予定

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最近の記事

愚かな姫君の恋のうた

溺れるあなたを助けたのは わたしが優しいからじゃない あんまりあなたが素敵だったから わたしの声さえ差し出したのは 別に健気なわけじゃない この声はあなたにさえ届けばいいから この足の痛みに耐えたのは わたしの献身なんかじゃない それでもあなたと並んで歩きたかったから わたしが笑いながら 泡になって消えたのは 自己犠牲なんかじゃない あなたを最期まで 愛せたことへの それがさいごの 誇りと幸福だったから

    • 白昼夢

      土砂降りの向こうに 晴天が嘲笑う 境界線に揺らぐは 透明な狐の嫁入り しとしと りんりん 鈴が鳴る 君の手の甲に 噛みついて 君の喉笛を 舐めとって ここにすべてを ぶちまけて 愚かなその祝列に 花を添え 夏の残り火に 焼き尽くされてしまうまで

      • 夕立に頬を打たれる

        生ぬるい夏の雨が 乾いた地面を濡らす 湿度を孕んだ空気が 貪欲に街を飲み込む 蝉時雨に 耳を塞ぐ間もない 信号が青に変われば たち消えてしまうだろう 蜃気楼のような 君の面影など 傷に触れる前に殺した 僕のことばなど

        • かえすことばもない

          ばかじゃないの ばかじゃないの ばかじゃないの さよなら さよなら さよなら すりきれたテープが ぼくをなじりつづける つきのひかりのふりそそぐ つめたいタイルのうえで

        愚かな姫君の恋のうた

          Passion flower Blue

          とんだお笑い草だわ ええ本当に 時計草の中で 受難ごっこでもしていた? 針の先で踊る天使に さよならを告げて 棘の上の カタツムリの殻の中 宇宙が溶けきってしまうのを 待っているのに あなたの女神は 血塗れじゃない 星の破片で 手首でも切ったの? ねえ 馬鹿じゃないの?

          Passion flower Blue

          仮想交接

          暴かれる快絶に 身を捩って 啼いても 所詮は 0と1で構成された 仮想空間に過ぎず 自らの尾を 飲み込み続ける ウロボロスよろしく 生まれては朽ちて 愚かなダンスを踊るだけ 赤い靴が脱げないなら 脚ごと切り落とせばいい 汚れたこの手に 亡骸を抱いたまま

          仮想交接

          潮騒

          それで楽になれるのなら いいよ この崖から飛び降りて バラバラに分解されるまで 見届けてあげるから 大丈夫だよ 波がさらって 心なんて存在しない場所まで 僕を壊し続けるだろう 白い子ウサギが いつまでもふわふわと 笑っているとでも 思ったのかい?

          魔女のスープ

          タピオカミルクティーに 彼岸花と蜥蜴の尻尾をぶちこんで 煩悩の数だけ掻き混ぜて JKの嘲笑と Youtubeのノイズを添えて 飲み干しても きっと狂えはしないだろう まだ甘すぎる 君の骨を埋める褥には

          魔女のスープ

          for good

          幻なの なにもかも 手を伸ばしたって 実体はないの 羊の群れに 紛れ込んだ狼が すべてを 食い殺してしまうのを 冷たい目で 見ているの 血が流れるなら 流せばいい もう知らないからって 笑えばいい もういらない もうなにも さよならしましょう えいえんに

          融解の夏

          小鍋の中の 豆腐が溶けて 豆乳になって 銀河の果てに流れていった いろんなところを旅してきたの レムリアの海に沈んで アンドロメダの彼方を巡り パリの灯に歌って いつかのヴィクトリア王朝まで 溶けて混ざって ひっくりかえって なにがなにやら わからなくまるまで

          融解の夏

          いつかのやくそく

          ねえ おかあさん にんげんなんかにうまれたら きずついて きずついて きずついて せかいのうつくしさもわすれて ないたりしなきゃいけないのでしょう? そんざいかちが ないだなんていって じぶんをのろったり しなきゃいけないのでしょう? どうしてそんなものに みんななりたがるの そうね いいこ ひとのこころの いちばんおくにはね きれいなふらくたるけっしょうの ふしぎなすずがついていて こころがうごくたび きらきら きらきら かがやくの りんりん りんり

          いつかのやくそく

          彼方

          ああ わたし死ぬんだな と思う 明日かもしれないし 30年後かもしれないし いつかはしらないけど この心と体を ちゃんと還して 戻る日が やってくる なにをしても しなくても 愛しても 愛さなくても 狂っても 狂わなくても 死ぬのだから いいんだ と 永久の刹那に彷徨いでても

          so my dear,

          この声が 君の耳に届くうちに どれだけ 伝えられるだろう 藍色の深い水の底まで 沈んでゆくときには 光も音も届かない でもそこは きっと静謐で美しい 君のためだけの 霊廟なんだろう だから待たないし 探さないよ ただ 君の真摯な潔さに 言葉ではなく熱を 薬ではなく花を 慰みではなく愛を

          so my dear,

          わたしの好きなひと

          わたしの好きなひとは 自分がゆこうと決めた道を 自分の足で歩いていこうとする しなやかな芯の強さがあるひと 荒野に踏み出す 力と輝きのあるひと 誇り高く 美しいひと

          わたしの好きなひと

          ポイント オブ ノーリターン

          夏も近づく 明日は新月 頭のなかは そこそこに お花畑で 浮足だって 溺れて 楽しいけれど これでも そこそこに 怯えているの もう元には 戻れない ポイント オブ ノーリターン

          ポイント オブ ノーリターン

          remembrance

          人間とはなんて 愚かで浅ましいのだろうと 絶望する自分がいる 喚き傷付けあっては 争いを手放すことができない でも それでも 人間とはなんて 美しく愛おしい生き物なのだと そう感じる心を きっとわたしは 手放さずにいられるだろう だから願わくば いきて 生きていて

          remembrance