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愚かな姫君の恋のうた

溺れるあなたを助けたのは
わたしが優しいからじゃない
あんまりあなたが素敵だったから

わたしの声さえ差し出したのは
別に健気なわけじゃない
この声はあなたにさえ届けばいいから

この足の痛みに耐えたのは
わたしの献身なんかじゃない
それでもあなたと並んで歩きたかったから


わたしが笑いながら
泡になって消えたのは
自己犠牲なんかじゃない

あなたを最期まで
愛せたことへの
それがさいごの
誇りと幸福だったから

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