気がつかない変わりゆく日常 ビール自販機

ビールの自動販売を町中で見かけなくなってからどれくらい経つでしょうか。今の20才代の人たちにとっては、道ばたに自動販売機がない世界が普通のことでしょうが、20年前までは道ばたにビールの自動販売機があり、誰でも、いつでも買うことができました。今はビジネスホテルのフロアーでで見かけるぐらいです。

平成8年3月31日に時点では、185,829台の自動販売機がありましたが、平成29年4月1日時点では、3,082台になっています。残存率は1.7%です(国税庁HPより)

何があったのでしょうか。この平成8年というのは、全国小売酒販売組合中央会の撤廃決議があった直後の年です。簡単に言うと、未成年者の飲酒問題の高まり→国が規制を検討→民間の業界団体が自主的に撤廃、という流れです。

自動販売機は、誰でも、いつでも自由にビールを買うことができることから、未成年者の飲酒を助長することが当時問題になっていました。年齢確認もなく自由に購入できたのです。話しはそれますが、アメリカのスーパーでビールを購入する時には、写真付きIDの提示を求められました。明らかに成年者の場合でもです。真偽のほどは定かでありませんが、スーパーに対する当局の抜き打ち調査があるからだ、と言われています。

閑話休題。以下、国税庁のHPから抜粋です。

国税庁は、平成6年10月に中央酒類審議会の「アルコール飲料としての酒類の販売等の在り方について(中間報告)」において、「屋外に設置された現行の酒類自動販売機については、関係各方面より、対面販売の趣旨の徹底が未だ不十分であるとの強い指摘がなされていることから、消費者の利便、零細な小売酒販店の省力化及び経営の合理化等の観点を踏まえて総合的に検討を行ったところである。その結果、対面販売の趣旨の徹底が困難な現行の屋外酒類自動販売機は撤廃の方向で検討がなされるべきであり、酒類自動販売機に技術的改良がなされ、未成年者のアクセス防止が可能となる場合には、設置が認められるべきとの結論に達したところである。」との内容の報告を受けました。

この報告を踏まえ、全国小売酒販組合中央会が、平成7年5月の総会において、「より良い飲酒環境を形成し未成年者飲酒防止の観点から、現行酒類の屋外自動販売機は、平成12年5月を期限として撤廃する。」旨の決議を自主的に行いました。

国税庁も、平成7年7月、各国税局に対し、現行の酒類自動販売機の撤廃等を指導する旨の長官通達「酒類自動販売機に係る取扱指針」を出し、新たに酒類自動販売機を設置する場合には購入者の年齢を確認できるように改良された酒類自動販売機以外の酒類自動販売機は設置しないよう指導すること等を指示し、小売中央会の取組を支援してきました。

年齢確認ができる自動販売機なら設置が可能ですし、まだ全廃には至っていないようですが、今はコンビニでより多くの種類のビールを購入することが出来ますし、コンビニも身近にあることから、以前より利便性が高まっています。自動販売機の減少により、ビールの消費量が減ったようなデータを見つけることは出来ませんでしたから、自動販売機の製造業界だけがビジネスの機会を失ったのかもしれません。

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