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【BL二次小説(R18)】 メガネ男子⑤終


翌朝。

 

新開が目を覚ますと、隣で全裸の荒北が上半身を起こしていた。

 

 

「おはよ、靖友」

「……」

 

荒北は無言で手に持っている物をじっと睨み付けている。

 

 

「どうした?」

 

新開が尋ねると、荒北は低い声で言った。

 

 

「……テメェ浮気してやがんのか」

「は……?」

 

 

いきなり思いがけないことを言われ、一気に目が覚める新開。

 

 

「オレ以外のオトコを連れ込むたァいい度胸してンなゴラ」

「なっ!なんの話だよ!」

 

驚いて飛び起きる。

 

 

「誰のメガネだコレ」

 

荒北は手に持ったメガネを突き出す。

 

 

「そっそれは昨日オレがドンクでおめさんに買ったんじゃないか!」

「ハァ?オレぁメガネなんか掛けねーよ!見え透いた嘘「待て靖友!ゆうべのこと覚えてないのか?」

「あ?」

 

新開は冷や汗を拭いながら尋ねる。

 

 

「どっから覚えてないんだ?金城くんの手品は?」

「金城の手品ァ?アイツ手品なんか出来んのか」

 

「じゃあ、金城くんのメガネを奪い取ったのも覚えてないんだな?」

「オレが金城のメガネを?……マジで?」

 

荒北が静かになる。

 

 

「おめさん、ゆうべ金城くんにかなりしつこく絡んでたんだぜ」

「……アイツ……怒ってた?」

 

「怒ってはいなかったけど……すごく迷惑そうにはしてたな」

「ぐァ……マジかァ」

 

落ち込んでいる荒北を横に、ゆうべのことを全く覚えていないことに寂しさと同時にホッとする部分もあり複雑な新開。

 

 

「ま、まぁ大丈夫だよ。大したことしてないし」

 

荒北が金城のメガネを掛けた後の大惨事のことはヤブヘビになるので黙っておくことにした。

 

 

 

 

「……なァ、新開」

「ん?」

 

荒北がボソッと呟く。

 

 

「今オレ達全裸ってことはさァ……ゆうべ、その……シたんだよな……?」

 

当たり前のことをわざわざ聞く荒北に、新開はニッコリ笑って答えた。

 

「もちろんシたよ。タップリね。ご馳走さん」

「……」

 

荒北は赤くなって黙り込んでいる。

 

 

「どうかした?」

 

新開が尋ねると、荒北はボソボソと言い出した。

 

 

「オレぁ……覚えてねんだヨ」

「え?」

 

「オメーはいつも朝起きると満足気に充実感いっぱいの顔してっけどォ。オレぁシた記憶がねんだ」

「……」

 

「最近オメーと会ってもなんかすぐ酒呑んで酔っちまってさァ、気付いたらいつも朝だ」

「靖友……」

 

「肉体的には確かにシてんのかもしんねェけど、脳ミソ的には記憶がねェから何にもシてねェのと同じなんだヨ」

「それってつまり……」

 

 

「つまりィ、オレ的にはずっと溜まってンだヨ!言わせんな恥ずかしィ!」

「靖友!」

 

新開は荒北に飛びかかって唇を押し付けた。

 

 

「ン……」

 

しばらくお互いの舌をしっとりと絡め合う。

 

 

「嬉しいよ靖友。シラフのおめさんから求めてくれるなんて。これからは夜はデレ北、朝はシラフと両方抱くからな」

「なんだデレ北って」

「なんでもない」

 

新開は慌てて誤魔化し、ベッドサイドにある伊達メガネを手に取る。

 

 

「靖友、メガネ掛けて」

「ハァ?ヤだよ邪魔くせェ」

 

新開は、メガネ荒北はデレ北の時だけのお楽しみにしようと決めた。

 

 

「靖友、好きだよ。愛してる。シラフのおめさんが好きって言ってくれなくても、オレはずっと好きだから」

「なんだよソレ。……ア、ちょ、なんでソコ、知って……アアッ……」

 

 

 

 

 

デレ北もシラフも、どちらも荒北に違いない。

どちらの荒北も同じぐらい平等に愛してる。

とりあえず今は、シラフの荒北を存分に悦ばせてやろう。

 

新開は得したような気分になり、幸せいっぱいだった。

  

 

 

おしまい



へ             あとがき


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