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プラントベースって?購買履歴データで人気急上昇中の植物肉市場動向を探る!/Weekly Topicセミナーレポート

近年拡大を続け、コロナ以前より注目を集めていた植物肉市場。
“プラントベース”という言葉だけは聞いたことあるという方も少なくないのではないでしょうか?本記事では大豆ミートや代替肉とよばれる商品や市場に着目。マクロミルの消費者購買履歴データ「QPR™」を用いて、植物肉市場の動向を読み解いていきます。
※こちらの記事は、2021年12月8日開催のセミナー「”プラントベース”植物肉市場動向」の内容です。

プラントベース食品・植物肉とは?

プラントベース食品・植物肉とは、植物性由来の原材料を使用した食品です。今回は、大豆肉や大豆で作ったハンバーグのように植物由来の代替肉を使用した商品を「植物肉」というカテゴリと定義して、マクロミルの消費者購買履歴データ「QPR™」を用いてこの植物肉市場を探ります。

「QPR™」は、マクロミルモニタ3万人が日々のお買い物履歴を収集・分析し、商品購買実態を把握することができるサービスです。今回のデータは2017年11月~2021年10月の4年間を分析したものです。

植物肉市場の盛り上がり

下のグラフは、植物肉関連商品の購入金額の合計およびカテゴリ別の推移です。見てわかる通り、植物肉市場は爆発的に拡大しており現在も伸張を続けています。特に新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年3月あたりから急こう配の右肩上がりになっています。2017年では料理の本・ソースや珍味・菓子、素材などが等しく市場を牽引しているカテゴリでしたが、特に新型コロナ感染拡大後に惣菜調理品というカテゴリがぐんぐん伸びており、現在では一番市場を牽引しているカテゴリとなっています。

<植物肉 購入金額とカテゴリ別の推移(100人あたり)>
「惣菜・調理品」の商品が市場を大きく牽引、市場の変化とともに商品にも変化が表れる

大豆ミート購入商品ランキングTOP10の変化

大豆ミートのカテゴリの中でもどのような商品が買われているのか、購入商品ランキングから確認します。上段が2017年、下段が現在の購入商品のTOP10です。2017年も2020年も1位・2位は珍味菓子ですが、惣菜・調理品アイテム(黄色く色付け)が多く、特に2020年はTOP10のうち5商品がランクイン。メンチカツやハムカツ、ナゲットなど本当にお肉として食べられているような総菜が目立ちます。購入者は大豆ミートとしっかり認識をして購入していると考えることができます。

<購入商品ランキングTOP10>
「惣菜・調理品」カテゴリの商品が上位に多くランクイン

植物肉市場が好調の要因は?

植物肉市場の好調の要因を構造の変化で確認していきます。グラフでは市場ボリュームに対して一人当たりの金額ボリュームというように構造を分解しています。まずは市場ボリュームについて、大豆ミートカテゴリのトータルを見ると非常に伸びており、直近でも昨対比152%の伸張をしています。
この結果は「人が増えたことが要因なのか?」「一人当たりの金額が増えたことが要因なのか?」を分解すると、両方とも増えてはいるのですが、購入率が140%伸張しているため、どちらかというと大豆ミート購入者数増加が要因といえます。

<100人あたりの購入金額・購入率・購入者あたり購入金額(期間別)>
植物肉市場全体は昨対比152%、購入率は140%、購入者あたり金額は108%で伸長。好調の要因は購入率の増加

大豆ミート、誰がどこで買っている?

大豆ミート購入者
では、どんな購入者が増加したのか見ていきます。メインはやはり女性ですが、近年男性も増加している傾向にあります。性年代の人数構成比でみると、2017年~2018年の4年前の「期間1」から徐々に男性の構成比が増えています。他の食品も共通してボリュームゾーンは40代~60代女性ですが、男性が増えていることはかなり特徴的といえます。特に40代~50代男性のシェアが増加傾向となっており、健康を気にする男性が買い始めたのかもしれないですね。

<性年代別人数構成比>
購入者の多くは女性40-60代だが、近年男性40-50代のシェアが増加傾向

さらに、職業別に誰が買っているのかを見ていきます。男性購入者が増えたことに比例して会社員のシェアが増加しています。元々はパートやアルバイトのシェアが高く、40%ほど占めていたのですが、それがだんだんと会社員のシェアに押されています。もしかすると、今までは主婦層が家族用に購入していたものが、自分用に購入する人が増えたのかもしれないですね。

<職業別人数構成比>
元々は専業主婦、パート・アルバイトの構成比が高かったが、近年男性会社員(事務系)のシェアが増加

購入場所
次に、どこで買っているのという情報を確認していきます。利用チャネルはスーパーとコンビニが増加している傾向です。4年前ではドラッグストアやECのシェアが比較的高い傾向でしたが、直近2年間でコンビニとスーパーのシェアが増えたことがわかります。男性ユーザーは女性に比べコンビニを利用する傾向があるため、そのこともコンビニが増えている背景にあるのではないかと思います。

<業態構成比(金額)>
近年はスーパーのシェアが増加。コンビニの比率も増加しており、男性増加の背景には購入場所の変化の影響もあるのでは

ヘビーユーザーの食や健康への意識を探る

ヘビーユーザーの定義
大豆ミートカテゴリの購入者をヘビーユーザー・ミドルユーザー・ライトユーザーに分けるとどのような傾向があるのでしょうか。それぞれの定義は、「ヘビー:大豆ミートカテゴリを年2000円以上購入」「ミドル:500円~2000円未満」「ライト:500円未満」とします。まず特徴的なのが、ヘビーユーザーの構成比が年々上昇しているところです。先ほどの間口奥行分析で見た通り、購入率が爆発的に伸び、購入数が伸びている中で、更に購入量が多いヘビーユーザーも増えていることは市場全体として伸張傾向にあることも納得の顧客構造です。ここまで爆発的に購入率が伸びると大体ライトユーザーがぐっと増える、要はトライアルしただけの人が増える傾向が一般的ですが、このようにヘビーユーザーも一緒に伸張するのは珍しいことだと思います。

<ヘビー・ミドル・ライト 構成比>
一時的なブームとして飛びついたライトユーザーではなく、購入の多いヘビーユーザーが増加

ヘビーユーザーの食への意識
次に、ヘビー・ミドル・ライト別に意識データを掛け合わせて集計を行った表を見ていきます。まず一般購買態度、食への意識ですが、ヘビーユーザーは「お店に入る前に買うものを決めている」「多少値段が高くても品質の良いものを買う」などが高く出ており、計画購買や品質重視ということが特徴です。食への行動意識では「見た目が重要」や「お腹が満たされれば良い」という価値観より素材の味を生かしたいという料理に少しこだわりがあるという特徴も見えてきました。まとめると、植物肉のヘビーユーザーは多少値段が高くても品質の良いものを選んで買うことや計画購買の傾向が強いということから店頭での販促から購入するのではなく、元々知っているものを買いに行く人が多いのではないかと思います。

<一般購買態度/食への行動・意識>
ヘビーユーザーは品質重視で計画購買性が高い

ヘビーユーザーの健康意識
続いて健康意識です。ヘビーユーザーは健康意識が高く、特に高くなっているのが「栄養のバランスを考えた食生活を心掛けている」や「日常的にできるだけ歩いたり階段を利用することを心掛けている」など、食事をちょっとしたところから気にする、普段の生活の中で運動できることを心掛けるというようにコツコツと健康意識を高めている人が多いのではないかと思います。

ここまでをまとめると、ヘビーユーザーは健康意識が高く料理にこだわっていて、計画購買をしやすいという特徴があるのではないでしょうか。ちなみに一般的に50~60代、特に60代以上の方の購入率が高いと健康意識が高くでる傾向にあるのですが、先ほどの構成比でも見た通り、50~60代の方ばかりが買っているわけではないのでやはり植物肉をたくさん購入する人は、一般に比べると健康意識が高いのではないかと思います。

<健康への行動・意識>
ヘビーユーザーは健康意識が高く、その行動の一つとして「植物肉の購入」につながっている

ヘビーユーザーが買いやすい商品
へビーユーザーは他にはどのような商品を買いやすいのかまとめた表を見ていきます。大豆ミートのヘビーユーザーが一般の人たちと比べると何倍商品を買いやすいかという指標で、リフト値が高ければ高い商品ほど大豆ミートのヘビーユーザーが買いやすいということになります。表を見ると豆乳、もち麦、低糖質、オーガニック、お米の代わりに食べるカリフラワーなどのワードが入っています。やはり一般に比べて、健康を意識した商品を買いやすいという傾向にあります。

ヘビーユーザーは、健康意識が高く、実際購買履歴データとしても、豆乳など植物性のものや低糖質なもの、健康意識したものを買っている傾向があります。流通側面では、クロスMDなどは大豆ミートと掛け合わせることでより売り上げが上がるという示唆も見えてきます。

<ヘビーユーザー購入商品TOP10>
ヘビーユーザーは、豆乳・もち麦・低糖質商品を購入しやすい

まとめ

購買履歴データおよび意識調査から見えてきた植物肉市場動向の特徴6つは以下の通りです。爆発的な市場の裏側には新規購入者の増加だけではなく健康意識の高いヘビーユーザーの増加など様々な要因が見えてきました。

■分析仕様
データソース :QPR™(消費者購買履歴データ)
分析対象者     :15~69歳の人口構成比に合わせた男女個人(一部緩和の70代含む)
対象カテゴリ :マクロミル標準植物肉
集計期間        :2017年11月1日~2021年10月31日
エリア      :全国(沖縄除く)
業態          :全業態
金額          :税抜

   ・・・【付録】皆様のご参考情報としてご活用ください・・・

消費者購買履歴データ「QPR™」
全国3万人のモニタにバーコードリーダーを貸与し、日々の購買履歴データを収集・分析し、商品購入実態をリサーチ。アンケートの実施により、なぜ購入したのかという意識も掛け合わせて聴取することができます。

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