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「どんなまちにしたい?」から考える。100人の子どもたちでつくりあげた、夢のまち。

ようこそ「こどものまち」へ

ここは、とある街。

街の入口には「ようこそ」の看板。
個性豊かな商店が立ち並び、街の中心部には市役所や警察署、銀行やハローワークまであります。

市長と副市長がいて、それぞれの場所でまちのみんながやりたいことをやっている、とてもにぎやかな街です。

「イバニー」というまちの通貨で、ほしいものを買ったり、遊んだり、イバニーが無くなってしまったらアルバイトをして稼ぐこともできます。
これは都市伝説ですが、秘密警察もいるとかいないとか。

「街」といっても、
そこは2日間だけ現れる、小さなまち。

名前は、「こどものまち・ひたち」。
こどもの、こどもによる、こどものためのまち。

子どもたちの手作りのくす玉でお出迎え
こどものまちの入口
受付で「市民証」と「イバニー」を受け取ります
市民証のデザインもみんなで考えました
「こども市民」をお出迎え
まちの案内板
ハンコ屋さん、女の子に人気でした
こちらはぬりえやさん
魔法の杖や石が売っています
手作りのアクセサリー
こちらはボーリング
客引きもばっちり
銀行では両替などができます
まちの様子
こどものまちに大人は入れないので、外から見守ります
完売!


こどもが主人公のまちづくり

2022年4月2日3日に、茨城県日立駅すぐ、旧イトーヨーカドーの4階で「こどものまち・ひたち」が実施されました。
日立市内で暮らすこどもたちが対象となって、この日のために集まってつくりあげた、夢のまちです。

「こどものまち」とは
ドイツ・ミュンヘン発祥のこどもだけで運営する、”まち”を一からつくり、体験するプログラム。日本では2000年代以降、東京・千葉・神奈川・兵庫など各地で開催されてきています。
茨城では2020年にひたちなか市で初開催。
自由な発想と創造性を育み、成功体験・失敗体験を積み重ね、生きる力を身につけることを目的にしています。

(「こどものまち・ひたち」公式チラシより)

こども市民大募集!集まった子どもたち

「こどものまち・ひたち」説明会の様子

「小学校でチラシが配られて、面白そうだなって思ったので参加しました」

この、「こどものまち」の仕組みの紹介をします。
6~12歳くらいの子どもたちを対象に、「こども実行委員」「こども店長」「こども市民」の中から、やりたい役割を選んで参加できます。
「こども実行委員」は、まちに必要なことを決めたりする人たち。
「こども店長」は、やりたいお店をやる人たち。
「こども市民」は、こどものまちで遊ぶ人たち。

どんなまちにしたい?から考える

週に1~2回「こども実行委員会」が開催され、「こども実行委員」が中心となって、まちに必要ないろいろなことを決めていきました。

こんなまちにしたい!

1人1票の投票で決まった、こどものまち・ひたちのテーマ。

「協力し、びょうどうでいろいろ売っている平和な町」

市長は女の子。
副市長は4人、そのうち3人は女の子。

市長たちの囲み取材

ルール(法律)も自分たちで考えました。

「こどものまち・ひたち」の法律

やりたいことを、やりたいように

自分のお店のレイアウトを考え中

「前に輪投げ屋さんに行ったことがあって。
そこの店員さんがすごく優しくていいなって思ったので、私も輪投げ屋さんをやろうと思いました」

「雑貨屋さんです。家にきれいなものがいろいろあって、それを使ったら楽しそうだと思いました。学校は違うけど、友達と一緒に参加します」

こちらはハンコ屋さん

野球の練習用にお母さんが作ってくれたストラックアウトを活かして、射的もできるゲームセンターみたいなお店をひらく子。

前に友達のプレゼントで作ったのが面白くて、
魔法使いの杖を作って売る子。

本当に魔法が使えそうでした

「あんまり人がいないところのほうが
たくさん綺麗なものが落ちているんです」
おうちの近所の海岸で集めたものを売るシーグラス屋さん。

お店のレイアウトも、何イバニーで販売するかということも、必要なことは全部自分たちで考えます。

買い出しメモを用意して
ホームセンターへ

必要な材料の買い出しも自分たちで!

少しずつ形になっていきます
大人は最低限のサポートをして見守ります

こどものまちの、おとなの想い

「学校には行きたくなくても、ここには行きたいって」

小学校4年生の男の子。
こどものまちでは石屋さんの店長をやりました。
大きなものから小さなものまで、色や形はバラバラだけれど、どれもあたたかみを感じられる石が並んでいました。

こだわりのある石たち

「副市長の子が同じクラスなんです。活発で、可愛らしいよね。
こういう子たちが参加するものなんだろうなって思ってたんです。うちの子は控えめでおとなしいから、大丈夫かなって」

ボランティアとして活動のお手伝いをしてくださっているお母さん。

「一時期は不登校だったんです。
でも、ここには来たいって。居場所みたいなものになっているのかな」

見守るお母さんの背中は頼もしい

子どもを信じて「見守る」ということ

「こどものまち・ひたち」では、大人は”見守る”という原則があります。
子どもに「自分の責任で自由に」というルールを身につけてもらうためです。

それでも、子どもの様子を見ていて、もっとこうしたほうがいいのに!と口や手を出してしまいそうになる瞬間はたくさんあります。
自分の子どもなら、なおさら。
そこをぐっとこらえて、少し遠くから見守るお母さん。

「毎回、気づいたり学んだり、反省したり。大人も成長しています」

「えんきはかなしいけれど、うれしいことがたくさんあります」

当初の開催予定日は、2022年2月11日・12日。
それがまん延防止等重点措置の関係で、3月12日・13日に延期。
と思ったら再度の延期。

がっかりしたり、やる気がしぼんでしまったり、嫌な気持ちになったり。
大人でもそういう気持ちになってしまいます。

子どもたちも、学年閉鎖や学級閉鎖で来られない子がでてしまって、準備の人手が足りなくなってしまったり、あまり準備を進められなかったり。

それでも、子どもたちからはこんな言葉が。

こども実行委員の男の子からみんなへ宛てたメッセージ

「絶対、またやりたい!」

1月から始まった「こども実行委員会」は、計17回。

どんなまちにしたい?まちに何が必要?もっとよくしていくためには?
まちの「市民」になった彼彼女たちは、本番では大人も驚くほど、まちの運営をスムーズに行っていました。

最後の反省会。みんなに拍手

最後の片付けも、みんなで協力してあっという間に終わりました。
何時間かかるんだろうか…と怯えていた大人たちはホッと胸をなでおろしました。

いい顔。お疲れ様でした。


「子どもが幸せなまち」を、茨城から

「こどものまち・ひたち」は、私たちまちのこ団が企画・運営を担当いたしました。
"子どもの原体験を豊かにする"をミッションとして掲げ、「こどものまち」の企画・運営や、移動式あそび場づくりなどの活動を行っています。
(まちのこ団HP:http://machinoko.sakura.ne.jp/connect/)

同時開催イベント「Living Street Hitachi」の様子

「こどものまち・ひたち」と同時開催で、もうひとつ企画・運営を担当したイベントがありました。
Living Street Hitachi」という、ストリートに居心地の良いリビング空間をつくり、子どもから大人までそれぞれが快適に過ごせる体験型イベントです。

ストリートに芝生を敷き、その上にはこたつやハンモック、遊び道具など。

たくさんの子どもたちの笑い声とはしゃぐ姿がそこにはありました。

まちに子どもの居場所があって、それが特別ではないという、たぶん、大昔からそうであったはずで、現代では失われつつある当たり前の日常。

『その国(地域)の社会や政治が健全かどうかは、その国(地域)の子どもが幸せかどうか』でわかる
ユニセフのある企画のスローガン。

本当にそうだなあと思うのです。

(「まちのこ団」Instagram、イベント翌日の投稿)

今後も、「こどものまち」の県内他エリアでの開催や、移動式あそび場づくりなどを通して、子どもや若者の居場所をつくっていきます。

「あそび場のある風景が、まちで日常になることが理想」

まちのこ団では活動をお手伝いいただける方を大大大募集しております。
一緒に「子どもが幸せなまち」をつくっていきましょう。

ボランティアの応募は下記リンクよりお待ちしております。


「こどものまち・ひたち」概要
テーマ:こどもが主役のまちづくり体験型イベント
日時:2022年4月2日・3日  11:00~15:00
場所:Hiタッチランド・ハレニコ!あそび・まなびエリア内
(旧イトーヨーカドー日立店4階)
主催:こどものまち・ひたち実行委員会、
こどものまち・ひたちこども実行委員会
協力:まちのこ団、NPO法人ひたち親子の広場
後援:日立駅前地区活性化委員会、日立市

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