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好きなところは美しが丘三丁目の交差点

私が大学生になる年、1971(昭和46)年の3月に引っ越してきまして、ほぼずっと今の場所に住んでいます。

好きなところは美しが丘三丁目の交差点を、美しが丘中学校の方向にちょっと左にカーブして上っていくときに見えてくる風景ですね。長く住んでいるので、やっぱり街への愛着というものも大きいんですけれど、その地点から北の方向に車で進んでいくと、両側のアキニレの街路樹の緑が、こう迫って視野がパーッと開けて、ああ帰ってきたなー、たまプラに帰ってきたなーってそういう感じがすごくするんですね。その安堵感というか安らかな気持ちというのか、これまでそんなに考えなかったことなんですけれども、素晴らしいなと。

地域の活動は、青少年指導員から始めて、連合自治会の会長は2016(平成28)年から務めさせていただいています。この美しが丘地区っていうのは、地主さんのような昔からいらっしゃる方が少なくて、大半の方がよそから越してこられた新しい街なんですよね。美しが丘連合自治会は23の単位自治会が集まっていて、単位自治会というのはどうしても日常の住民のいろんな困っていることや要望とかの対応に追われるんですけれども、連合自治会は地区内の割と抽象的で大きな命題、例えば防災とか防犯とか環境とか、あるいは親睦っていうようなことに焦点を当てて活動できる。そのあたりにやりがいを感じています。活動の中で最大の行事がこの地で50年続いてる盆踊り大会。親睦事業はその盆踊りと桜まつり、防災は十数年前から始めた防災のつどいというのを年に1回、10月に。そして11月に環境の事業として美しが丘公園の落ち葉清掃、それから年末に年末合同防犯パトロールという防犯事業。それぞれの事業にはそれぞれの目的があるんですけれども、やっぱり究極的にはコミュニティの醸成が自治会活動の目標なので、年末防犯パトロールにしても防災にしても何か炊き出し的なことをやってますね。公園の落ち葉清掃の後、子どもたちに落ち葉焚きを体験してもらおうと、焼き芋をやったり豚汁を出したり。終わってからみなさんで何かちょっと食べて交流しましょうっていうような。これがもう今コロナで全然できない状態ですね。

私が、地域に対して目が開かれたっていうのは、地域の子どもたちが参加する地域行事を企画立案して、それによって青少年の健全育成を実現していこうっていう、青少年指導員をやったときですかね。いい方たちと出会えて、いろんなアイデアがいっぱい出てきて、そのときに連合自治会にスカウトされて、かなり長い期間二足のわらじでやってきました。青少年指導員は、盆踊り大会ではみんなボランティアで暑い中、丸々2日間、子どもの顔より大きなわたあめを作ったりとかね、あとは私が提案した、2月に冬の公園で遊ぼうっていう企画で、みんなでバウムクーヘンを焼くってことをやったり、毎年6月には美しが丘ウォーク、いろいろとやりましたね。

もうひとつ、心の中で大きな場所を占めているところがあります。美しが丘中学校の南側の桜並木。越してきて以来、満開の桜並木のところで家族写真をたくさん撮っています。うちの家族の歴史の節目節目に出てくる思いの深い場所なんですね。桜並木で思い出すのは、もう50年くらい前のことですが、近くに住んでいらしたハイバックさんっていう外国の方が、その桜の木に登って手入れをされていたことがあって、母がお茶か何か冷たいもの持ってったんですよ。そしたら「アナタ親切ネ」って。母は大正生まれなんですけれど、植木屋さんにお茶を出すとかそういう時代の人ですから、やっぱり何かしてくださっている人にご苦労さまってお茶を出す。そういう昭和のころの、お互いに感謝して何かしてあげるっていうような街の様子、そういうこと、今はちょっともうないかな、と。自治会の仕事をしていて気づくのは、住民はサービスを受ける側だっていうふうに思ってる方がいらっしゃる。でも、自分も街のために何かできないかっていう視点を持って、何かをする側にもなれるようであってほしい。

自治会活動も、これからもいろんな方がくじに当たったりして携わられるとは思いますけれども、今、街でどういうことが起こってるのかっていうことにも関心を持っていただきたい。たまプラには2012年から始まった「次世代郊外まちづくり」から生まれたいろんな活動があるんですけれど、そういうことに無関心であっては自治会といってももう住民から置いていかれる組織になってしまうと思います。温かい目で共感を持って受け止めて、むしろ深い関心を寄せてほしいなと思いますね。

インタビュー:2021年 夏

このおはなしは2022年No.008号に収録されています。

この度、2014年から発行を続けてきた冊子「街のはなし」1号〜9号を1冊の書籍にまとめることになり、クラウドファンディングを始めました。

シンカブル(Syncable)からご寄付いただけます。

昭和のニュータウンの温故知新。
住民のまちづくりの努力の蓄積と街の成り立ちを共有したい。

100人のナラティブ・地域の変遷と社会の変化を伝える 記憶を記録する本
たまプラーザ「街のはなし」書籍化プロジェクト

すでにご寄付をいただいている方には、御礼申し上げます。とても励まされております。そして、これまでご協力・応援してくださったみなさまにも、オンラインの寄付を通して、書籍化プロジェクトの仲間になっていただけたら嬉しいです

街のはなしHPでもこれまでの活動を見れます。www.machinohanashi.com
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企画・文: 谷山恭子
写真:小池美咲

編集・校正: 谷山恭子・藤井本子・伏見学・街のはなし実行委員会

発刊:街のはなし実行委員会

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