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無駄なプロセス・外注費はプロジェクトへ


最近の問い合わせ-コンサル依存症-

2024年度のPPP入門講座はありがたいことに2024.5.23現在で会場・オンライン・後日アーカイブ合わせて約460名の方にご参加いただいている。
入門講座では「補助金が入っている施設や市街化調整区域でも様々な突破方法があること」「指定管理者制度は代理執行でもコスト削減の手法でもないこと」「随意契約ガーの時代ではないこと」など、「当たり前のこと」を事例を通じて解説し、それぞれのまち・民間事業者がクリエイティブなプロジェクトを構築していくきっかけとして使っていただければと考えている。

アンケート・PPP入門講座の現地参加特典としての無料相談や別途、個別に多くの「誰かが作ったつまらない既成概念」や「まちみらい」に関するお問い合わせをいただいているが、そのなかでも「コンサル依存症」がいまだに根強そうなので、このnoteで改めて整理しておく。

コンサルに頼まないと。。。

・PPP/PFIをやったことがないのでどうやって良いかわからない
・内閣府の優先的検討規程のモデルに可能性調査や詳細な検討はアドバイザリー業務に出すように書いてあるのでまずは委託費を確保した
・営業に来たコンサルから事業手法比較表やVFMを作成しないと議会説明が通らないと言われた

自治体担当者から出されたご意見・お悩み

測量・移転補償などの業務はコンサルに委託することが効果的・効率的であることは間違いないが、「何をしたいのか?」「どのような場を創っていきたいのか?」は自分たちで考えて決めていくことができるはずだし、しなければいけない。
自分の人生を第三者の(短絡的に入札で選ばれた安かろう・悪かろうの)コンサルに金を払ってまで決めてもらうことはないのに、なぜまちの未来を左右するプロジェクトは「誰か」に簡単に委託してしまうのだろうか。

自分の人生を考えれば、コンサルに委託して良い範囲は自然と見えてくるはずだ。

えっ?VFMとか事業手法比較表は?

・事業手法比較表とVFMを作れと上司から言われているがどうやって作成するのか教えてほしい
・内閣府のモデルではPPP手法(※PFI法に基づくPFIのBTO方式_サービス購入型)だとイニシャル・ランニングとも10%安くなるとなっているが、どのような根拠でそうなっているのか

自治体担当者から出されたご意見・お悩み

拙著「PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本」「実践!PPP/PFIを成功させる本」や上記の(超長編)noteでも書いているように、短絡的・表面的なコストを机上で計算した事業手法比較表やVFMにリアリティは存在しない。
実際にプロジェクトに関わるわけでもないコンサルが、誰が設計・施工・運営するかもわからない事業のPSC(行政が従来型で発注する場合のコスト)とPFI-LCC(PFI法に基づくPFIで民間が整備した場合のコスト)を、何の根拠もないのに比較できるわけがない。
そうした「怪しい根拠」によってそのまちを左右するプロジェクトを決めて良いのだろうか。

そんな安い額で大丈夫?

・まちみらいのホームページを見ると(可能性調査やアドバイザリー業務と比較して)安いけど大丈夫なの?

自治体担当者から出されたご意見・お悩み
まちみらい_業務案内

一般的にPPP/PFI関連の導入可能性調査では、規模にもよるが3,000〜8,000千円、要求水準書の作成等を含むアドバイザリー業務では数千万円のフィーが必要になる。一方でまちみらいの費用は、上記の表にあるように(案件ごとに最終的に見積を作成するが)圧倒的に安い価格を設定させてもらっている。
これは、後述するように「職員と一緒になって徹底的にディスカッションしながら作成するプロセス」を採用する(←一般的なコンサルのように要望だけ聞き取って案を作成し加除修正してもらうほうが圧倒的に楽でコストがかからない)一方、「入札やプロポーザルに参加しない」「無駄な営業は行わない」「事務所等の無駄なコストを生じさせない」ことで余計な経費を発生させず、(本人の清貧な性格もありw)原価+αのビジネスモデルとしている。

やはり大切なのは、第三者として関わるからには真剣に取り組むとともに、そのまちにクリエイティブなプロジェクトを顕在化させることである。フィーの多寡よりプロジェクトの魅力が圧倒的に勝つのである。

何をしてくれるの?

・「字を書かない」なかで、どのような形で業務を行うのか
・どのような形で支援をしてくれるのか

自治体担当者から出されたご意見・お悩み

まちみらいでは、現場重視・実践至上主義を掲げ、後述のように「自分たちで創る」ことをモットーとしている。

非合理的な行政を取り巻く社会において、ときには社会情勢や経済だけではなくマクロな国政・そのまちのミクロな政治の風向きにも大きく影響を受けながら、様々な法的・時間的・財政的・人的等の与条件と向き合い、突破口を見出していく。
こうした生々しいプロセスを取っていくためには、まさに伴走型であることが求められ、そのまちのその瞬間に関わる人々の叡智を結集していくことが求められる。これはそのまちに生活をしない第三者には絶対にわからない(分かったフリをしてはいけない)ことなので、必要十分なメンバーが集結してディスカッションのなかでどうしていくのか自分たちで決めていく。このプロセスを効率的・効果的にサポートしていくのがまちみらいの役割である。
(国土交通省がまちみらいと類似のハンズオン支援なる仕組みを持っているが、ここで派遣される一般的なコンサルは行政経験がないので「合理的に要求水準書をそれっぽく」作るので、結果的にまちにハマらない。これは過去のハンズオン支援の自治体がどれだけのクリエイティブなプロジェクトを創出してきたかを見れば一目瞭然である。)

まちみらいでは「前から手を差し伸べる、横から倒れないように支える、後ろから蹴っ飛ばして前に進ませる」、この3つを駆使して(割合は1:2:7)そのまちらしいプロジェクトを愚直に構築していく。

まちみらい流

自分たちで創る

上記のnoteで記したように、アドバイザー業務では関係各課の職員が「自分たちが抱えている課題」と「どうやったら解決できそうか」を次々とプレゼンしていき、いろんな部署のメンバーが喧々諤々議論していく。個別案件では必要十分なメンバーによるプロジェクトチームを組織し、プロジェクトごとに作成する専用の検討フォーマットを活用して「何が課題なのか」「なぜそれをやるのか」から一つずつ紐解きながらビジョン・コンテンツや与条件を整理する。
職員研修等を通じて物の考え方・全国の事例などを学び視野を広げながら、このような手法によって、高い関係者のモチベーションを醸成して熱のこもった・オリジナリティ溢れる個別解をオーダーメイド型で探っていく。

事業手法は自ずと収斂される

徹底的な庁内のディスカッションと営業を前提としたサウンディングをベースにビジョン・コンテンツ・与条件の精査を繰り返していけば、「何がしたいのか」と合わせて「現実的に難しいこと」も市場性のなかで見えてくる。
これを組み合わせてくれば、例えば「従来型・直営は自由度が低いから違う」「PFI法に基づくPFI(サービス購入型)である必然性は薄い」「普通財産に落としての貸付が一番簡単でわかりやすい」「既存施設の最低限のリニューアル分は負担金として準備しないと民間の手が上がらない」「公募前に包括承認制で補助金返還不要の整理をしておく」「運営事業者を先付けした方が良さそうだ」等がクリアになり、自ずと事業手法は収斂される。

やっていることは項目ごとに◎○△×をつけていく事業手法比較表と近いが、フローで「そもそもあり得ない」ものを排除して、そのプロジェクトにあった方法論を収斂していく方がよりリアルである。

要求水準書は薄くなる

上記のプロセスを適正に取っていけば、関係法令一覧を明示したり各部屋の詳細な面積やコンセントの数まで記すような諸室諸元表などは不要になる。結局、「誰が出てくるかわからないから」「民間がどのような提案をするか不安だから」、行政が自分たちでコンサルと一緒に「自分たちの思考回路の範囲内で枠を狭めていく」ことで仕様発注に成り下がり、その仕様が蓄積されることで100ページを超える要求水準書が出来上がってしまう(この要求水準書の厚さがアドバイザリー業務に直結してしまうw)。
民間事業者も提案に当たってはクリエイティビティではなく「仕様のパズルを解くこと」が求められるため、当然ながらアウトプットとしてのプロジェクトの質も低くなる。

いかに要求水準書を薄くできるのか、そのためにも繰り返しになるが徹底的な庁内でのディスカッション・営業を前提としたサウンディング、そしてビジョン・コンテンツ・与条件の精査が重要になってくる。
どのような事業者がどのような提案を出してくるのかある程度見えれば要求水準書は薄くできるはずだし、公募前に十分な共通認識の醸成が図られていれば「何をしたいのかと最低限の仕様を記した性能発注」ができるはずだ。

ということで、まちみらいが関与するプロジェクトは石川町の道の駅、久米島町の給食センター・バーデハウス、阿南市のESCO事業などを見ればわかるように、職員が最低限の必要十分な要求水準書を自ら作成している。

本当の費用対効果

自分たちで創るからこそ

上記の「自分たち」が(途方もない)愚直で時間を要する・多種多様な観点からの意見を集約していくプロセスを経ることで、最終的にプロジェクトとしてどこがポイントなのかは「立ち戻る原点としてのビジョン」で共有されている。それを「実現するためのコンテンツ」や「実施していくうえでの与条件」も精査されており、市場とも向き合っていることから迷うことがなくなる。
庁内・議会・市民への説明が求められても、全く同じ言葉で堂々とプレゼンできる状態になっているし、どのようなことを聞かれてもほぼ100%、その質問はどこかのプロセスで検討され尽くしているので困らない。

同じことを旧来型の短絡的な業務委託でコンサルに丸投げ委託してしまうと、担当者(とその周辺)しか形式的な報告書を読んでいないため、人によって異なる意見を述べたり、あるいは「そもそも論」を今更蒸し返したりしてしまう。

また、担当者(や所管課の関係者)であっても「自分で書いたものではない」ため、なぜその単語を使っているのかや行間のニュアンスが理解できないため、議会説明などの大切な場面で言葉に窮してしまう。

そして、こうして創り上げたプロジェクトは「自分たちで市場と向き合いながら構築したもの」なのでそのまちのヒューマンスケール/エリアスケールに合致したものに当然なっていく。自分たちのまち・スキルや持てるリソースの範囲内なので、当然にうまくいかない場面が発生しても軌道修正可能であるだけでなく、自分たちで創ったものなのでどこにエラーがあったのかも即座に発見して対応できる。

コンサルに丸投げしてお抱えのディベロッパーが形式的なプロポーザルで受託していく形では、何がどうなっているのかわからず、要求水準書や契約書も複雑・膨大で読み解けずに対応がままならない。規模もヒューマンスケール/エリアスケールからスケールアウトしたものなので、自分たちでコントロールできず言い訳を繰り返すか、税金を垂れ流し続けるしかなくなる。
挙げ句の果てに「PPP/PFI手法はコントロールが効かない」と自分たちのやり方が拙かったのを他のリアルな誰かのせいにすることもできないので、手法のせいにしてしまうのである。(←指定管理者・三セク・随意契約なども全く同じ論理構造で、仕組みが悪いのではなく自分たちの使い方が悪いのに、誰のせいにもできないから「仕組みに責任転嫁」しているに過ぎない。

このあたりを考えても「自分たちで創る」メリットは計り知れない。

二極化する自治体

強調しておきたいのは、「行政の職員は圧倒的に高い事務処理能力」を有していることである。
やろうと思えば何でもできる能力があるが、やろうとすると関係者への説明がめんどくさかったり、膨大な手続論が必要だったり、自分では手を動かさず責任も取らないのに傍観している上司・幹部職に冷たい視線を浴びたり、必要な作業が問題意識を抱えた担当者(とその周辺)に集中してキャパを超えたり。。。と、うまくいかない理由は決してテクニカルなことではない。

テクニカルなことはどこかに道があることが大半で、その道を必死に探ろうとするのか、諦めたり・言い訳をしたり・嘘をついたり・知らん顔するのかが大きな分岐点になる。旧来型行政の枠に閉じこもった札幌市と様々な課題に対して覚悟・決断・行動した北広島市、それぞれの自治体はどちらにでも簡単に動くことになる。
これまでの経験上、自治体はそのどちらかに二極化しており、中間ということはほとんどない。

だからこそ、自分たちらしく「覚悟・決断・行動」できるよう、まちみらいでは独自のプログラム・ビジネスモデルを構築・日々進化させながら多くの自治体と向き合っている。

無駄な外注費・プロセス・時間をプロジェクトに

「いただく額の最低でも10倍、基本的には100倍を返す」のが、まちみらいの基本スタンスである。

沖縄県久米島町(桃原秀雄町長)は26日、町役場で記者会見し、町立幼小中学校給食や高齢者らの配食サービスを行う「食の拠点施設」を整備し、フードサービス業のハーベストネクスト(横浜市、脇本実社長)に運営業務を委託すると発表した。同町仲泊に建設。2026年8月の利用開始を予定している。
同町儀間にある学校給食センターは1976年開設で、老朽化している。町は建て替えや民間事業者の活用を検討したが、小中学校約850人の給食提供だけでは「採算が合わない」と手を挙げる事業者がいなかった。
そこで、学校給食だけでなく高齢者や障がい者向けの配食・調理サービスも担う「食の拠点施設」の建設を決めた。鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積1,455㎡。建設費22億円を同社に支出し、同社が整備する。7月に着工を予定。
1日1,000食程度を提供する。ハーベスト社が20年間運営を担う契約で、町は計40億円を同社に支出する。町と同社でほぼ毎月、調整委員会を開き請け負い業務の状況を点検する計画だ。
会見で桃原町長は「4年前から給食センターの移転を考えており正直ほっとしている。農家にも貢献できるよう地産地消に力を入れたい」、脇本社長は「おいしいと喜んでもらえる食事を提供したい」と述べた。

沖縄タイムス_学校給食や高齢者向け配食サービス 久米島町が「食の拠点」2026年稼働 難題を解決した町長「正直ほっとしている」

もちろん最終的に「やる・やらない」の判断をするのはそのまちなので契約書には記載できないが、例えば久米島町の民設民営の給食センターは当初コンサルが持ってきたPFI法に基づくPFIによる建て替えではとても採算が合うものではなかった。そこで本noteで記したようなプロセスを取ることによって、可能性調査・アドバイザリー業務などは一切行わずに「民設民営の島全体の給食センター」という独自性の高い形で要求水準書を職員が自ら作成し、契約まで漕ぎ着けている。

通常であれば、この可能性調査やアドバイザリー業務だけで数千万円の貴重な財源がコンサルに流れるだけでなく、まちの規模からスケールアウトした給食センターが鎮座することで、1食あたり何千円となってしまう費用対効果の全く得られないどころか、まちの経営に致命傷を与えかねないものになってしまっただろう。
結果論ではあるが、コンサルに流れていくはずの委託費を事業費に回せたことはとてつもなく大きいものであったし、何千万円もの貴重な税金を可能性調査・アドバイザリー業務という形で支出しながら給食センターが整備できない(プロポーザルが不調)という最悪のシナリオを回避できた。

国の優先的検討規程や先行事例のプロセスに何の疑問も抱かず「そのままトレース」することは劣化コピーにしかなり得ない。そこに無駄な時間・プロセス・外注費が膨大に発生し、そのプロセスに陥った瞬間にアウトプットの質も「その程度」にしかなり得ない。
きちんとしたプロジェクトはやはりオガールの岡崎さんが仰るように「めんどくさいと思うことを、めんどくさいとわかって愚直にやり続ける」ことで創出される。

重要なことなので最後にもう一度書き記すが

  • 職員は強烈に高い事務処理能力を有しているので、やろうと思えばなんでもできる

  • 安易にコンサルに委託しても「そのまちらしい」ものにはなり得ない

  • コンサルへの委託費(可能性調査・アドバイザリー業務)をプロジェクトに回せば、成立可能性が圧倒的に高まる

  • 自分たちでプロジェクトを構築すれば、何がポイントか全てわかるので「自分たちらしい・マネジメントできるものになる」

  • 「まちみらい」は独自のプログラム・ビジネスモデルで「前から手を差し伸べる・横から倒れないように支える・後ろから蹴っ飛ばす」ことで自治体のプロジェクトをサポート(いただく額の最低でも10倍、基本的には100倍をプロジェクトで返す)w

お知らせ

2024年度PPP入門講座

2024年4月22日からスタートしている全6回(60分×3コマ×6回)の入門講座。今回からは日本管財株式会社とまちみらいの共催で実施しています。
ありがたいことに2024年5月23日現在で460名以上の方にご参加をいただいています。
会場(日本教育会館)での参加、リアルタイムのzoom配信、後日配信の3パターンで参加可能で、お申し込みいただいた方には後日配信が全て視聴可能なのでぜひご参加ください。

実践!PPP/PFIを成功させる本

2023年11月17日に2冊目の単著「実践!PPP/PFIを成功させる本」が出版されました。「実践に特化した内容・コラム形式・読み切れるボリューム」の書籍となっています。ぜひご購入ください。

PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本

2021年に発売した初の単著。2024年5月現在6刷となっており、多くの方に読んでいただいています。「実践!PPP/PFIを成功させる本」と合わせて読んでいただくとより理解が深まります。

まちみらい案内

まちみらいでは現場重視・実践至上主義を掲げ自治体の公共施設マネジメント、PPP/PFI、自治体経営、まちづくりのサポートや民間事業者のプロジェクト構築支援などを行っています。
現在、2024年度業務の見積依頼受付中です。

投げ銭募集中

まちみらい公式note、世の中の流れに乗ってサブスク型や単発の有料化も選択肢となりますが、せっかく多くの方にご覧いただき、様々な反応もいただいてますので、無料をできる限り継続していきたいと思います。
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そんななかで「投げ銭」については大歓迎ですので、「いいね」と感じていただいたら積極的に「投げ銭」をお願いします。




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