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「自分たちで創る」力を育む


最近の出来事

最近、首長選挙や外部の横槍によって既契約案件(の本年度分)やこれからの案件が契約できなくなるなど、行政あるあるだが非合理的な事象が身の回りで複数発生し、個人・会社としてとしても振り回されている。
現在の主たるビジネスモデルが浮き沈みの激しいものなので、ある程度は受け入れるしかないが、そのなかでもできることを考え試行錯誤していくしかない。
そして、こうした場面に数多く直面しても解決していくこと・乗り越えていくことでこれらは全て経験知に昇華することができ、結果的に個人のメンタル・スキルだけでなく会社の経営基盤も強くなっていくはずだ。
そのチャンスを得ていることは間違いないので、形勢逆転を図っていく。第一歩としてまちみらいのスタンス(一般的なコンサルタントとの違い)をnoteにもまとめておこう。

自分たちで創る

オーダーメイド型

少子・高齢化、中心市街地の衰退、空家や空き店舗、公共施設やインフラの老朽化・陳腐化などの課題は、多くのまちが抱える共通課題であるが、その程度や影響範囲などは当たり前であるが、それぞれのまちによって異なる。同時に文化・歴史・風土や地域コンテンツ・プレーヤーなども固有のものであり、「誰が・どのように」その課題にアプローチするのかも個別解でしかない。しかも、これら全ての課題にはどこかにゴールがあるものではなく、まちが常に新陳代謝している以上、常に向き合って試行錯誤し続けるしかない。
ポテンシャルを活用していくプロジェクトも同様に、マニュアル通りにできるものでも先行事例を劣化コピーすれば結果が出るものでもない。

「こうすれば良い」があるわけではなく、オーダーメイド型で試行錯誤していかなければならないので、やはり自分たちのまちは「自分たちで創る」ことが必要になってくる。

自分たちで創る

行政の職員は「そのまちのプロ」であり、市民はそこに住んでいる。職員が途中で違う道に転職したり、市民も何らかの理由で他のまちに引っ越すこともあるが、そのまちの結果責任を取るのは「そのまちの関係者(職員や市民)」である。
だからこそ、真剣にまちへ向き合うことが必要であるし、特に行政職員はプロとして誰かのせいにするのではなく、結果を出していかなければいけない。

こうしたことがわかっていても、先日の能登地震に関連してNHKで報道されたように厳しい環境下でかつ「行政も人・金などのリソース不足」に陥っている現実がある。(非生産的なものも多いが)ルーティンワークに追われ、まちに向き合う時間が限られていることも多い。

だからこそ、「この時間はまちの未来を自分たちで創っていくための時間」を事前に設定し、システマチックに運営することが重要になる。例えば4時間/月の検討時間を確保するためには、関係者はそこに向けて各々が毎日10分の効率化していけば、既存の勤務時間の中で十分に時間は創出できる。
1年間の検討日程が事前に決定され共有されていれば、メンバーが毎回集結することも可能なはずだ。

そして、検討テーマも普段からまちと真剣に向き合っていれば「何が課題で・どうすれば解決できそうか」程度はプロとしてプレゼンできる。

このようにしてプロが集まる場で徹底的にディスカッションしていけば、自ずと「どう試行錯誤するか」は収斂されてくるだろうし、こうした場を通じて覚悟・決断でき、行動に結びつけていけるはずだ。

無駄な外注をしない

行政の職員は多数の複雑な法律・条例等を熟知し、強烈に高い事務処理能力を有しているので、やることが決まりさえすれば「形式に置換する」ことは簡単に処理することができる。
つまり、「何が課題で」「そのプロジェクトで何を解決するのか」が理解できて、そこに至る「ビジョン」とそれを実現するために何をするのか≒「コンテンツ」を磨き上げ、様々な与条件・物理的制約等を整理しつつ、「誰とやるのか」をサウンディングや営業等を通じて見出していけば、自分たちで公募関連の実施要領や要求水準書は作成できる。

これまで何百万円もかけて実施してきた可能性調査はサウンディングまでの作業で代替可能であるし、一緒にやるパートナーがある程度見えてくればそこを目指して要求水準書を整理していけば良いので、何千万円もかけるアドバイザリー業務も不要となる。そして、そこに要していた業務委託費をプロジェクトそのものに投下していけばプロジェクトの質の向上につながるだけでなく、民間にとっても手を上げやすい環境につながっていく。

もちろん、測量・地盤調査などは従来どおりコンサルタントに業務委託した方が高い専門性を活用して効率的・低コストでできることは間違いないが、「このまち・このプロジェクトをどうしていくのか」といった本質的な部分は、そのまちの経営責任を取る行政が自ら覚悟・決断・行動していくべきだろう。
(民間に「委ねる」のであれば、市民・庁内・議会からの後出しジャンケンの要望などで民間主導のプロジェクトが左右されることのないよう、行政は責任を持って適正に露払いをしていくことが求められる。)

試行錯誤

上記の方法論によって理論的にプロジェクトの方向性をまとめていくことはできるが、行政を取り巻く環境はこれまでもnote等でまとめてきたように非合理的である。そうしたなかでプロジェクトを形にしていくのは容易ではない。
「自分たちだけでやるのが不安だから誰かに頼りたくなる」のも自然なことだと思うが、そのときに「従来型のコンサルへの丸投げ」をしてしまうと、上記のようなビジョン・コンテンツを精査することなく事業手法の比較表・VFMの世界へ堕ち、まちを良くするはずのプロジェクトで多額の税金を投下しながら、悪い場合には墓標になってしまう。

だからこそ、こうした不安があるのなら「一緒に走りながら考える」、試行錯誤しながらどこに突破口があるのか探っていくパートナーが求められるはずで、そこを担うのがまちみらいの主たるビジネスモデルである。

まちみらい流

徹底的なディスカッション

関係者によるディスカッション

まちみらいでは様々な部署の関係者が集まり、各課の担当者が「自分たちが抱えている課題」と「どうやったら解決できそうか」をプレゼンし、全員で徹底的にディスカッションを行っていく方法論を採用している。2回目以降は「前回のディスカッションを踏まえてどう解像度を上げてきたのか」もプレゼンし、さらにディスカッションを行う。これを何度も繰り返しながら、形になりそうなものから「1秒でも早く」事業化していく方式を採用している。

専用フォーマットを活用した案件形成

フォーマットを活用した案件形成

包括施設管理業務や公共施設整備(・跡地活用等)に関するプロジェクトについては、関係各課からなるプロジェクトチームを組成し、まちみらいが案件ごとに作成する専用フォーマットを活用して課題の整理から要求水準書の作成までシステマチックに実施していく。

これまで関わった事例では共通して「ビジョンの作成」に最も時間がかかっている。「何のためにやるのか」「どこを目指すのか」を「みんな・賑わい」といった曖昧なNGワードを一切使わずに自分たちの言葉で見出していく作業は、行政がこれまでほとんど行ったことのない作業であるため、どうしても時間がかかるが、立ち戻る原点の共通認識を作るため避けて通れないプロセスであると認識している。(この辺りは拙著「PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本」や「実践!PPP/PFIを成功させる本」で詳しく解説している。)

非合理的な場面への対応

上記のような方法論は、相当の時間と労力を要することから現在の超多忙な行政では一見、非合理的な作業に見える。しかし、市民の貴重な税金を使う・まちに何らかの変化を与える以上は、プロとして自信を持って創出していかなければいけない。この一連の作業を丁寧に実施していくなかで将来的に庁内・市民・議会等から聞かれる質問や懸念などは、(一部で非合理的なものも多く出てくるが)必ずどこかで議論したものとなっているため、自分たちの言葉で説明できる状態となっていることから軸がブレることなく足元の強いプロジェクトに育っているはずだ。
時間軸が逆戻りしない、関係者との合意形成などで右往左往することがなくなるといったメリットが内在することから、こうしたプロセス・方法論を採用している。

一方で、相当の時間と労力をかけて担当者との協議・職員研修・首長への直接プレゼンをしたまちでは、そのエリアを左右する(普通にやってしまえばイニシャルだけで1,000百万円を超える可能性のある)大規模なプロジェクトの検討にあたり、(まちみらいの)「検討コストが高い」といった理由でご一緒できなくなってしまったが、そのプロジェクトの行末はしっかりと確認したいと思う。

(このまちではここ数年、同じような思考回路・行動原理の結果、竣工即負債となってしまうハコモノ事業を量産してしまっているから心配なのだが。。。)。

「やるための方法論」を見出す

まちみらいのやり方では、事業手法の比較表やVFMの算出といった「ザ・PPP/PFI
の王道の方法論」は採用しない。
前述のようにビジョン・コンテンツから徹底的に議論しながら検討して、法律・財政的制約・政治的な要件など様々な物理的な要素を整理し、サウンディングでどのような民間事業者と自ずと事業手法は収斂されてくると同時に、サウンディングでパートナー候補者が見つかれば自ずと一定程度のVFMも確保されてくる。

旧来型の事業手法比較表やVFMはまだサウンディングも一般化していない時代に、ハコモノ整備を主としたサービス購入型のPFI法に基づくPFI(BTO方式)を視野に広まってきた方法論であり、この流れを踏襲した内閣府のPPP/PFIの優先的検討規程も同じ思考回路である。
しかし、世の中のまちとリンクしたホンモノのプロジェクトは、こうした方法論ではなく運営事業者が主となり、ビジョン・コンテンツを行政と共有しつつオーダーメイド型で「やるための方法論」から導き出されている。
近年では事業手法そのものから公募する事例も急増している。大切なのは、そのプロジェクトによって(キャッシュベースだけには限らないが、)どのような利益をまちにもたらすかである。そのための方法論(≒やるための方法論)は、個別具体にその都度、関係者がクリエイティブに模索していくしかない。

最重要のリソースを育む

このような「まちみらい流」のやり方を経験しながら幾つかのプロジェクトを「自分たちで・自分たちらしく・できる形で」構築していくと、自分たちなりのやり方が自然と身についてくる。
また、関係者が集まってディスカッションしながら検討する方法論が定着していけば、行政特有の縦割り・前例踏襲といったつまらない理由で立ち止まったり、庁内調整で「俺は聞いてない・そうは思わない」といった反対のための反対をかなりの割合で予防できることもわかるはずだ。
行政にとって最重要のリソースである職員がクリエイティブに動けるようになっていくこと、そして自立・自走していくことにつながっていく。

実際に常総市ではこうした方法論を3年間進めたことによって、その後もアグリサイエンスバレー等のプロジェクトを自ら構築している。久米島町では全国最小の自治体における包括施設管理業務、民設民営の給食センターやバーデハウスの再生といったプロジェクトも自ら要求水準書を作成して取り組んでいる。
2023年度から関わっている宮崎市でも、この方法論を更にシステマチックかつ密度・ボリュームを上げることで圧倒的なスピードで多様なプロジェクトを創出しはじめている。

まちみらいの業務メニュー

アドバイザー業務

現時点で最も多くご利用いただいている形で、各課が集まっての車座形式のディスカッションを中心に多くのプロジェクトを創出していく。職員研修・現場視察やゲスト講師を招いての研修や協議なども状況を見ながら実施していく。
1泊が必要な場合は延べ10日(≒1泊2日×5回)、宿泊不要の場合は延べ8日を基本パックとし、要望に応じて回数の割り増しを行っている(宮崎市は1.5倍の延べ16日≒1泊2日×8回)。
うまくハマれば非常に多くのプロジェクトが創出できる。

基本パック_3,300,000円(税別)+交通費相当額

個別案件

包括施設管理業務、公共施設整備事業、跡地活用事業などの個別案件で、行政はプロジェクトチームを組成して、まちみらいが作成する専用フォーマットを用いて課題の整理・まちのポテンシャルの抽出から丁寧に行い、ビジョン・コンテンツなどを精査しながら足元の強いプロジェクトを組成していく。
回数は事前にある程度想定するが、「できるまで徹底的に行う」ことが特徴。
こちらも同様に職員研修やゲスト招聘などを必要に応じて実施している。

参考価格_3,500,000円(税別)〜 ※案件ごとにヒアリングを実施して見積作成

備考

アドバイザー業務・個別案件の併用型も徳島市等で実績があるので、要望がある場合はお問い合わせください。
民間事業者についても両パターン(個別案件の場合は企画提案書作成など)で受け付けています。この場合は成果報酬もいただきます。

顧問契約

民間事業者が行政の案件を獲得したい場合、企画提案書を効率的に書く場合などで継続的に支援する場合は、顧問契約が可能。

・120,000円(税別/月)+成果報酬

その他

執筆等もご要望に応じて対応します。

アプローチ方法

まずはお気軽に

まちみらいでは随時、一緒に走っていただける自治体・民間事業者を募集しています。まずはお気軽に下記にご連絡を。

info@machimirai.biz

お試ししてみたい場合は(今は予算ないけど。。。)

「興味はあるが予算がない」「本当にうちのまちでできるのか?」となっている場合は、総務省の経営・財務マネジメント強化事業を活用いただけば、自治体の負担ゼロでまずはお試しが可能です(弊社の都合で最大3日/年以内、それ以上の場合は直接業務委託で対応)。

お知らせ

2024年度PPP入門講座

2024年4月22日からスタートする全6回(60分×3コマ×6回)の入門講座。今回からは日本管財株式会社とまちみらいの共催で実施することとなりました。
ありがたいことに2024年4月16日現在で350名以上の方にお申し込みをいただいています。
会場(日本教育会館)での参加、リアルタイムのzoom配信、後日配信の3パターンで参加可能なのでぜひご参加ください。

実践!PPP/PFIを成功させる本

2023年11月17日に2冊目の単著「実践!PPP/PFIを成功させる本」が出版されました。「実践に特化した内容・コラム形式・読み切れるボリューム」の書籍となっています。ぜひご購入ください。

PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本

2021年に発売した初の単著。2024年2月現在6刷となっており、多くの方に読んでいただいています。「実践!PPP/PFIを成功させる本」と合わせて読んでいただくとより理解が深まります。

まちみらい案内

まちみらいでは現場重視・実践至上主義を掲げ自治体の公共施設マネジメント、PPP/PFI、自治体経営、まちづくりのサポートや民間事業者のプロジェクト構築支援などを行っています。
現在、2024年度業務の見積依頼受付中です。

投げ銭募集中

まちみらい公式note、世の中の流れに乗ってサブスク型や単発の有料化も選択肢となりますが、せっかく多くの方にご覧いただき、様々な反応もいただいてますので、無料をできる限り継続していきたいと思います。
https://www.help-note.com/hc/ja/articles/360009035473-記事をサポートする
そんななかで「投げ銭」については大歓迎ですので、「いいね」と感じていただいたら積極的に「投げ銭」をお願いします。

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