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「学生である前に、クリエイターとして」 私が 『れーぞく!ネクロマンスちゃん』 と歩んだ16ヶ月

きっかけは、夢想的な18歳の、ほんの些細な思いつきだった。


その日は東京から1000キロ離れた実家へ帰り、午前4時だというのにぼんやりと湯船に浸かっていた。上京してから通算2回目の帰省だった。


深呼吸とともに、空中で敵と対峙するイメージが浮かび上がり、敵が立て続けに発射する弾を華麗に避ける自分が脳裏に現れた。かと思えば避けたはずの弾は自分の周りをくるくると回っていて、自分が敵に向かって手をかざすと、弾たちは敵に向かって一目散に飛んでいく。敵は爆発四散。

そう、自分は邪悪で快活なロリ魔女。倒れゆく魔物たちを見て満足そうに口角を吊り上げ叫ぶ——「さぁ、セカイをれーぞくせよ!」


ぞくロマ_B5ビラ


こうして私の処女作、『れーぞく!ネクロマンスちゃん』は生まれた。



企画とチームの組成は2019年8月。私は上京したてで大学1年生の青二才だった。持ち合わせていたのは乏しい人脈と、わずかばかりの行動力。

ここに、ゲーム制作経験ゼロのゲームディレクター兼プランナー兼シナリオライターが誕生した。


それから1年3ヶ月後、2020年11月には国内最大級のインディーズゲームイベント『デジゲー博2020』への出展を果たした。


またゲームクリエイター甲子園への参加、ならびに直近(12月15日現在)には『ゲームクリエイターギルドEXPO2020』への登壇も控えている。


この記事では、制作に文字通り身も心も捧げた16ヶ月、特にデジゲー博やゲームクリエイター甲子園へ懸ける想いを綴りたい。




「そういうの、頑張らなくていいから」


私はイベントなどで他のクリエイターの方に『れーぞく!ネクロマンスちゃん』を紹介する際、学生作品であるということをあまり伝えない。

とはいえこの記事のようなケースもあるし、意識的に伏せているわけでもない。平たく言えば、作品に対するバイアスがかからないようにするためだ。



2020年1月、私はとあるゲームジャムイベントに参加していた。

48時間という厳しい制約のもと、学生もプロもアマチュアも入り乱れて一心不乱にゲーム制作を行う。終わった後は皆クタクタになりながらも、しかし少年のような笑顔を浮かべて制作の苦労話を語り合う、そんな素敵なイベントだ。


私はこのとき企画、制作進行、ドット絵のグラフィック全般、シナリオ演出を担当した。ゲーム制作を初めて5ヶ月、チーム運営や制作の段取りもだんだんと掴み始めた頃で、ゲームジャムで出来上がった作品のクオリティもかなり納得できるものだった。

会場はとある専門学校で、運営サイドには以前からの知人もいた。その方から、どうやらゲーム業界歴が長い方もお越しになっているらしいと聞いた。

私は奮い立った。ゲーム制作を長く経験している方であれば、きっと鋭い視点と観察眼を持っており、適切なフィードバックが頂けるに違いない。


そう考えた私は、その方をほうぼう歩き回って捜しあて、名刺を交換した。「よかったらぜひ、遊んでいかれませんか」という言葉とともに。


彼は少し困ったように笑い、「君、学生でしょ?そういうの、頑張らなくていいから」とその場を後にし、他の作品を試遊しに向かった。


すぐにはその意味を解せなかった。だが、少し経って、ようやく理解した。

彼は私の名刺を一瞥し、私が携わった作品を学生作品だと評した上で、見る価値もないと判断したのである。



学生である前に、クリエイターとして


きっと彼は専門学校などの場で、よく学生たちから作品への添削や助言を求められる立場にあるのだろう。プライベートで来ているのだから、学生であり一方的に助言を求めようとした私の態度が癇に障ったのであれば、それなりに理解はできる。恐らくだが彼の目にそのゲームは、私の新卒就活のためのカードと映ったのだろう。


しかし、私は学生である前にクリエイターである。

現に、その作品には大人の方も携わっていた。にも関わらず学生が表に出た途端、その作品は『学生作品』になってしまう。これでは、何のための共同制作なのか、わからない。


念の為に断っておくが、彼の反応は市場の反応と瓜二つであり、むしろ正常だと私は考えている。


高校生なのに完成度が高い、中学生なのによく出来ている——インディーズ開発者ほど、このようなフレーズを見聞きしたことがあるのではないだろうか。

こうしたバイアスに晒されるのは学生のみならず、全クリエイターの宿命だ。私ですら同年代、あるいは年下の凄まじいクオリティの作品を見ては、ため息をつくこともある。


だが、ゲームの主役はクリエイターでなくプレイヤーであり、シンプルに『面白さ』こそがすべてを支配している。




だから私は、クリエイターとして、この作品をもっと面白くしたい。

もっと広く知ってほしい。

もっとたくさん遊んでほしい。



おかげさまで、初参加となったデジゲー博は成功を収めた。


公式アカウントを覗いてもらえれば分かるが、開幕一ヶ月前から綿密に公開情報の量や密度を調整し、デジゲー博2020直前に盛り上がりが最高になるように計算していた。

画像や動画を多用して華やかな印象をアピールし、ボイスがついたことにも大きな反響をいただくことができた。

デジゲー博のブースへお越しいただいたお客様の中には、「ネクロマンスちゃんのために来た」と差し入れをくださる方までいらっしゃり、本当に胸が熱くなった。


そして周りのブースの作品を見て、再び奮い立った。

そこにあったのは、日本トップレベルのインディーズゲームの数々。その偉大なる先輩方に肩を並べられるのは光栄ではあるが、私たちはそれでもまだ満足していない。



セカイを“れーぞく”するために


私たちが目指しているのは、Nintendo Switchを始めとするコンシューマ機での発売。

そして日米中、三ヶ国語でのリリースである。



途方もない夢かもしれない。


しかし、かつて途方のない夢だった『デジゲー博出展』はいつしか目標へと変わり、そして実現した。

私たちはこの2つの夢を実現へと変えるために、ゲームクリエイター甲子園に参加した。




もし、あなたが20秒だけ時間をくださるのであれば、以下のサイトから『この作品を応援する』を押して、Twitterでシェアしていただきたいです。

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私たちは『ユーザー大賞』によって、さらなる飛躍を遂げ、これまで以上に制作に取り組みたいと考えています。どうか私たちに、更なる成長の機会をください!



『れーぞく!ネクロマンスちゃん』は公式Twitterにて最新の進捗をアップしています。

興味を持ってくださった方は、ぜひフォロー&RTをお願いします!



最後に、私個人のポートフォリオを貼っておきます。


長い間一緒に走ってくれたチームメンバー、応援してくれた皆さんのお力添えのおかげで、18歳の青二才は20歳のクリエイターになりました。


ありがとう。

そして、これからもよろしく。






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