まさかの甘いカップヌードルinアメリカ
ただいま、絶賛回復中!
放射線治療が終了して2週間、心身ともに、ただいま絶賛回復中。放射線が始まった頃は体調が優れなかったことも相まって、一緒にお茶したKarenさんに珍しく弱気な発言をして泣いていた自分が、今となっては情けない。あの日は、彼女が「振り子よ振り子。今は低いところにいるけど、必ず高い位置に戻れるから」と励ましてくれたものでした。今、こうして振り子が振り戻ったことに喜びを感じつつも、何分振り子だから、今の位置に留まり続けることはないんだよなぁという思いが過るのも事実。でも、それでこそ生きているということなのでしょうね。振り子が振れている限り、人生は続いていきます。
今はとにかく心の回復と体の回復がお互いに高め合っているようです。未来の難を案ずるより、今の喜びを謳歌したい、そんな気分なのです。
体の回復と言えば、放射線が終わると、足関節の痛みがみるみるうちに改善しました。日々のストレッチはもちろん、しゃがむことすらできないほどだったあの痛みは、一体なんだったのでしょう?放射線の副作用?
「この関節痛とともに年をとっていくのだろうか?」と悲観的になったこともありましたが、今では体の柔軟性も戻りつつあり、それに応じて疲れづらくもなってきて一安心。
でも、足が痛くてしゃがむことすらできない人の状況と気持ちが、少しだけ分かるようになりました。つらいよね。元気になった今だからこそ、忘れずにいたいと思います。
痩せたい、太りたい…
私は元々、決して食べても太らない体質ではないものの、体重の増減は少ない方でした。いわゆる「大人」になってからは、増減があっても2~3キロの範囲内。それが乳癌に罹患して治療したこの1年間は、体重が激しくアップダウン(ダウンダウン?)しました。
まず最初のダウンは、診断に至る検査結果待ち~診断後の検査~治療開始までの期間でした。さすがに食欲がなかったのもありますが、心配が過ぎて、食べても実になっていなかったように思います。
抗癌剤が始まってからは、副作用による味覚の変化、口内環境の悪化で食べられるものが減りはしましたが、体重が大きくダウンしたのは白血球の減少と高熱で緊急入院したとき。さすがにげそっとしました。
抗癌剤終了から手術までの体力回復期だった1ヶ月で、体調もすこぶるよく、落ちていた体重も診断前に近づく勢いで戻っていました。「これ以上増やさないようにしなきゃ」くらいにまでなっていましたからね。
状況が大きく変わったのは手術後でした。術後は胸部全体が締め付けられている感覚で、食べ物が入っていかない気がしていたので、基本的にあまり食べていなかったのかもしれません。思い返せば、空腹感を感じなくなっていたようにも思いますが、自分でもこわくなるくらいズルズルと体重が落ち、元々の体重より7キロ近く減少。そして、そんな低空飛行のまま仕事復帰し、更に放射線に突入したわけです。そりゃ、しんどいはずだ。
最近になって、体重も少しずつ戻りつつある傾向。体が健康でないときは体重減少に対して恐怖さえ覚えたのに、体が元気になった実感があると体重はそのままでもいいのにな、なんて思う勝手さ。人間って…
食べることの喜び
抗癌剤治療中は、副作用のオンパレードでつらい思いもたくさんしましたが、自分でも驚くほど気持ち的にダメージが大きかったのが、味覚の変化でした。最初はお酢だけは美味しかったのに、そのうちに、お酢はもとより塩っ気もつらくなり、甘党の私が甘いモノを食べても虚しさが残るという悲しさ。食べられるものを探していろいろ試してみましたが、果物の味も感じられないし、いい匂いがするチーズも味的にはなんだかで…
一番つらかったのは、好物を食べて美味しく感じないという現実。しかもそんなことが毎日続いた時期は、地味に落ち込んだものでした。例えば、枝豆。タンパク質不足もあったので冷凍枝豆を茹でたのに、美味しいどころか食べるのがつらいレベル。結局、ブレンダーでスープにして飲みました。毎朝飲んでいたコーヒーも飲めなくなりました。それから強烈にショックだったのはチャイラテ。スパイシーなチャイラテならばさすがにいけるのでは?と期待しただけに、チャイラテが美味しくないという現実にはズドーンときましたね。一時的なものであるはずとは理解しているのに、あぁこれもだめだった、あれもだめだったということが続くことで、あんなにも気分が落ち込むとは思いませんでした。「食べる」ということは、ただモノを食べて栄養を体に入れる以上の役割があるようですよ。
でも、そんなつらい状況下でも、最後まで私を裏切らなかったのが、バナナと抹茶味でした。酢飯にも助けられましたね。
バナナは食感も味も、抗癌剤の影響が最も少なかった食べ物でした。カリウムが不足がちなので、その点でもばっちり。そしてバナナと言えば亡き父の大好物。今も毎日のバナナ生活は続いています。
抹茶味は、スタバのグリーンティーラテにしてもお菓子にしても、内心では毎回ドキドキしていました。だって、大好きな抹茶味にまで裏切られたら悲しすぎます。でも正直言うと、本来の抹茶楽しみ度が10ならば、当時の抹茶楽しみ度は7くらいだったようにも思います。そこは記憶と想像力でカバーです。一瞬でも抹茶味を嫌いになりたくない!という強い信念(笑)。
ちなみに、放射線が終わってリベンジチャイラテしてきましたが、ちゃんと美味しかったです。美味しいものが美味しいって素敵なこと。
アメリカ限定?! 甘いカップヌードル
とにかく、元気になって「おなかがすいたな」と思うことも増えてきました。いろいろと薬を飲んではいるので、糖質、塩分には気を付けていますが、極力回避しているカップラーメンやポテトチップスなどのジャンクなものも「たまにはいっか♪」なんて。
最近無性に食べたいのが「緑のたぬき」。もしくは「赤いきつね」でもいいか。日系スーパーに行けば手に入るには入るのですが、なんせ高い。本来の値段を知っているだけに、いやこれはないでしょと言いたくなるほどで、結局断念することが多いのです。
そんな中、馴染みのある味で、しかもお手頃価格と言ったら「カップヌードル」。日本でもアメリカでも私の推しはカレー味。ちなみにアメリカではカレー味は知る人ぞ知る、あるところにはあるって感じで、結構レア。
よくある品揃えはこんな感じです。
先日、最寄りのWalmartでの買物中、すごいものを見つけてしましました。なんと「S'more味のカップヌードル」。S'moreとは、アメリカ人が愛して止まない、グラハムクラッカーで焼いたマシュマロと板チョコを挟んだ、超あまあまスイーツ。それがカップヌードルに…って、一体どういうこと?!「Limited Edition (限定品)」という、人類共通の殺し文句とともにズラッと並んでいたのです。
おぉ… 買うべきか、買わざるべきか…
「買うべきだ!」という好奇心の塊の私と、「おいしいはずがない、やめておけー!」という食いしん坊な私の戦い。結局「なんでそんなの買ったの~?」という旦那さんの声が聞こえてきて、とりあえずその日は写真のみで退散しました。
写真を見た旦那さんの反応は「Yuck! (オエェ!)」。だよねぇ。
すぐにインスタグラムに「興味はあるけど試してみるべきか?」と投稿したところ、Karenさんからコメントがつきました。
"It sounds terrible, but I say yes, you should try it. You won't know if it's terrible unless you try, right?"
(これはまずそう。でも私の返事は「Yes」で、試してみるべきだと思うわ。実際に試してみない限り、まずいかどうかなんて分からないでしょ?)
ですよね~
ということで、後日、心を決めてWalmartへ舞い戻ってきました。売り切れていたらどうしよう(ま、それなら仕方ないか)と思っていましたが、そんな心配をする必要もなかった様子。同じ場所に同じくらいの数のヤツラが、しっかりと値下げされて並んでいました。
もう迷いはせず、2個購入。
実食
数日間はパントリーで眠らせていましたが、仕事を終えて帰宅したある日、おなかはすいているけど、これと言って食べるものがないという、絶好の機会が巡ってきました。運よく旦那さんも在宅だったので、味見をしてもらうことは期待できないものの、私の反応と感想の受け皿はある。
今しかない…
え~、食べた感想は、そのままですが、安物のインスタントホットココアに麺を入れちゃったって感じ。Edible (食べることはできる)ではあるものの、美味しくはない。
かなりの不審の視線で見つめてくる旦那さんに対して「うん、食べられるよ… まずくはない…と…思う...」と食べ進め、あれ?やっぱりまずいかも…と思い始めた頃、完食したのでした。
あ、2個目のカップヌードルはもちろんKarenさんにプレゼントしました。「食べてみなきゃ分からないでしょ?」ってね。
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