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漫画語りー2.愛と継承の漫画<NARUTO>

はじめに

こんにちは、マッチロと言います。

 ぼくは漫画が大好物で、これまで何作品か読んで楽しんできました。その中で感動して印象に残った作品がいくつもあるわけですが、このnote上で、ここが好き、これを学んだ、等の自分の感想や印象をとことん綴っていこうと思います。読んだことない人のために作品の魅力をできるだけネタバレしないよう紹介するつもりです。毎週末に2、3作品(めっちゃ語りたい時、余裕がない時は1作品)挙げていこうと思います。拙い箇所もあるかもしれませんが、漫画が同じく好きな方は少しお付き合い頂いけると幸いです。


 今回は思春期で最も影響を受けた"愛と継承"の忍者漫画、『NARUTO』です。漫画を語る上でひとまずこれは外せません。なぜならジャンプ作品で初めて買った漫画だし、初めて漫画で泣いたのもこの作品だからです。今回はストーリー、画力、センスの3点で『NARUTO』の魅力を語っていこうと思います。それではよろしくお願いします。

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①ストーリー


 主人公のうずまきナルトは最初ウスラトンカチで、うるさく、自己主張の強い悪ガキからスタートします。この無駄に元気な活発さはだいたいの少年の主人公ならではの特徴です。

そして落ちこぼれてみんなから忌み嫌われていた彼でしたが、まず一番近いイルカ先生に認められ、班に属して仲間を持ち、偉大な師匠に教わり、最終的には里を救ってみんなから認められる存在になります。こうした人間関係が拡大しながら成長するストーリーもよく見受けます。



しかし、ナルトは他のジャンプ主人公とは少し毛色が違います。

そう思う最もな要因は最終回でナルトが家族を持っていることです。好きな女の子に恋愛感情を持つ主人公はいても、結婚して子どもを持つまでに辿り着く作品は珍しいです。
 

また、恋愛要素意外にも『NARUTO』ではさまざまな他者への愛の形をキャラクターを通して描かれてます。


ナルトの成長過程から例を挙げると、道を外すサスケを救いたいチーム愛あるいは友愛、同じ苦しい境遇を生きた我愛羅への隣人愛、自来也という師匠の師弟愛、亡くなった両親との家族の愛などです。

その中で彼は挫折を味わったり、自己を再発見したりと、自分を変えるいくつかの転機と人生経験を経て、腕白小僧だったナルトがいつしか落ち着きのある大人、そして里の長を任されるようになります。


こうしたナルトの大人びていく成長具合が、現実の人間の成長と妙に近く感じて、フィクションだけれどリアリティを感じます。愛の表現に関しては下記に主な例を挙げて簡単な図を貼って置きますが、物語を通して愛の対象をこんなに広範囲に見せてくれる少年漫画はなかなか無いでしょう。


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ストーリーでもう一つの特徴が歴史をつなぐ"継承"です。

長編ファンタジー漫画に歴史性は付き物ですが、『NARUTO』は読み進めるにつれて後半はもはや"忍びの国"という別世界の世界史を学んでる気分になるほど細くて深いです。


その整い具合に、岸本先生は歴史を導入する際一体どんだけ物語の構成を練ったんだ、と感心します。その構成で特にぼくが気に入ってるのが、ナルトの先生の継承です。つまり、

ナルト→カカシ→波風ミナト→自来也→三代目火影→初代火影

へと師弟関係が繋がっています。『NARUTO』の中で一番好きなキャラクターは決められませんが、師弟が横並びで描かれたカラー扉絵は大好きですし、キャラも全員好きですね。

ナルトたち第七班が伝説の三忍に教わる展開もそうですが、こういう過去の先人たちから現在物語の主軸にいるキャラに意思や技術が受け継がれる展開はいつもワクワクします。


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②画力

 

 岸本先生の画力は申し分ない上手さですが、ぼくがいつも圧倒される絵は俯瞰からの町全体や人物の細かな描写です。

こちらは第二部でナルトが修行を終え里に帰ってきた場面。

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   前回ぼくは、漫画の見開きページで一番好きなのはスラムダンクの1話目にある所と書きましたが、『NARUTO』一話目でナルトが多重影分身する場面は、今まで見てきた中で最もインパクトが大きい見開きの一つだと思います。何がすごいって、作品を初めて読む人に強烈な印象を与えるためにデビューして間もない岸本先生がナルトを何十人も描く手間を惜しまずこれをぶつけてきたことです。もはや先生の漫画家としての覚悟を表してるようにも見えます。


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おそらく人物や建物の緻密な描き込みやカメラアングルは、『AKIRA』の作者、大友克洋先生の影響が強いと思います。実際、初期の波の国編や中忍選抜試験編まではキャラクターデザインも大友先生風に近いタッチです。

しかしそこからだんだん粗が削れていって、サスケ奪還編あたりから絵全体が丸みを帯びてきます。それはまるで鳥山明先生のような愛着があるデフォルメ描写が足された感じです。だからなのか、たとえば暁のように、敵キャラがグロテスクな部分があるのに、リアルな不気味さよりもむしろカッコよく感じます。

正直岸本先生は他の上手い絵師さんの影響も受けているのですが、ぼくは岸本先生の絵を見るといつも、大友克洋先生と鳥山明先生がおそらく一番融合した作家だなぁ、とつくづく思います。


③センス


   人物、口寄せ動物、建物、額当ての里のマークといったデザインセンスや、術がどう発動されるかという発想はもちろん素晴らしいです。その中でも取り上げたいのが、岸本先生の小ボケを畳み掛けるようなギャグセンス。

特に一番印象に残っているのが、風影奪還任務から帰還するときの一場面です。ロック・リーの真面目さが滑稽に見えてしまう所が肝です。

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   またネーミングセンスもぼくは注目します。術の名前は確かにかっこいいのばかりですが、その中でも登場人物です。"うずまきナルト"もまあ安直ですが、その先生の名前は"はたけカカシ"ですよ!字だけ見るとダサいと感じてしまいますが、もうそんなもの通り越して漫画のカカシはかっこよく見えます。ほんとよくこの名前を決定して、しかも世に受け入れられたなあ・・・と思います。

おわりに


 以上でだいたいぼくの想いは吐き出せました。ここまでお付き合い頂き誠にありがとうございます。ミニマリズムや断捨離が流行る世の中ですが、この漫画の単行本や画集はずっと手放したくないです・・・。










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