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#025 その主人公、葛藤してますか?

拝啓 登場人物のキャラ設定にお困りの方へ


プロット作成の際、
登場人物の履歴書・キャラクターを、
ガッチガチに設定する方がいらっしゃると思います。
逆に、ざっくり設定する方もいらっしゃると思います。

正直わたしは、どちらでも構わないと思っています。

ガッチガチに設定してしまったせいで、
登場人物が自由に動けない状況におちいりそうなら、
そのつど、ゆるくすればいいだけです。
ざっくり設定の場合は、ストーリー展開に合わせて、
徐々じょじょにクッキリさせていけばいいだけです。

つまり、
あとから緩和かんわしたり追加したりすればいいので、
ガッチガチ設定でも、ざっくり設定でも、どちらでも問題ありません。
ちなみにわたしは、ざっくり設定側のひとです。

わたしの場合、
プロット作成しながら、クッキリさせていきます。
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①最初にコンセプト(メッセージ)を決めます
②つぎにストーリーを考えながらエピソードをつくります
 (エピソードとは、すなわちシーンのことです)
③シーンを考えながら、
 同時に登場人物のアクション&リアクションを考えます
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わたしは、この③の工程で、
登場人物のキャラクターを徐々じょじょにクッキリさせていきます。
具体的な行動・セリフ・口調・感情・反応などを考えながら、
覚え書きとして、実際のシーンの下書きを執筆しっぴつします。

この下書きをしているとき、
わたしはワクワクしながら執筆しっぴつしています。
すると登場人物がきと動き始めます。
動き始めると、性格・特徴などもクッキリしてきて、
ぼちぼち魅力的な登場人物が出来上がっていきます。
そのうえ、副次的ふくじてき恩恵おんけいもあります。
ワクワクしながら書き進めていくと、
そのシーンが臨場感りんじょうかんあるシーンにもなったりするので、
一石二鳥いっせきにちょう以上のメリットがあります。

もちろん、ひとそれぞれ、
自分に合った登場人物づくりを実践すればいいと思います。

ですが、
登場人物の設定において、必要不可欠なことがあります。
それは、そのストーリーにおける、
登場人物の「最終目的・悩み・葛藤かっとう・達成」です。

特に主人公には「葛藤かっとう」が必要です。

犯人逮捕で事件が解決するようなミステリー小説でも、
サスペンス小説でも、そのほかのエンタメ小説でも、
もちろん純文学でも、
主人公の「葛藤かっとう」は必要不可欠です。
葛藤かっとう」と言うと、
ついつい深刻しんこくなモノを考えがちですが、
そんなに深刻しんこくじゃなくてもいいです。
ただ、個人的な「葛藤かっとう」にしてください。
なぜなら、社会的なモノや、政治的なモノなどは、
読者にとって感情移入しづらいからです。

個人的な「葛藤かっとう」であれば、
読者も共感しやすく、感情移入もしやすくなります。
実際わたしも、いち読者として、
感情移入できない小説なんて読みたくありません。

職場での人間関係や、親子関係、友人関係でも、何でも構いません。
「大好きな異性になかなか告白できない」とか、
「過去の失敗のせいで、つぎの一歩が踏み出せない」とか、
読者が共感できそうなモノであればOKです。
「この歯ブラシ、いつまで使い続けようか?」
そんな日常の些細ささいなことでも一応いちおうOKですが、
読者が感情移入してくれなさそうなら、やめた方がいいです。

で、
葛藤かっとう」を設定すれば、
その葛藤かっとうの原因も、当然必要になってきます。
その原因を解決することが、主人公の「最終目的」になります。
なかなか原因が解決しないので、それが「悩み」にもなりますし、
その原因そのものが「悩み」だったりもします。
ストーリーの後半、つまり起承転結の「転&結」で、
その原因の解決もしくは克服こくふくすることで「悩み」もなくなり、
主人公の「最終目的」が「達成」されます。

ちなみに、
主人公に「葛藤かっとう」がない作品もまれにありますが、
主要な登場人物の誰かには、必ず「葛藤かっとう」があります。
また、主要な登場人物たち全員に「葛藤かっとう」がある場合もあります。

試しに、
「この登場人物の葛藤かっとうって何だろう?」と考えながら、
映画やテレビドラマをてみてください。
主人公をはじめ主要な登場人物たちの「葛藤かっとう」に気づくはずです。
そして彼ら彼女らの「最終目的・悩み・達成」も見えてくるはずです。
この鑑賞の仕方、
自身の作品の「登場人物づくり」にとても役立ちます。
ぶっちゃけ、いい勉強になると思います。

大事なことなので、最後にもう一度言います。

特に主人公には「葛藤かっとう」が必要です。

ちなみに作品づくりに慣れてくれば、
葛藤かっとう」をかかえる登場人物づくりが、
そんなに意識しなくても自然とできるようになります。


★もうひとりの主人公(島崎みゆき)が葛藤かっとうしています★
[本屋大賞受賞作]宮島みやじま 未奈みな 著「成瀬は天下を取りにいく」


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