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『離レ姫』関係者インタビュー 〈第9弾 後編/まぼろしのくに主宰 福地海斗さん〉

『離レ姫』を共に創り上げた
多彩なメンバーへおこなっている
インタビュー連載、第9弾

お相手は、前編に引き続き
まぼろしのくに主宰「福地海斗さん」です!

前編では昨年11月に上演した『離レ姫』について詳しく語っていただきました。

今回の後編では、これからの「まぼろしのくに」、そして次回作についてお伺いしてみました👀

最後まで必見です!!



🌻昨年の『竜宮城の山羊』は、幻ノ國初の再演作品でした。続く『夜叉姫』『背神』も再演でしたが、今後も『離レ姫』含め作品を再演されるご予定はありますか?

  今まで「再演」は、「リベンジ」と似ているような気がして、なんだか嫌だなと思っていたんです。
再演を前提に作品作りをしたことはないですし、そんな人はおそらくいないのでしょうけれど。
一度再演しちゃうと、そういった歪な筋肉がついてしまう気がして、再演に対して変な恐怖感みたいなものがありました。

『竜宮城の山羊』と『夜叉姫』は、そういった先入観に囚われることなく、むしろ歴史の新事実を今まさに掘り起こしているような感覚で上演することができたかもしれません。
背神再演版に関しては最早、別の作品になっちゃったんですけどね(笑)

『竜宮城の山羊』(再演)
写真 : 中村正行さん
『夜叉姫』(再演)
『背神』(再演)



「離レ姫」の再演は、機会があればやってみたいです。今は再演に対して、「リベンジ」でなく「タイムカプセル」くらいに思ってます

写真 : 中村正行さん

🌻次回作の構想

 今持っている構想としては…
シェイクスピアをやってみたいんですよね。
シェイクスピアを下敷きに書きたい。僕は基本、独学で脚本を勉強しているので古典に対してすごく苦手意識があります。そこの弱さと向き合っていきたいなと。

  シェイクスピアをやる上で一番いいのは、原文を自分で訳すことだと思います。オールドイングリッシュに言葉遊びとなかなかに難しい原文なのですが、今の現代日本語にどう移行するかというのは、翻訳家も大切ですが劇作家も向き合っていかなければならないのではないか、とすごく思います。言葉と動き、そして劇的な部分の兼ね合いですよね。シェイクスピアを日本語で上演する際は、そういった歯車が噛み合った状態が求められるのではないかと思っています。

「渡久地雅斗」さんという俳優はすごく稀有で。素晴らしい俳優なんですよ。雅斗さんと「離レ姫」を作り上げた期間は、古典に挑戦してみたいなと思うきっかけでした。

福地さんと渡久地さん

…今話していて気づいたのですが、僕はシェイクスピア劇をやりたいのではなく、シェイクスピアという人の物語を書きたいのだと思います。

でも僕、もう1回『GIRLS』もやりたいんです。
有難いことに、久しぶりに会う方や初めてお会いする方に、「そういえば『GIRLS』やらないんですか」と声を掛けていただくことが多くて。悩みますよね。
なので、『GIRLS』か「シェイクスピア」、どちらかかと。


🌻福地さんの創作意欲を突き動かすものとは何なのでしょう。

  他人への関心ですかね。
僕は自分以外の人間の気持ちが理解できないし、
これからも、全て理解するという願いは叶わないのでしょうけれど、だからこそ、人それぞれの感情や行動、生きた証みたいなものが気になってしょうがないですね。「何で何だろう」って常に思いながら生きています。それは今生きている人だけに限りません。
最近は専らそんな感じですね。自分から出た言葉よりも、他人からふとした瞬間に零れ出た言葉の方が興味があります

🌻 照明経験者やアーティストなど様々なバックボーンを持った方たちが所属されている「まぼろしのくに」。今後、どのような団体を目指していきたいですか。

  何かをやる上で、そしてその分野に誇りを持っている場合、固執してしまうことってあると思うんですよ。
演劇をやってて思うのは、演劇はそこまで人気じゃないと言うことです。
「そこまで」と言う言葉を使うあたりに、プライドみたいな感情がちらついてしまっているんですが、
観劇を趣味とする人って、演劇に触れてきた人がほとんどですよね。演劇をしていなかったら、僕も観劇にいかなかっただろうなと思う時があります。
何故なんでしょうね。
最近思うのは「気軽さ」がないのかなあと思ったり。値段も結構しますし、観劇する上でのマナーは映画館以上に求められる気もします。

食べ物で例えて恥ずかしいんですが、めちゃくちゃルールが厳しい老舗のラーメン店っていうイメージがありますね。
もちろんそういったものも含めて「味」として楽しめる人もたくさんいるのでしょうが、
それはエンタメとしての「味」というよりも、「形式」を楽しんでいる部分があると思うんです。

で、僕も含めですが現代人は「形式」をめんどくさいって思うんですね笑

じゃあ気軽に映像でみよう、となると映画のクオリティにはなかなか敵わなかったりするんです。

なので、演劇に「あまり固執しすぎない」団体を目指したいですね。そして演劇という「形式」の楽しみ方を教えてくれるような、そんな親しみやすく奥深い演劇窓口になろうと思います。

最後に、離レ姫を共に創り上げてくれた
出演者の皆さん、技術スタッフや制作の皆さんに心から感謝したいと思います。もちろん、会場に足を運んでくださった皆さん!ありがとうございます。

2023年もよろしくお願いします。


次回作への期待が膨らみますね…✨
これからのまぼろしのくにの活躍が、
一層楽しみになりました。

全9回『離レ姫』関係者インタビュー、
いかがでしたでしょうか!

お忙しいなかご都合あわせ、インタビューにお答えくださったクリエイターのみなさま、
本連載を最後までお読みくださった全ての皆さま、
大変にありがとうございました。

これからも、まぼろしのくにを
どうぞよろしくお願いいたします🌻

文責 : まぼろしのくに 広報

写真 : 中村正行さん

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