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子どもに「病院に行きたい」と言われたら

※全ての親御さんへ。お子さんが「病院に行きたい」と言ったら連れて行ってあげてください。必ず。理由は長くなりますが以下の通りです。

パニック障害という精神疾患がある。突然強烈な不安感が湧き起こり、死んでしまうかもしれないという恐怖、動悸、眩暈、吐き気、震え、眼前暗黒感、冷や汗などの身体症状があらわれる不安障害の一種だ。電車の中といった逃げ場の無い場所、人混みなど周りに多くの人がいる場所で、「ここで倒れても逃げられない、助けてもらえない」と思うことで発作を起こしやすくなる人が多い。更に、いつ発作が起こるのかがわからないので緊張が止まらない「予期不安」を抱えるケースも少なくない。

この病気は、発症してすぐに治療を開始すれば治る。SSRIという抗うつ薬の一種が著効し、上手くいけば3,4ヶ月で寛解まで持っていくことができる。

しかし、僕はこのパニック障害を13年間抱え続けている。そのせいで社会生活がままならず、働くことさえ叶えていない。なぜなのか。


それは、発症した時に親が僕を病院に連れて行ってくれなかったからである。発作を繰り返すようになった時、僕は中学生だった。自分が狂ってしまったのではないかと怖かった。でも、スクールカウンセラーに相談したら「パニック障害という病気があるよ」と教えてもらい、書店で関連書籍を少し立ち読みして、ああ自分は間違い無くこの病気なんだと理解した。
そこで僕は親に「パニック障害かもしれない。苦しいし治したいから病院に連れて行ってほしい」と頼んだ。しかし親は「気持ちの問題でしょ」と言って聞き入れてくれなかった。全校集会の類に出席できなくなり、それは親に連絡もされ親は知っていたはずで、その上で何度も何度も「病院に行きたい」と頼んだのに、毎回「気の持ちようだから」と突っぱねられた。健康保険証は親が管理しており、僕はお小遣いをもらっていなかったので、自力で病院に行くこともできなかった。

結局、僕が初めて医療に繋がれたのは、大学生になって一人暮らしを始め、大学に設置されている保健センターの精神科に通えるようになってからだった。
約5年間放置されていたパニック障害は、治らないものになっていた。
もう治らない、という絶望に突き落とされた結果、うつ病という二次障害も背負った。何もしたくない、身体が動かない、自傷が止まらない、死にたい。このうつ病は実は誤診断で、発症から約5年後に双極性障害という診断に変わった。この病気も治るものではない。なんなんだ。もうどこにも希望なんて残されていないじゃないか。


僕は親を恨んでいる。何度頼んでも病院に連れて行ってくれなかったことに。パニック障害のせいで途中退席ができない授業が怖くて学校の講義がつらかった。電車に乗るのが怖い。バイトができない。ずっと立っていることができない。外食が特に怖い。そして、20代後半になった今も、働けない。


精神疾患に限らず、全ての親御さんにお願いしたいことがある。子どもが「病院に行きたい」と言ったら話を聞いてきちんと病院に連れて行ってあげてほしい。子どもがそう言うということには必ず理由がある。
本当に病気だった場合、早期発見・早期治療が必要だ。当然連れて行くべきである。治るはずの病気が治らなくなるなんてことを起こさないために。重症化しないように。
仮病だったとしても、子どもなりの思いがある可能性が高い。親に、先生に、誰かに心配してもらいたい。僕を、私を見てほしい。かまって欲しい。もっと自分のことを気にかけてほしい。そのために「病院へ行きたい」と言うことで表現することがあるかもしれない。話を聞いてあげてもらいたい。


僕のようなつらい体験をする人を増やしたくないと思ってこの記事を書いた。
これを読んでくださった親御さんは僕の言葉をほんの少しでも気に留めておいていただけたら嬉しい。そして、多くの親御さんにこれを読んでもらいたい。


僕は、手遅れにして人生をめちゃくちゃにした親を、ずっと許せずにいる。

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