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「マイ・ディア・ミスター 〜私のおじさん〜」について (6) 初恋

40歳代男性で妻帯者、大手企業部長のドンフン。
20代女性派遣社員のジアン。

ジアンのドンフンへの思いは、異性への愛なのか。
年長者への尊敬の念なのか。
家族的なものなのか。

結局、そこはどうでも良いように思います。

このドラマが素晴らしいのは、おじさんと若い女性の話なのに、下世話な方向にはならず、恋愛を超えた普遍的な愛を表現しているように思えるからです。

IUの演技が、愛の必然性というべき切実さを、尊いものにしているように思います。

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ドラマでは、愛を知らずに育ってきたジアンが、思わず涙が出てしまう姿、なぜか走り出して追いかけてしまう姿。
そしてそのような自分に戸惑いを覚えている様子が描かれています。

そしてジアンの言葉。

「初めて会った自分と似た人」
「初めて好きになった人」
「アジョシ(おじさん)の足音、考え方、全て好き」
「人間とは何かを初めて知った」
「アジョシ(おじさん)と出会って、初めて生きた気がした」
「アジョシ(おじさん)に幸せになってほしかった」

その言葉は、愛を伝える言葉として、シンプルだけど、本質的な言葉。
尊い感情に思えました。

もしかしたら、愛を知らずに育ってきたジアンにとっては、その愛が恋愛なのか、人間愛なのか、定義できない状態だったのかも。

ただ、ただ、全てが好き。

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ジアンの姿をみて、宇多田ヒカル「初恋」の歌詞を思い出しました。

この「初恋」の相手は、両親だと言われています。

普遍的な愛を感じる歌です。

「うるさいほどに高鳴る胸が
勝手に走り出す足が今
確かに頬を伝う涙が
私に知らせる これが初恋と」

「追わずにいられるわけがない
正しいのかなんて
本当は誰も知らない」

まさにジアンの姿。

「もしもあなたに出会わずにいたら
私はただ生きていたかもしれない。
生まれてきた意味も知らずに」

ドンフンを知り、人間とは何か、愛とは何かを知ったジアンの気持ち、そのものだと感じました。


「もしもあなたに出会わずにいたら
誰かにいつかこんな気持ちに
させられたとは思えない」

この歌が素晴らしいのは、誰かを愛する感情そのものを、その人に教えてもらったことへの感謝を綴っている点です。
ジアンのドンフンへの思いも同じように感じました。

何年後かに、ジアンが誰かと恋に落ちたとき、ドンフンに対して、こう思うかも。。

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