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関東インカレの標準記録に思うこと。

5月23日から学生アスリートにとって主要大会のひとつである関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)が開催されます。

関東インカレは「対校」とあるように男子は1部、2部、3部(大学院)と別れており、種目ごとに順位を得点化(1位6点、2位5点…6位1点)して各大学ごとに点数を競い、1部の下位2校と2部の上位2校が入れ替わる大学対抗の試合です。

関東インカレには各大学で1種目につき標準記録を突破した選手が3人出場できるわけですが、

この標準記録について言及したいことがあります。

それは、

男子2部における標準記録には長距離種目とそれ以外の種目(短距離、フィールド)で大きな格差がある

ということです。

そう判断できる根拠はグローバルスタンダードであるIAAF(国際陸上競技連盟)のスコアリングテーブル(種目ごとの記録を数値化したもの)の点数です。

2014年のスコアリングテーブルを用いて特に格差の大きい長距離種目とフィールド種目を比較してみると

10000mのA標準29分30秒では997点に対して

円盤投げA標準36m00では623点。

5000mのA標準14分12秒では960点に対して

棒高跳びA標準4m60では886点。

といったように異なる種目を共通の指標で得点化してみると、大きな差があることがわかります。

5000mからハーフマラソンの長距離種目に関しては1部と標準記録の差がほとんどないくらい標準記録が高くなっています。

こうなっているのは箱根駅伝に出場するために高いレベルの選手が関東に集中して長距離種目のレベルが跳ね上がっているからだと考えます。

箱根駅伝に出場するために各校が長距離選手を集める形で陸上部の強化を進めた結果、長距離種目のみに特化した陸上部を持つ2部校が多く現れたことにより、レベルが上がり、標準記録に反映されたわけです。

ちなみに、他地域でのインカレの標準記録を調べてみたところ、このような格差はほとんどありませんでした。

この標準記録の格差により、ブロック間のコンフリクトが生じることが考えられます。

人数が多く一定レベル以上の大学の陸上部は効率的な行動をするために、種目ごとにブロックやパートが形成されることが多いと思います。

形式上はひとつの陸上部という組織でも、実際は複数のブロックが独立した行動をしていて、ひとつになり活動するのは対校戦と関東インカレくらいという大学も多いのではないでしょうか。

だから、同じ陸上部でも他のブロックに関してはさほど詳しくない選手が大半、なんてことが起こり得ます。

これにより、得点で各校の順位を競うという関東インカレの性質上、ブロック間でコンフリクトが生じることになります。

短距離、フィールドブロックが強くて長距離ブロックが得点できなければ

長距離ブロックからしたら

「短距離とフィールドは標準低いだろ」

短距離、フィールドブロックからしたら

「なんで長距離は得点とれないんだよ」

となり、啀み合うことになります。

この逆もあり、長距離ブロックが強くてその他のブロックが得点できないケースも同じことが起きそうです。

それぞれのブロックが同じように資源(資金、競技に必要な道具、練習環境など)を利用できて同じようなレベルにあればこのような問題は起きないものの、そういった大学は体育学部を持つ大学や規模の大きな大学しかなく、2部の大学にはほとんどないと思います。ブロックごとに非対称性があればコンフリクトは起きることになります。

では、コンフリクトを解消するためにはどうすればよいでしょうか。解決策は2つ考えられます。

1つめは標準記録の格差を是正すること。

IAAFのスコアリングテーブルに基づいて長距離に合わせてその他の種目の標準記録を上げるか長距離種目の標準記録を下げることにより格差を是正すれば、どの種目もおおむね同じ競技レベルの選手しか出場できなくなります。

しかし、これは現実的ではありません。長距離種目の標準記録を下げることは、出場人数が増えて競技会の運営が難しくなりますし、短距離種目やフィールド種目の標準記録を上げると1部と2部(3部)で棲み分けをしている意味がほぼなくなります。

また、標準記録を是正することには別の問題もあります。

それは、

そもそも関東学生陸上競技連盟主催の試合なのに、学生が標準記録を決めることはできないから。

です。

2017年に長距離種目の大幅な標準記録の変更が行われましたが、それは突然インターネットで知らされました。

標準記録の設定や、関東学連がどのようなプロセスで意思決定を行っているのかは所属している学生でもほぼわからないのです。

なので、学生アスリートが結託して標準記録の変更を求めてもその要求が通ることはないでしょう。

2つめは相互理解をして、互いにリスペクトすること。

長距離種目とそれ以外の種目との格差を主張してきましたが、誤解を生まないために補足しておくと、

短距離種目やフィールド種目の標準記録は決して低いわけではありません。

どの種目でも関東インカレに出場するには相当の努力が必要であることは間違いありません。

学生生活の多くを犠牲にして努力を重ね、関東インカレに出場することは素晴らしいことであると思います。

そのことを異なるブロック間で認め合うことができれば、記録や順位に関わらず協調することができるはずです。

先述したように関東インカレは大学対校戦。
つまり団体戦のわけです。

そこで高い成果をあげるためには組織としての能力の高さが求められます。

啀み合うことが目的ではなく共に戦うことが目的で各ブロックが集結する。それを忘れてはいけない。

以上の理由から、標準記録の格差は大きいものの、おそらく是正することはできないと考えます。それによるコンフリクトを解消するためにはブロックを越えたリスペクトが必要であると思います。

標準記録には遠く及ばない自己記録の僕からすると、関東インカレに出場することは凄いことだと思います。そして、出場される選手が納得のいくパフォーマンスを発揮することができるように祈るのみであります。

最後までお読み頂きありがとうございました。素敵な1日をお過ごしください。

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男子大学生。陸上競技(長距離)選手。思ったことを思ったままに綴ってます。
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