【フランス映画入門】 あかるくたのしいフランス映画紹介 #03
こちらはフランス映画に馴染みのない読者の皆さんが、「フランス映画って楽しそう!観てみたい!」と感じていただけるよう、明るく楽しい作品を紹介していく試みだ。
今回はその第三弾である。
今回もどんどんいきましょう。
#06 『アデュー・フィリピーヌ』 Adieu Philippine (1962)
監督:ジャック・ロジェ
出演:ジャン=クロード・エミニ、ステファニア・サバティーニ、イヴリーヌ・セリ etc.
トリュフォーに「ヌーヴェル・ヴァーグ最高の青春映画」とも評された本作。アルジェリア戦争の余韻が色濃く残る中、きらめく若さと明るさで夏を颯爽と駆け抜ける2人の少女たちがあまりに眩しい。
舞台のコルシカ島も1962年という製作年も、ともにアルジェリア戦争周辺の時代でそれゆえ空気も重かったろうに、なんと、それを感じさせない青春の匂いに満ちたことか。
フランス語でアデューとは、長い間会えない、あるいは永遠に会えないという状況でのさようならという意味。戻らない青春への儚い憧れか、青年少女への熱いまなざしか……
フィリピーヌ!と呼び合うシーンは劇中で一度きり。その刹那が余計に、全ての瞬間にきらめきを与えて、切ない。
#07 『幸福』 Le Bonheur (1965)
監督:アニエス・ヴァルダ
出演:ジャン=クロード・ドルオ、クレール・ドルオ、マリー=フランス・ボワイエ etc.
あらすじからネタバレ全開だが、最初から「そういうもの」として観たほうが個人的に「あかるくたのしく(一欠片の皮肉を込めて)」観られる作品と考えている。モーツァルトの旋律をバックに、美しい向日葵畑やあたたかな陽射し、絵に描いたような幸福な家族の休日を豊かに描きあげる。
最初から最後まで、あたたかい。
それなのに、言ってしまえば酷い話でもある。
それが逆に世の常というか、「酷い話」があろうと無かろうと変わらず時間が流れていく現実が、美しくも残酷で、「あかるくたのしい」瞬間が存在する理由のひとつとなり得るのではないか、と考えさせられるのである。
#08 『5時から7時までのクレオ』 Cléo de 5 à 7 (1962)
監督:アニエス・ヴァルダ
主演:コリンヌ・マルシャン
何よりまずクレオ(主人公)が可愛い。ポップシンガーの役だ。
ザ・フランス映画の可憐なヒロイン、という感じ。キューティクルツヤツヤクルクルブロンドに何でも似合う抜群のスタイル、チャーミングな眼差し。
個人的には『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴのフランス人形っぷりに負けないくらい、可愛らしいと感じる。
ヒロインのクレオは「自分が癌かもしれない」という心配が頭から離れないまま、検査結果を待つ2時間のあいだ、パリを歩く。
病気がテーマのはずなのに終始「あかるくたのしい」感じがするのは、天才音楽家ミシェル・ルグランの豊かなサウンドにも影響されているだろう。
彼女を観ていると、ゴダールに愛された頃のアンナ・カリーナのコケティッシュな魅力が思い浮かぶ。あるいはセシル・カットのジーン・セバーグの可愛らしさか。
とにかく軽やかでポップでありながら、ヒューマンドラマとしてのヒロインの心境の変化も味わえる作品。本編も90分と短めなので、手軽に観ることができるのも魅力である。
第三弾は以上となる。
これからも不定期的に色々と更新していく所存。
フランス映画はいいぞ!
さようなら。
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