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【フランス映画紹介】 アニエス・ヴァルダの素顔に迫る作品3選 #01

"ヌーヴェル・ヴァーグの祖母" アニエス・ヴァルダの作品を観ていこう週間。もちろんすべてアニエス・ヴァルダが監督したもの。

今回紹介する作品はドキュメンタリーが多いが、物語としては『5時から7時までのクレオ』『幸福』などが有名。詳細は以下。

それではいきましょう。


#01 『アニエスの浜辺』 Les Plages d'Agnès (2008)

あらすじ:ヌーベルバーグを代表するフランスの女性監督アニエス・バルダが、転機となった浜辺を通して自身の人生を振り返るドキュメンタリー。ジャン=リュック・ゴダール、ジム・モリスン、ハリソン・フォードなど各界の著名人が多数登場するほか、アニエスが亡き夫のジャック・ドゥミ監督への想いなどを赤裸々に語る。

映画.com. 作品紹介ページより

アニエス・ヴァルダが81歳のとき、自身の半生をもとに撮ったドキュメンタリー。
映画のスタッフたちを紹介する際、鏡をカメラに向けて顔を覗かせたり、キャラクター化して話させたりと茶目っ気たっぷりのアニエスワールド。

なかでもとくに伴侶ジャック・ドゥミの晩年にまつわるドキュメンタリーは胸にくるものがあった。ジャックが存命中に完成させられるようにと『ジャック・ドゥミの幼少期』をアニエスが撮り、完成後半月でジャックが亡くなるエピソードなんて涙なしには語れない。

アニエスとジャック

#02 『アニエスによるヴァルダ』 Varda par Agnès (2019)

あらすじ:長編劇映画監督デビュー作『ラ・ポワント・クールト』(55)から、世界各国の数々の映画賞に輝いた前作『顔たち、ところどころ』(17)まで、ヴァルダが60余年の自身のキャリアを振り返る、集大成的作品。飽くことのない好奇心と情熱をもって、死の直前まで創作活動を止めることのなかった彼女の、これは遺言状ではなく未来へのメッセージ。

公式作品紹介ページより

アニエス・ヴァルダの遺作。
彼女が "まるで天井桟敷の人々のような" 大勢の聴衆を前に、自身のキャリアや作品への想いを語る。

有名な観光地でなく、その地を生きる人々の生活を撮りたい(意訳)」
そんな彼女の世界観に個人的に大いに共感した。わたし自身も旅行に出たら、誰もが知るモニュメントよりもスーパーマーケットや公園を見たいタイプだからだ。

先に紹介した『アニエスの浜辺』と被る内容もないではないが、彼女がどんな信念を持ってカメラを回したかがよりよく理解できる。アニエス・ヴァルダの集大成として相応しい作品。


#03 『ダゲール街の人々』 DAGUERREOTYPES (1975)

あらすじ:ヴァルダが50年以上居を構えていたパリ14区・モンパルナスの一角にあるダゲール通り。“銀板写真”を発明した19世紀の発明家の名を冠した通りには、さまざまな商店が立ち並ぶ。その下町の風景をこよなく愛したヴァルダのドキュメンタリー作家としての代表作。

U-NEXT 作品紹介ページより

パリ14区といえばわたしがパリに留学した際、初めて部屋を借りた地区である。Cité Universitaire という文字通りの学生都市に居住することになったのだが、そこは今作に登場するモンパルナスよりもう少し南だった。

現在ではモンパルナス墓地が有名で、有名人だとサルトルとボーヴォワール、ボードレール、デュラス、ロメール等だけでなく、アニエス・ヴァルダとジャック・ドゥミの墓も建てられている。

当時撮った写真だが、いつ見てもキスマーク(観光客の)がすごい

そんなモンパルナスでひっそりと生活を営む人々——パン屋の夫婦、日用品店の夫婦、精肉店の夫婦 etc………………名も無き住人たちに、アニエス・ヴァルダは彼女なりの独特の、大いなる愛着をもってカメラを向ける。

途中フィクションかノンフィクションかわからないが、あるマジシャンが登場する。そのマジシャンにモンパルナスの人々が "手品" にかけられていくのだが、そのシーンでカットが切り替わり、先にみた "生活" を語る例の住人たちが映る。

そのカットの切り替わり、編集の仕方はほかのヌーヴェルヴァーグの先人たちのやり方のどれとも似ず、彼女らしい愛情を感じ取れる。
地味だが傑作な、小さなドキュメンタリー。


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