【指導観③】〜“脳”に刺激を与える〜
12月に入りました。
気づけばもう年末です。
1年が本当にあっという間です。
高校野球ではいわゆるオフシーズンに入り、対外試合ができない期間が約3か月続きます。
この期間にいかに体力向上・技術向上を図れるかが、来年の春・夏の結果に大きく関わってきます。
今回は、技術向上に関して、私見を述べようと思います。
あくまで私見ですので、私のこの考え方が正解だと主張したいわけではありません。
1つの考え方として、捉えてもらえればと思います。
指導法の勉強や資格取得を通じて
私は、前任校での野球部の指導の際に、理論に基づいた正しい指導法をしっかりと身につけた指導者になろうと考え、さまざまな勉強会に参加したり、指導者資格を取得したりしてきました。
まず、その中の一部をまず紹介します。
シナプソロジー
シナプソロジー普及員の資格を取得した際に、学んだことです。
以前の投稿にも記しましたが、
シナプソロジーとは、「2つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」といった普段慣れない動きで脳に適度な刺激を与え、活性化を図る活動(トレーニング)です。
認知機能や運動機能の向上と共に、不安感の低下も期待されます。
このシナプソロジーの中でよく使われるキーワードは“スパイスアップ”です。
いつでも簡単にできる動作を繰り返していても、脳は活性化しません。
あるプログラムのメニューに取り組み、それができたら、次にメニューに少し変化を加えることで、またレベルを少し上げて“刺激”を強くしていきます。
そうすることで、“できそうでできない”程度のレベルの“刺激”を常に受けていくことになります。
“できそうで、できない”ものを“できるように”頑張ることで脳が活性化させる。
これがシナプソロジーです。
ライフキネティック
ライフキネティックの体験会に参加し、またライフキネティックの書籍を読み、学んだものです。
ライフキネティックとは、簡単に言うと脳のトレーニングと運動を組み合わせたメソッドです。
詳しくは以前の投稿で紹介した書籍を読んでいただければと思いますが、内容はシナプソロジーに類似したものでした。
聞いた話だと「ライフキネティックと類似したものが多く広まっているが、大元はドイツのライフキネティックである」そうなので、シナプソロジーもライフキネティックから派生して作られたものなのかもしれません。
ライフキネティックの効果に関して、多くの研究結果が出ており、以前の投稿で紹介したので割愛しますが、ライフキネティックに取り組むことで、
○ ストレス耐性の向上
○ 緊張の緩和
○ 注意力や集中力の向上・ミスの減少
○ 記憶力の向上
○ 反応速度の向上
の効果は期待されます。
その他
他にも、メンタルトレーニングの指導者資格や、ビジョントレーニングの指導者資格、スポーツリズムトレーニングの普及員の資格も取得しました。
もしよろしければ、そのことに関する投稿もご覧ください。
やっと本題へ 〜“脳”の重要性〜
シナプソロジー、ライフキネティック、メンタルトレーニング、ビジョントレーニング、スポーツリズムトレーニングと、これまでいろいろと勉強していった結果、
と考えるようになりました。
メンタルトレーニングも、ビジョントレーニングも、リズム感も、野球の競技力や技術も、すべて"脳”ってことです。
皆さんは、スポーツにおいて、“運動神経が良い”人や“器用”な人がいる一方、“運動神経が悪い”人や“不器用”な人がいることを不思議に思ったことはありませんか?
遺伝やこれまでの生活環境の影響だろうと考えがちです。
もちろん、それが主たる要因なのかもしれません。
私の考えとしては「これは“脳”から“体”への指示・伝達がうまくいっているかどうかの差なのではないか」ということです。
ということです。
そうすると、日頃の練習における技術向上とは、「“脳”から“体”への指示・伝達がうまくいくように“回路を繋いでいく作業”」ということになります。
脳の活性化→技術向上
脳は人間の体の中で一番エネルギーを消費するところです。
ですから、脳は、変化を嫌い、同じことを繰り返すことを繰り返すなど、できるだけ無駄にエネルギーを使わない(脳を使わず考えない)ように省エネします。
ですが、それでは脳に何も刺激は与えられず、新たな伝達回路は作られません。
日々の練習、反復練習が、ただの動作の繰り返しになってしまいます。
脳の性質を考え、逆に、日頃の練習に変化を加え、脳のエネルギーを使い、活性化させていくことで、新たな伝達回路を作られ、今までできなかった動作ができるようになる(=器用になっていく)ということです。
つまり、競技力向上・チーム力向上のために、日々の練習の中で「"脳”に良い"刺激(スパイス)”を与え続ける」ということです。
簡単にいうと、単調な反復練習を毎日繰り返していくのではなく、そのメニューに少しずつ変化を加えていく、ということです。
例えば、ティーバッティングを例とすると、
などといった感じで、さまざまなバリエーションが浮かび上がってきます。
こうすることで、普段意識しない箇所を無意識のうちに意識する(=脳を使う)ことになります。
普段したことがない動きにチャレンジすることで、脳が活性化され、今まで動かした(動かそうとした)ことがない動きができるようになっていくのではないか、と思っています。
これが本来の技術向上・成長なのではないか、と考えています。
YouTubeでも、たまたまこんな動画を見つけました。
参考資料として、紹介させていただきます。
反復練習はもちろん必要
もちろんですが、“反復練習”を全否定しているわけではありません。
技術の定着を図るには、もちろん反復練習は必要です。
試合(大会)でのパフォーマンスは、無意識のうちにプレーできなければ、自分の持っている力を発揮できません。
意識的に取り組んでいる練習(動き)を、無意識にできるようにしていくのが普段の練習です。
そのためには、反復練習はもちろん必要です。
ですが、同じ練習メニューをひたすら毎日のように変化なく続けていくよりも、その中にちょっとした変化を加えて"刺激(スパイス)”を与えていくべきだ、ということです。
“意識”することについて
余談になりますが、
よく高校球児たちは、
というように、「意識する」という言葉をよく口にします。
私としては「“意識して”練習して正しい動作を身に付ける」よりも「“意識せず”とも“無意識のうちに”正しい動作が身に付くような練習に取り組む」ことが大切なのではないか、とも考えています。
この考え方には、メンタルトレーニングの一種?である「インナーゲーム理論」について、書籍と勉強会で学んだ中で、たどり着きました。
また機会があれば、「インナーゲーム理論」について、noteにまとめてみようと思います。
もしよければ、ご自身で以下の書籍を読んでみてください。
最後に
冒頭にも述べましたが、この考え方はあくまで私見です。
1つの考え方として捉えてください。
本当の専門家からすると、間違っている点があるかもしれません。
実際に、有名な「スキャモンの発達曲線」によると、子どもの神経系やリンパ系の大きな成長は小中学生の時期に終わってしまうので、高校生から器用になろうという考え方は間違っているのかもしれません。
ですが、それで諦めてしまっては指導者としておしまいです。
競技力の向上だけを考えれば、高校生の時期が骨格や筋肉が発達する時期なので、体づくり(筋力トレーニング)をするのが、一番手っ取り早いのかもしれませんが、
せっかく高校でも野球を続けるのだから、900日弱しかない短い高校野球生活の中で、正しい打撃動作・捕球動作・投球(送球)動作などを身に付けてもらいたいと思っています。
もし今回紹介した私の考えに「なるほど」「たしかにそうだ」「同じような考えを持っています」などといった方がいましたら、【スキ】を押していただけると、私自身も今後の活動に勇気がわいてきますので、ぜひお願いします。
逆に、異論や違った考え方、間違いの指摘等ありましたら、ぜひコメントをください。
私自身の学びの糧にさせていただこうと思います。
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