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新しいタイプのリーダーシップを考える

皆さん、こんにちは。神村です。

前回はゲストスピーカーとして、いつも放送を聴いてくださっている馬渕さんをお迎えし、スポーツビジネスの課題やクラブの実情について話してきました。
今回は、「新しいリーダーシップ」の概念を紹介します。読者の皆さんの中でも、職場や他の組織においてリーダーになった経験のある方もいると思います。是非、ご自身の考えるリーダー像と照らし合わせながら読み進めてください。
(本稿は「Off the pitch talk 」第114~116回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー&文責:神田さんでお届けします)

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#114 :  https://stand.fm/episodes/60e2dbb44a799e000755d783
#115 : https://stand.fm/episodes/60e57c854a799e0007560809
#116 : https://stand.fm/episodes/60e814baf8992e000661ac4b

『サーバント リーダーシップ』

(神村):プロスポーツクラブの経営に関わっていると、リーダーやトップの役割・責任の大きさを常に実感します。これまでは、組織を変革していく中でどうしても強さ・激しさ・厳しさみたいなものに目が行っていたのですが、今回は、従来とは異なる新しいリーダー論を皆さんに紹介できればと思います。皆さんも普段イメージするリーダー像って、”情熱(パッション)がある”とか”メンバーを鼓舞する”とか様々あると思いますが、いろいろな形があることを伝えたいと思ってます。
(神田):リーダー論は以前から興味があるので、ぜひ聞かせてください!
(神村):早速なんだけど、神田君は『サーバント リーダーシップ』って言葉を聞いたことある?
(神田):いいえ、初めて聞きました。サーバントという英単語は、元々は”奉仕する”という意味ですよね?
(神村):その通り。この言葉は本を通じて知ったんだけど、初めて読んだ時は目から鱗というか、これまで目指していたリーダー像とは全く異なる内容だったのを覚えている。そもそも、リーダーの役割って「組織の目標(ミッション)を達成すること」なんだけど、リーダーのタイプによってミッション達成のためのアプローチ方法に特徴があるんです。
(神田):なるほど。サーバント リーダーシップには具体的にはどのような特徴があるのでしょうか?
(神村):サーバント リーダーシップには、10の特徴(①傾聴、②共感、③癒し、④気付き、⑤説得、⑥概念化、⑦先見力、⑧執事役、⑨人々の成長に関わる、⑩コミュニティづくり)があります。リーダーとって大切な要素としては、恐らく一般的なものと大差ないと思うのですが、その順番が面白いですよね。先ほど挙げた「組織の目標達成」を例に考えてみようか。営業チームの部下が個人目標を達成していない状況だったとします。上司は部下を鼓舞したり、発破をかけるために「〇〇しろ!」や「〇〇しないとマズいぞ!」と指示口調、命令口調になりがちです。でも、サーバント リーダーシップでは部下の声を最初に聞いて、部下の将来的なビジョンやキャリア像に共感する。重要なのは、ただ聞くだけではなくて、しっかりと傾聴する姿勢を見せることです。
(神田):焦りからか、つい命令口調になってしまうマネジメントって起こりやすいですよね。ですが、それこそ自分と同世代(20代後半)や20代前半の若手社員にとって、ただ命令だけされても結果に繋がらなかったり、そもそもやる気を失ってしまう人が出てきそうです。
(神村):そうだよね。僕が読んだ本が出版されたのは2008年なので、かれこれ10年以上前になりますが、まさにこの10年間でサーバント リーダーシップの概念が社会的に受け入れられてきていると感じるし、この先を見据えても、この風潮は変わらないようなきがします
(神田):そうですよね。僕も本を買って早速読んでみたくなってきました。
(神村):ただ、この本全部で600ページ近くあるんだよね…前に紹介した『7つの習慣』を超えるボリュームだから、読破するには結構ハードルが高いんじゃないかな。まずは全部読み切ることよりも大事なところエッセンスだけを拾い読みするのがオススメだよ。
(神田):はい、まずは部分的な理解だけでも良いと思うので、とりあえず買ってみます!

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『インクルーシブ リーダーシップ』

(神村):今回もう一つ紹介したい概念があってさ、『インクルーシブ リーダーシップ』という言葉をどこかで聞いたことある?
(神田):インクルーシブ…どこかで聞いたことある気がします。
(神村):実は、神田君の前職でもあるデロイトが提唱した概念なんだよ。
(神田):だから聞き覚えがあったんですね!たしかに、僕が新卒で入社した2017年当時、全社会議やチームミーティングの場でも頻繁にインクルーシブって単語を見聞きしましたね。全社員向けにアンケート調査も実施していた気がします。
(神村):僕はネット記事で知ったんだけど、この概念の背景には"多様性"があるんだよね。国籍や性別といった違いによって価値観のあり方が変わる中で、違いを受け入れながら組織をどのようにマネジメントするかが語られていて、とても勉強になったよ。
(神田):これはデロイトの特徴でもあるのですが、日本法人でも、中国人や韓国人、あるいは欧米諸国から来た社員が一定数居るので、全員をチームで巻き込んで、一人ひとりの成長に繋げる大切さを理解しているのかもしれません。
(神村):なるほどね。この概念の特徴として挙げられているのは、まず「目に見えるコミットメント」です。色んな価値観の人がいるから、まずは明確なコミットメントを示す部分に力点が置かれていて、その後に「謙虚さ」だったり、「バイアスへの認識」、「他者への好奇心」、「文化的好奇心」、「効果的なチームワーク(コラボレーション)」と続きます。これもサーバントリーダーシップと同じで目新しさは無いかもしれないけど、これから社会がどんな風に変わったとしても、インクルーシブの考え方を組織の中に取り入れるのは非常に大事だと感じるんだよね。
(神田):そうですね。インクルーシブという言葉の語源も”包括的”とか”外から巻き込んでいく”という意味合いがあると思うので、やはり他者と関わる機会が多い仕事が多い現代社会だからこそ必要だと思います。
(神村):特に、最近リモートワークが普及して人と人との直接的な結びつきが減ってきた中で、このインクルーシブという考え方を持ってビジネス、ひいては人生を考えると新たな発見があるかもね。単に組織や会社という枠に収まらず、社会的にインクルーシブという概念がもっと浸透すれば、きっと素敵な未来が待ってると思う。
(神田):皆が自然と多様な価値観を受け入れるようになるまでには時間がかかりそうですが、僕も改めて記事を読みながら学び直してみます。

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自身のリーダー像を考える

(神村):ここまで2つのリーダー論を紹介したけど、神田君はどちらかといえば、サーバント型やインクルーシブ型のリーダーが好きなんじゃない?
(神田):正直、命令口調かつ高圧的な上司よりも、しっかりと部下の意見を聞いてくれる上司の方が好きですね。笑 前職ではプロジェクト毎に上司が変わっていたので、様々な上司と働く機会がありました。何人もの上司を見てきた中で、かなり支配的なリーダーシップを取る人もいれば、僕の将来の夢についてわざわざ個別に時間を取って聞いてくれた人もいました。自分もいつか上司という立場で働くようになった時は、後者のような部下への好奇心を見せられる上司になりたいです。
(神村):部下や他人のキャリアを考えられる人って、きっと自分のキャリアについても真剣に考えている人だと思います。自分のキャリアの軸を自分の会社の中だけに置いてると、つい「こうしろ、ああしろ」と言ったり、その会社で昇進させるためのマネジメントになってくるんですよ。逆に、上司が自身のキャリアを社会でどのように活かすか意識していれば、今の仕事でどのような力がつくか、どのようなスキルが磨かれるかが見えてきます。
(神田):プロジェクトで動く仕事でも、タスクを細分化してメンバーに割り振る際、タスクの目的、何故あなたに任せるのか等をチーム内で共有することで、個々人の仕事への姿勢も変わってきそうですね。
(神村):根本は「何のために」という目的感を忘れないことに尽きるかな。皆を先導して引っ張るタイプのリーダーもいるけど、それはキャラクターや性格に依存しているとも言える。一方で、ガツガツしてない人でもリーダーになれる可能性はあるし、むしろ強いリーダーシップに依存しないタイプが今後ますます求められてくるのかもしれないね。
(神田):はい。僕が今回気づいたのは、2つの概念を成り立たせる大前提として、上司と部下、ひいては個々人の信頼関係が必要ということです。そのためにも、まずは自分から相手を信じ抜くことが大切だと思います。上司からの信頼を感じ取った時、部下は本気で仕事と向き合うようになるかもしれない。あくまで人間同士である以上、やはり最後は理論よりも感情の部分が影響するのかなと。
(神村):本当だね。皆が須らくリーダーになれるという理解が組織全体に広まれば、個々人がどうやって組織に貢献したいかを考えるようになるし、もっと活力のある組織になるんじゃないかな。

まとめ:なりたいリーダー像を実現するために 

(神村):今回はリーダー論の新たな概念を2つ取り上げました。今思えば、私も10年前までは支配的なマネジメント手法になっていたと思うし、実際そうしないといけないと思い込んでいた部分もありました。ですが、様々な本や人との出会いを通じて、自分の中でリーダー像が少しずつ変化していったんです。
(神田):たしかに、人との出会いは本当に重要で、シンプルに「こういう上司の下で働きたい」と思える人と出会えるかで、自身のキャリアが変わる可能性もありますよね。最後に、なりたいリーダー像を具現化するために大切なことを教えてください。
(神村):自分の特性を理解した上で、常に自己を磨き続けることです。スキル面ばかりに偏らず、人間力の部分でも成長していければ、自ずと周りには人がついてきます。また、今回は支配型リーダーシップと比較する論調で話してしまいましたが、時には支配型リーダーシップが効果を発揮する場面もありますし、どちらかが絶対的に正しいと結論付けるつもりはありません。父親と母親の様に、お互いが補完し合う関係性というのが理想なのかもしれません。ですから、読者の皆さんも、あくまでも知見を広げる参考としてもらえたら嬉しいです。
(神田):最後にとても深い話をしていただきました。神村さん、今回もありがとうございました!

(文責:神田)
 


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