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意識低い系クリエイター志望が"何か"を完成させたいならゲームがいいと思うという話

■はじめに

 こんにちは、ゲーム制作サークル「ほんわかふわふわ」代表、花倉みだれです。
 直近では「スロッターあるあるがわかる」というそれなりに狭い範囲をターゲットにしたSteamの無料ゲームをリリースしました。ぜひDLしてください(CM)

 そんなわけで、私は一応「ゲームを作った」ことがあります。

 「ゲームじゃない」と直接言われたことはないものの、そう思う人も(規模感やクオリティから)いるかもしれません。が、自称ゲームなのでその点については深堀りしません悪しからず。

 そんな感じの私が正面切って書けるかもしれないnoteのお題があったのでやってみる流れです。

 「 #ゲームの作り方

 メイキング記事とか何かゲーム関係の過去記事とかにもタグつけてみたりはしたのですが、それとはまた別に書き下ろそう、ということですね。

 私は正直、クリエイターとしての能力は高くありません。実績も胸を張って色々noteの記事を書いてはいますが、誰かと比較されたらしょうもないです。
 独創性は全くないですし、何か得意な分野があるとかでもないです。例えば絵や音やプログラムについて突き詰めて0からやってやろうという気概もないです。各ジャンル猫でもわかる入門書を手元に置いては理解できずに自分が猫以下だと理解することの繰り返しです。
 そんなしょうもない人間ですが、何かを生み出すのは楽しいです。そして、「何もできない」人間でもアウトプット出来るのがゲーム制作だと思っています。

 ギターのFが抑えられない、ピアノで右手と左手を別に動かせない、作詞もDTMもなんもわからん、渾身の机デッサンをハードルに見られてしまう絶望的な2Dアイ、if文理解するのにもすごく時間がかかる読解力のなさ……。

 そんな感じで「何かを生みたいが生み出す能力がない」人間にとって、ゲーム制作が優れたフォーマットであるという観点で色々書いていこうかなと思います。

■私のスペック等々について

 私は、いわゆる典型的な「ワナビー」だったと自分では思っています。

「絵を描けないから小説書いてみる」
「プログラム描けないから企画やデバッグを目指してみる」

「これといった努力なしに出来ることでアウトプットしてめちゃくちゃ褒められたい」
 みたいな、本当にしょうもないメンタリティが原点にあります。
 今は多少は原点から動いていると思いたいですけど(笑)

 その筋の人から見たら「なめるな」と言われるような動機ですよね。
 正直、よくわかります。我が事ながら腹立つ(笑)
 だから結構、名のある人たちのそういう発信を肩身狭く聞いています(笑)

 その中でも比較的にはきちんと理論から勉強してみていたのが小説やシナリオのライティングではあって、時々そっち方向でも何かやってみたりは今でもします。

小説家になろう

 とはいえ、これもそっちを戦場にしている人たちから見たら勝負になりませんね。

 だって、小説はなかなか書き始められず、終われないんですもの。

■小説の難しさ

 絵や音やプログラムが難しいのはもう説明不要だと思うのですが、文芸というのはレベルの高低はともかく国語勉強している人なら誰でもスタート地点に立つことができます。
 もちろん、色々理論や経験があればスタートから一歩を踏み出す容易さも上がりますし、ゴールできる可能性も上がります。

 ただ、それでもなお書きはじめることも書き上げることも難しいです。

 何故なら「書きたい物語」なんて大層なものが意識低い系クリエイターである私にあるわけではないからです。

 自分は何か作ってアウトプットして、あわよくばチヤホヤされたいと思っているだけなわけです。
  物語であることも小説であることもいわば手段でしかありません。絵描けてコマ割れるなら漫画描きたいけどそれを練習することを放棄してるから安易な手段に逃げているだけです。

 書きたいテーマに合わせたモチーフを見つけて、主人公と適役をテーマに合わせて対比するような形で設定して、開幕で掴んで序破急なり起承転結なりのテンプレに沿って総ボリュームに合わせた数の小さい山を作りつつクライマックスに向けて盛り上げて、クライマックス最大限盛り上げたら少し落として余韻のエピローグを作ればプロットは出来上がるし、それに沿ってあとは適当に書いていけば終わりです。ね、簡単でしょ????

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『ボブの絵画教室』より

 シナリオや小説を作ることは、自分なりにやりたいことや制約があればそれなりに進めることは誰だってできるはずです。歴史が古い分ハウツーは無限にあります。

 ただ、この「制約」を作るのがとにかく難しいのが小説なのです。

 108人の英雄を書いたっていいし、12人の妹を書いたっていい。ゲーム風ファンタジーでも学校でもなんだっていいのです。
 でも、なんだって出来てしまうからこそ決定打に欠けてしまう。妹は12人より50人のほうが楽しいのでは? とか思ったらできてしまう。やらない理由を探すのも大変です。難しい。

 「書きたいこと」が何もないのではしょうがないです。

 ならばとモチーフ先行で、例えば「学園異能力者群像ジュブナイル風ライトノベル」を書きたいと思ったとして「それって『ブギーポップは笑わない』読んでりゃよくね??」ってなってしまいます。露骨な下位互換を作るストレスはなかなか耐え難いものがあります。「書きたいこと」がそれなら耐えられるのでしょうけどね。

 依頼されたなら書けるだろうという自信はありますが、そこの領域までいくのにまず実績が必要というのがままならないところですね(笑)

 ちなみにこの「書きたいこと」は人生が上手くいっていない時はその不満を抽象化して表現しようとか思うと相応に出てきます。ただ、この発想では相応に人生に満たされるとそれがなくなって書けなくなってしまうんですよね。長編書いてる途中に人生満たされて突然モチベが落ちたりしちゃうのでリスクが高くあまりオススメしません(笑)

 ※これの解消法によく三題噺がいいとか言われたりはしますが「それじゃなきゃいけない理由」が頭の深くまでこなくて、しっくりこない場合は再抽選かスルーみたいな感じでそんなにいい感じにやれないことが個人的には多かったです。時々やりますけど。

■エッセイとかでよくね???

 noteではこれもクリエイティブとしてブログ記事なんかを勧めていたりしますね。それはそう。
 これは結構日常とか何かトピックへの言及とかでできますしとても楽しいです。良い。この記事そのものもそうですしね。
 やりましょう。
 でも今回言いたいことはそういうことじゃないのでスルー。

■ゲーム制作が優れているのは「制約」があるから

 これだけ長々と小説の話をしたのは、その逆側に「ゲーム制作が初心者クリエイターにとって優れたフォーマットである」理由があるからです。

 つまり「制約」があるのです。
 わかりやすく言うと「"出来ること"から企画を立てられる」
 
「やりたいこと」とか「伝えたいこと」とか考えなくても制作を始められるんです。

「なんでもできてお金も無限にあってハイパー強いマシンと超優秀なエンジニアが無限に力を貸してくれます」
 みたいな方は対象外です。大変でしょうね。同情します。
「こんなゲームが作りたい」というイメージをハッキリ持っている方も大変だと思います。頑張ってください。多分そのクリエイティビティがあれば何やってもいい感じにできると思います。

 むしろ"出来ること"が少ないほど、アウトプットが容易なのがゲーム制作です。これはなかなか特徴的なフォーマットだと思います。その他の色々は普通に出来ること多いほうが完成までいきやすくなるはず。
 段階的なレベルアップはどんな分野でも必要なステップですが、一方で難易度は最初の一歩が一番高いというのがほとんどだと思いますし。

 例えば「玉転がし」だけしかできないならそれだけで完成させられます。
 数字やUIを扱えればスコアができて、画面遷移が作れるようになればゲーム開始とリザルト画面が作れますね。
 猿のモデルが使えるなら球と差し替えたりできそうですし、傾きセンサーの使い方を理解してたら「傾きで玉転がしするゲーム」にできるようになりそうです。面白そう。

 「これしかできないし」みたいな妥協がしやすいのもとても良いです。
 描き下ろしのヒロインを採用したいけど何人にしよう? みたいな時に、予算から逆算して決められるわけですよね。

 幻想水滸伝は108人、プリコネは50人、シスプリは12人いるんだから……とか(仕事やビジネスを見込むならともかく)下手に悩まずに、自分が画像を発注出来るキャパの人数に妥協することができるのです。「それを元にした人数のドラマ」を考えようとすると色々固まってきそうです。

 逆に、描き下ろし発注できる人数が5人までだから野球の企画をバスケにしよう、みたいな発想も生まれるかもしれませんね。制約はある程度合った方が、むしろ作りやすかったりするものなのです。

 そして、ゲーム制作は他人の力を借りることが許容されています。
 アマチュアのクリエイティブで、他人の力を借りた成果物を自分の名のもとに公開できるもの、そう多くはないのではないでしょうか。
映画などは近そうですけど、敷居の高さは段違いですし。
 もちろん、外注に関しては予算かコミュ力かコネのいずれかは求められる部分があるかと思いますが、作りたい機能のプログラムであったりとかアセットなんかはそのまま使えるものもたくさんあります。これといった交渉なく人の労力に乗っかれてしまったりもするのです。ありがたい。
 コピペや流用が許容されてるのってめちゃくちゃすごいことだと思います。
 一時期の動画サイトの(MADとか)空気感と近いかもしれませんね。組み合わせとコピペで魅せていくスタイル。それでいて権利的に概ねクリアにできるの最強。

 独創性はあるにこしたことはないですが、他のフォーマットとの比較的に模倣などもそれなりに許容されている空気感なのも良いですね。
 特許であったり著作権であったりといったところに配慮する必要は当然ありますが、著作権はともかく特許に関しては偶然やっちまったくらいだったらそこら辺の雑魚を捕まえて一発KOはしてこないと思います。多分。事前に完全回避するのは実質的に難しいですし……。有名所は避けますけど……。突かれたら素直に謝って出直しましょう。

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3マッチパズルとか、良くも悪くもだいたい一緒ですしね。

「出来ること」を把握しやすいのもいいですね。
「出来ることの組み合わせ」という発想だけなら他のフォーマットでも適用できるはずではあるのです。
 例えば「俺は5人までのラブコメは書ける」「世界観設定はゲームっぽいファンタジーならイケる」とはっきり理解できていれば「ゲームっぽいファンタジー世界観のヒロイン5人のラブコメを書こう」と筆を取ることができるかもしれません。でもこれって相当難しいですよね自己認識。
 その点ゲームの場合は機能単位とかアセット単位で習得・未習得を把握しやすく、自分の能力をある程度の正確さで見積もれる点が優れていると思います。

「自分は何もできないし特に作りたいものとか伝えたいこととかなんもないけど、それでも何か作ってアウトプットして公開したい」

 人にとって、いかにゲーム制作が優れたものかおわかりいただけたでしょうか……?

 ゲーム制作は小説や絵や作曲などと比較して、とても簡単にゴールまで辿り着くことができるのです。

 ね、簡単でしょ??

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『ボブの絵画教室』より

■追加であるとより良い制約

 ある程度妥協できるのがゲーム制作のそもそもの魅力ではあるのですが、これにもう一匙のスパイスがあれば更に良いです。

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阪神和田元監督も認めるスパイスの有効性

 それは締め切りです。
 
加えてモチーフやテーマなどの制限があるとなお良いです。

 「締め切り+モチーフ・テーマの指定+出来ることの組み合わせ」
→完成!

 「出来ることの組み合わせ」という発想には問題が一つあって、それは「結構頑張ればできそう」みたいな「技術的には可能です」みたいなことに対して諦めが心理的につきにくいというものです。
 この点に「締切」というスパイスが加わることによって「期日までに実現できるか」という判断での切り捨てができるようになります。

 予算以外にもとにかく、リソースは有限であるほうが完成させることに対しては望ましいわけです。

 それらが全て詰まったイベントが、明日9/6から開始されます。

 そう「unity1週間ゲームジャム」です。

 お題に沿ったゲームを1週間以内に作るというイベントです。
 さらに、全プレイ配信者がいたり、相互プレイ推奨されていたりで通常は得られない数の反応をもらえるビッグチャンスです。承認欲求の満たされ方も半端ないです。
 遅刻も許容されていて、見積もり甘かった場合の救済があるのもとても良いですね。

 私はこれまで3回参加させていただいていますが、いずれもなんとか公開できて、とっても楽しかったです。ぜひ参加しましょう(笑)

 私も、自分のリソースと手札に沿った何かを出せればいいな~と思っています。無理な時はそれはそれで諦めますけど(笑)

■お前の場合はどうなんだ①『HIGH&LOW ~めざせ! 26連勝! 5000兆円への道~』編

テーマは「回」。
前作「絵師2人展」で、Spriteの切り替えの方法、ランダムの乱数取得の方法を一応習得していました。

・回→カウント
・ランダム→カード
→カジノ

ポーカーやBJは役の判定などを作るのがこの時の自分のリソースと理解度では難しそう。→上下くらいなら判定できるのでは……。→HIGH&LOW

カードの図柄でオリジナリティを出したい
→妻の過去イラストから権利フリーなものを拝借して当て込み。

賑やかしのキャラを置きたい
→SpineのSDモデルを取り込めそう→待機・勝利・敗北の3パータンくらいなら期間内に作れそう→作って実装

雰囲気にあったUI
→作れたら作ってもらう。間に合わなかったら自分で作ったものでいく。

みたいな発想で作りました。

Tweet投稿、ランキング、カードの大枠、BGM、Tweenなどは公開されているパッケージやアセットを利用しています。

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■お前の場合はどうなんだ②『学園スイーツ発見 双目のドーナツ編』編

テーマは「2」

前作からの能力的な上積みはほぼなし。

ランダム生成・2択から選択という前作の流れを流用して2択のクイズを作れそう
→2択のクイズへ
テーマ感を強めたい
→「2」について「2(22)秒」以内に答えよう
→→フレーバー的なストーリーは「2」にちなんだものにしよう。
→→→女子っぽいもので「2」のつくもの(検索)ザラメを双目とかくらしいからそれにしよう
→→→→ザラメのスイーツを争う話だとして、ザラメのスイーツってなんだ(検索)→ワッフル
→→→→→デザイナーからワッフルよりドーナツのほうがいいと言われた。そうしよう。

前作PV制作で声とかタイトルコールを作って良かったから今回も使おう。
→予算と期間的に30ワードくらいが妥当っぽい。
→→30ワード内で使いそうな台詞を発注

シナリオどうしよう?
unity1weekの性質上そこまで長くない方が良さそう
→あっさり目のシナリオにしよう

絵師2人展の図鑑機能の流用で図鑑機能作れそう
→作ろう

みたいな感じですね。

内なる自分が「2」の「2択クイズ」を作りたい!!! って強く昔から思っていたとかでは当然全然ないので、作りきれたのは本当にテーマと締切様様ですね。

いい感じの描き下ろしイラストと撮り下ろしボイスにおんぶにだっこなゲームで、自分はそれを必死につなぎ合わせた、みたいな感覚でした。

プログラム的にもノベルゲームのアセットやTwitter投稿、ランキング、Tween、サウンド再生、バナー再生などなど自分はほとんど何もしていないと言っていいと思います。

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■終わりに

 そんなわけで「意識低い系ワナビ的ゲームの作り方」みたいな観点で #ゲームの作り方 について書いてみました。
 「一人でゲームを作れる」みたいな発想がそもそもちょっと前まで自分も持てていなかったので、私と同じタイプでかつその発想を持っていなかった人にそのうち届けば嬉しいですね~。

「エターなるほど壮大な企画を考えられる」というのは本当に才能だと思うので、そういう方は本当に頑張ってやってください。応援しています。

 まぁ、ここまで偉そうに書いておいて、次回unity1week完成させられなかったり、これから先何もできなかったりする可能性もなくもないです。
 その時はそれはそれで、鼻で笑ってくれればと思います!
(※)後日追記:この時のunity1weekは参加できませんでした。

鼻で笑ってください。後日追記ここまで。

 比較的簡単な気がする、というのは冷静に考えての正直な体感ではありつつ、それでもそれなりに大変なのもそれはそうなのです(笑)
 難しいですねぇ……。

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