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イヌ

テレビでもチラッと見ておもしろかったし、You Tubeで見てもおもしろかった。再生回数もすごい。。






「クラフツ」。イギリスで毎年3月に開催される世界最大のドッグショーらしい。4日間にわたり行われるらしい。



おもしろかった。


また、このクラフツ・ドッグショーの動画はこの動画しか観てないけど、この動画の雰囲気を観てフィリップ・K・ディックの『世界をわが手に』っていうSF短編小説を思い出した。

その短編小説は1回しか読んでないので、収録されている『トータル・リコール』っていう短編集をパラパラと見返した。一気に読める文量の短編だったので、もう1回読んだ。で、おそらく、たぶん、この短編小説の着想のひとつにこの「クラフツ・ドッグショー」もあるんじゃないかと思った。クラフツ・ドッグショーは1891年に創設された歴史ある大会らしいので、で、『世界をわが手に』が発表されているのが1953年とのことなので、仮説としては問題なく、たぶんそうだと思う。

ではその『世界をわが手に』っていうSF短編小説がどんな内容かを、簡単に説明してみよう。


『トータル・リコール』に収録。「世界をわが手に」。




まず舞台設定は、かなり科学が発展した近未来。手をかざすとドアが消えたり溶開したりする。ロボット召使「ロバント」ってのも普通にいる世界。正面から見ると不透明な噴水の柄だが視界の隅で見ると透明になる服を着ている人とかもいる。小説の冒頭で、太平洋横断トンネルが完成してアメリカ大陸とアジア大陸が地続きになったというニュースが流れている。

ある家の中でコンテスト・パーティーが行われている。なんのコンテストかというと、「ワールドクラフト・バブル」(世界球)のコンテストだ。ワールドクラフト・バブルとは、手に持てるサイズの宇宙を創れるキットだ。超ミニサイズの宇宙。現実の地球の外には訪ねる世界が存在しなかった(太陽系探査が完了してなにも見つからなかった)ことが判明したあとに出てきた商品。

「地球の外には、どこにも行き場がなかった。訪ねていく外世界は存在しなかった。ここを飛び出して、どこかよその世界に行くことはできなかった。だからかわりに、人間たちは――」
「故郷にとどまって、自分自身の世界を育てることにした。」

コンテストに優勝するには、ジュラ紀より先に行くのが最低条件らしい。主人公の友人は、どうしても哺乳類の段階まで進められないとか言っている。優勝者の女性は、60年かけてワールドクラフト・バブルを創っていた。都市文明なども出てきていて、いまのわれわれの文明にほぼ匹敵する段階まで進歩していた。ワールドクラフト・バブルの内部を拡大していくと、都市の住人たちがくっきりと見える。

ビルとビルのあいだの蜘蛛の巣のような隙間を、車で、徒歩で、無数の人間たちが忙しく走りまわっている。息を呑むほど美しい眺め。



この『世界をわが手に』っていう短編は、フィリップ・K・ディック自身の創作に対する姿勢も示している。この創作姿勢とでもいうべきものは、はっきりいって、とても美しいと思う。この短編ひとつ読んでも、ぼくはフィリップ・K・ディックが好きになる。

「こうした微小文明は夢の中の存在ではありません。現実です。じっさいに存在するのです。顕微鏡的なサイズの住人たちは――」
「こうした微小文明に対するわれわれの立場は、神のようなものです。指先をちょっと動かすだけで、何億もの生命を一瞬で奪うことができます。稲妻を落とし、都市を壊滅させ、ちっぽけなビルや山をひねりつぶすことができます。おもちゃのように好き勝手にいじりまわすことができます。われわれの気まぐれの哀れな犠牲者たちを……」
「わたしは世界球を違法とすることを提案します。人道的、倫理的見地から、われわれは極小文明に対する責任があります――」

この小説の結末は、とりあえず短編小説としてはこうならざるを得ないという結末で、ストーリだけを重要視する人が読むとオチが読めたとかいわれるような短編だろうけど、まあとにかく、おもしろい。




さて、話を「クラフツ」に戻そう。

ぼくは動物は好きで、見ると癒されるしその存在に感嘆・感動するが、動物(ペット)を飼ったことはない。自分のことで精一杯な感じなので、責任感という観点でとりあえず今のところぼくには動物を飼うのはムリだ。感覚が都市化されているのか、衛生的にどうなんだということも、思ってしまう。しかし、生き物と暮らすのは文字通り自然なことで、とてもすてきなことだろうなと思う。

むかし犬の絵を描くのに図書館で犬の図鑑を借りて読んだとき、けっこう衝撃を受けた。犬が、作られた存在というか、そういう、品種改良とか掛け合わせとかなんとかということをぼくはそれまでよく知らなかった。物事はよく調べてみると、なんでも手放しで褒められなくなるものだ。このクラフツというイベントにも批判はあるようで、コンテストに優勝することを目的として犬のことを考えてないみたいな感じの批判もあるようだ。とにかく深く考えると、問題はどんどん難しくなっていく。


まあとりあえず犬にも人間がコントロールしている部分と、コントロールできない部分がある。この動画では、そのコントロールできない部分が、いい感じにでているということでもある。ズッサーアアアって感じで頭から突っ込んでいくところは何度観てもおもしろい。飼い主?の人もちょっとぽっちゃり体型な感じなのに軽快に走っていてなんかいい感じだ。

コメント欄でも、テンションが高い応酬が行われたりしている。

絵文字!

なんだこの世界観は!? でもいい意味でテンションが上がっているのはハッキリと分かる。「㊗」ってのあるし。


まあ、結論として、とても楽しい動画だった。

しかし、この動画のワンちゃんはたびたび、角っこの方に興味を惹かれているようだったが、犬は角っこが気になるのだろうか。



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