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太陽と光と 〜光を意識して〜

九條です。

私は大学生時代、一般教養課程の諸科目のうちのひとつに哲学(古代ギリシア哲学)の講義をとっていました。

そのことが遠い縁となって、就職してから十数年経ってから古代ギリシア時代の文化財(文献など)の復元にボランティアとして関わることができました。

縁というのは、どこでどう繋がってくれるか分からないものですね。不思議なもの、ありがたいものですね。

さて、上記の一般教養課程の哲学のある日の講義で、教授が語ってくださった印象深いお話しを…。

ギリシア神話で「太陽神」と言えば、アポロンが有名ですが、本来の太陽神はヘリオスなのです。アポロンは太陽の「光」の神。

のちに、このアポロンとヘリオスは同一視されて「太陽神=アポロン」という風になりますが、もとは違ったのです。

つまり、古代ギリシア人は太陽そのものと、そこから放たれる光とを分けて考えていたというわけです。

太陽神は世界各地の神話に存在しますが「光の神」というのは、なかなか存在しません。なぜなら光は物質的ではなく、その存在は普段は意識しにくいからです。

この「光」、言い換えれば「輝き」をその光源である「物質」とは別の存在として認識したところに、彼ら古代ギリシア人たちの叡智があったのかも知れません。

みなさん…。

「光」「輝き」を意識して、日々いろいろなものにそれを見出して過ごしてみると、いままでとは違った世界が見えてくるかも知れませんよ。世界がよりいっそう輝いて見えるかも知れませんよ。

古代ギリシア時代。いまから2,500年も前に、あれだけ奇跡的に学問・文芸が発展し、人類史上初の民主政までをも実現させたその背景には、そうした「光を意識する」、明らかに「光をみる」という叡智が彼らの心の中にあって、あの輝かしい文化が花開いたのかも知れません。


というお話し(講義後に余った時間での余談でしたが)をしてくださいました。

いまから35年ほど前の話…。


©2024 九條正博(Masahiro Kujoh)
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