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りぴーと

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素敵な作者さんたちの作品。私が読み返したいと感じた記事をまとめています。敢えて平仮名のりぴーと。
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2021年1月の記事一覧

作り置きが苦手なので、素材を作りためている。

料理は好きだけど、作り置きが向いていなかった 自炊が好きで、一人暮らし始めたての頃は週末に作り置きをしていました。 最初の頃は週末に作ったご飯を少しずつ出して食べるのは楽ちんでよかったです。 でもしばらくすると、「はあ...またあれを食べないといけないのか...」という気持ちが湧いてくるようになりました。 アレンジをしたところで、大まかな味は変わらないのであまり意味はありませんでした。 また、生活が落ち着いてくると近所に行ってみたい店が出てきました。 そうすると、急に飲み

容疑者3名の円卓

論客R氏が腕試しに 青い瓶の中身を知りたがり 詩人D氏が立腹して それは野暮だと吐き捨てて 主宰W氏は円卓にて ほくそ笑みながら足を組む R氏が求めるのは日常からの脱出方法 D氏が詠うのは牛肉へ捧ぐ鎮魂歌 W氏はぺろりとフォークを舐める R氏がD氏を論駁する D氏がW氏に詩を贈る W氏が二人に最高のもてなしをする 円卓の傍らに 秋の亡骸 「冬に背後から刺されたのである」とR氏 「秋はこころのままに逝ったのだ」とD氏 「ワインをいかが?」とW氏 R氏は他人の批評しかしな

中途半端な好きでいい

全部、わたしが知っているわけではないんだから、わたしが正しいわけでもないんだから、他人の言葉を否定したくない、し、ある程度は受け入れたい、たまに、苦しくなってしまうけれど、苦しかった選択は、次から選ばなかったらいい、上手に生きる、は、選択を間違えないこと、わたしらしく生きる、は、すべての選択を経験すること。 人の言葉に耳を傾けてしまう。全てが良心から出た言葉でなかったとしても、それに気が付くのは受け取ったあと。人を否定できないわたしの弱さは、ずっとわたしを救ってきたし、苦し

嫉妬の焚き火で暖でも取ってろ

自分より年下の人が才能に満ち満ちていたり、私よりも教養深かったり、思慮深かったり、そして実際成功していて、光を浴びて、喝采の中にいるのを見ると、私の心は嫉妬で燃える。 自分より年下の人の才能や教養や思慮深さを羨むとき、私はその人になりたかったと心底思う。その人として生まれたかったし、その人の人生を生きたかったと、自分の人生全てを棚に上げて、いつもいつも、心底思う。年下でなくても、私はいつも、比べる相手を無意識に探し出しては勝手に嫉妬している。この人になりたかった。この人の目と

カワセミカヌレ

オリーブの木。その傍に、お店の看板。看板の横に自転車を停め、学校鞄を提げ、歩き出す。 お店は、芝生の丘の上。入り口まで、白い砂利道が緩やかに曲がって続く。 芝生の緑、コンクリートの建物の明るい灰色。白い坂道。青い空。白い雲。その組み合わせに、つい頬がほころぶ。 ガラス扉の、流木の取手に手をかける。流木取手の上に手のひらぐらいの大きさで、お店の名前が、白文字で懐かしい字体で書いてある。 ベーカリー喫茶 ori hoshi  店内には私に気づいた、二つの笑顔。いらっしゃ

そのエッセイは「Weの話」になっているか

「かがみよかがみ」のエッセイコンテスト "小野美由紀賞"に応募されたエッセイを、一編一編読んでいる。 気合の入った応募作多数、それぞれに固有の熱量があり、大変素晴らしい。現代を生き抜く女子特有の「あるある」なエピソードから、思いもよらない「ふつう」の定義までバラエティに富み、大変興味深く読ませていただいている。 が。 一方で、エッセイのテーマとして設定された「ふつう」という言葉を自分なりに再定義し、作者オリジナルの手法で調理して新しい一面を見せてくれ、かつそれを読者と分

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ステイホームに刺し子のススメ

さ!し!こ!刺し子!SA SHI KO! 指原莉乃ちゃん、ではなく、手芸のひとつのジャンル、「刺し子(さしこ)」です。 超たのしい。 いいことをあげ始めると、50個くらい出てきた。 とってもおすすめしたい。 なので、おすすめしようと思う。 簡単。サクサク。いろいろ整う、たのしい刺し子。 刺し子って何?どういうもの?  布に糸を縫い付けて文様や柄を作る手芸の一種。ぬいぬい、チクチク。玉留めや玉結びが出来ればお裁縫初心者の方も簡単に取り組めるのが特徴。小学生からでも楽しめます

今年の冬は彼女のために #月刊撚り糸

国道沿いから一本外れたトウカエデの並木道は暖かなまどろみに包まれていた。若葉の木漏れ日が作るまだら模様のアスファルトの踏み心地は柔らかく、5センチヒールの足取りは軽い。半歩前を歩く彼のスニーカーはまだ新品同様に真新しく、春らしい清潔感にあふれていた。 短く明瞭に告げられた「付き合ってほしい」の一言に「はい」と返事をすると、彼はほっとしたようにしばらく沈黙した。私もそれに合わせて唇を引き結び、人通りの少ない道を連れ立って歩く。風にざわめく木々の音をBGMにして、ふたりの関係が

Zaraの「自分のサイズを探す」にイノベーションを感じた

こんにちは、Raika Tanakaです。2020年は緊急事態宣言での外出自粛により、オンラインサービスの需要がこれまで以上にぐんと高まった一年でしたね。これを機に、どんな業界でもオンラインでの販売やサービス提供といった、デジタル戦略に注目が集まっています。 アパレル業界の苦悩今では当たり前になったオンラインショッピングも、昔はオンラインでクレジットカードを使って決済。に不安を感じたり、自分で実物をチェックしないと購入できないといった声も多かったです。個人的には、本や日用品

小野美由紀版伊勢物語2020

伊勢へ行く事が決まった。 幸運なことに、伊勢市クリエイターズ・ワーケーションに受かったのである。 私は伊勢に縁もゆかりもない作家である。前回訪れたのは14年前。伊勢神宮にお参りしようと、入り口の橋を渡ろうとしたら履いていたヒールがポッキリ折れ、途端に土砂降りの雨が降り始めた。 「これは……神様が来るなと言っているんだな」と判断し、即Uターンして赤福を食べて帰った。なので前回はせっかく伊勢に来たのに伊勢神宮にお参りしていないのだ。 おまけに当時私はストーカー気質の男と付

ことば展覧会2021

湖の真ん中に浮かぶように建てられた、モルタルの建築物。 辺りは夕暮れ。 湖面にうつる夕焼けとその建築物。 湖の向こうの車の音。 湖面を渡る風の音。 雁のはばたき。 岸から続く細い石畳。 かつりこつかつりこつかつりこつ と、歩き、建物の前に立つ。 厚い木の扉。 真鍮の冷たいドアノブを握る。 ご来場誠にありがとうございます。 チケットをお預かり致します。 こちらお控えと、館内のご案内書でございます。 館内ご覧いただく際、お静かにご鑑賞いただきますようお願い