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【評価】映画『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)は面白い!迫力満点の映像と絶妙な人間ドラマ(米アカデミー賞視覚効果賞受賞)

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VFXが世界に評価された映画『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)、映像の迫力だけではなく、物語も重厚で実に素晴らしかった

この記事を書いている前日、米アカデミー賞の発表があり、映画『ゴジラ-1.0』は視覚効果賞を受賞しました。ハリウッドでは1000人規模で行われることが多いVFXを、山崎貴監督率いる「白組」はたったの35人で成し遂げたと、大きな話題になったことは記憶に新しいでしょう。デジタル的な方面の知識にはあまり強くないのですが、本作は恐らく、アカデミー賞を獲る獲らないに関係なく、「技術で世界をアッと言わせた作品」なのではないかと思います。

私は「ゴジラ」には特段思い入れはなく、「ゴジラ作品」でちゃんと観たことがあるのは、庵野秀明が手掛けた映画『シン・ゴジラ』ぐらいです。「ゴジラ作品を観た」というよりは、「庵野秀明作品を観た」という感覚なので、そういう意味では本作で初めて「ちゃんとゴジラ作品を観た」と言えるかもしれません。全体のストーリーは「まあそりゃあそういう風に展開するよね」って感じだったし、ベタと言えばとてもベタな物語でしたが、だからこそ分かりやすく感動できるとも言えるし、全体的にはとても良かったなと思います。

内容紹介

冒頭では、1945年の大戸島を舞台に物語が展開される。故障した特攻機の不時着地として利用されていたこの島に、敷島浩一が乗る特攻機が降り立った。しかし整備士の橘からは、「故障箇所が見当たらない」と指摘される。それはそうだ。敷島の機体は故障などしていなかったのだから。その後、別の整備士が敷島に声を掛けた。「負けるのは確定だし、わざわざ死ぬことはない」と。こうして敷島は、しばらくこの島に留まることになったのである。

その大戸島にある夜、謎の巨大怪獣が姿を現した。現地住民は「ゴジラ」と呼んでおり、深海魚が海面に浮かぶと決まって現れるのだという。その圧倒的な力と存在感に為す術もなく、敷島と整備士たちはただ隠れることしかできない。しかし運良く、ゴジラの進路の先に零戦の機銃の先端が向いていた。橘は敷島に、「あれを撃ってゴジラを倒せ」と告げる。しかし、ゴジラに臆した敷島は結局機銃を撃てず、そのまま大戸島の者たちはゴジラになぎ倒されて命を落とした。敷島と橘を除いて。

終戦後、自宅に戻った敷島は近所の人から両親の死を聞く。しかしそんな状況でも、とにかく日々の生活をどうにか立て直さなければならない。そんなある日のこと、男たちに追われた女性が敷島の前方から走ってきた。たまたま彼女の進路上にいた敷島は、逃げる女性から”何か”を預かってしまう。なんとそれは、赤ん坊だった。そんな偶然の出会いをきっかけに、彼は典子と名乗った女性と共に戦後の厳しい時代を生きていくことになる。

子どもを育てるには金がいると、敷島は復員省お墨付きの仕事を見つけてきた。手付金だけでも破格なのだが、それには相応の理由がある。戦時中に海中投下された機雷を処理するという、実に危険な仕事なのだ。その危険性を知った典子は敷島を止めようとするが、「絶対に死ぬと決まったわけではない」と説得し、敷島はその仕事を引き受けることにする。

募集要項には「完璧な装備が用意された船」と書かれていたのだが、集合場所で敷島が目にしたのはボロボロの木造船だった。しかし、この船こそ機雷処理にはうってつけなのである。というのも、海中投下されたものの中には磁気式の機雷も多く、その場合、金属製の船がその上を通るだけで爆発してしまうからだ。機雷の処理をするのであれば、木造船が最適なのである。

そんな木造船に乗っているのは、戦時中は兵器の開発に携わっていた野田、船長の秋津、見習いの水島、そして敷島の4人。このチームで海に沈んだ機雷を地道に処理していくのだが、ある日彼らは「ある特殊任務」に駆り出されることが決まり……。

映画の感想

まず上手かったのが、物語のかなり早い段階で「ゴジラ」を登場させたことだと思います。

本作は「終戦後」がメインの舞台ということもあり、「ゴジラと闘う者たちがどのような状況に置かれているのか」という「状況説明」にかなり時間を割いています。「怖気付いて特攻を回避した敷島と赤ん坊を抱えた典子が出会い、生活を立て直し、その上で必然としてゴジラと闘うことになる」という展開を描くには、やはり色々と「前段」が必要になるわけです。

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